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4日間の会期中、ネット関連団体がそれぞれ主催する12のメインプログラムをはじめ、約40のチュートリアルやセミナーが予定されている
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インターネットに関する技術の研究・開発やサービスの構築・運用などに関わる人々が議論を交わすイベント「Internet Week 2003」が2日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開幕した。主催は、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)。会期は5日までとなっている。
初日には、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)主催による「インターネット上の法律勉強会」が開催された。その中で、総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課の入江晃史総務事務官が「電気通信事業と個人情報保護法制」と題した講演を行ない、個人情報の取り扱いに関わる注意点などを説明した。
「個人情報の保護に関する法律」いわゆる“個人情報保護法”は第156回国会で成立したもので、2003年5月30日に公布された。施行は段階的に進められ、法律の第1章から第3章までは公布の日から、第4章から第6章は2005年4月1日に施行が予定されている。全面施行を受けて、個人情報取扱事業者に対する義務が発生する。
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総務省の入江晃史氏
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入江氏によれば、現在「個人情報の保護に関する法律の一部の施行期日を定める政令」と「個人情報の保護に関する法律施行令」の2つの政令が検討されている。また、2004年春頃には、個人情報保護法の基本方針となる第7条が策定される予定だ。第7条は、基本方針ということを踏まえて、前倒しで策定される可能性も残されているという。
個人情報取扱事業者とは、5,000件以上の個人情報で構成される情報データベースを事業の用に供しているものを指す。個人情報データベースとは、個人データの集合物であって、検索可能な状態になっているものを指す。個人情報取扱事業者は、利用目的の特定および制限、適切な取得、取得に際する利用目的の通知または公表、安全管理、第三者提供の制限などの義務を果たさなければならないとしている。なお、個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別可能なもの」と定められている。
5,000件という数字は、すべての顧客名簿と従業員名簿を合算して計算される。同一の事業者が複数の電気通信サービスを行なっている場合や、電気通信事業以外の事業を兼業している場合、それらすべての顧客名簿を合算しなくてはならないという。ただし、同一人物が重複してカウントされている場合は1人として扱われる。
個人情報取扱事業者の義務としては、利用目的の特定が挙げられる。個人情報の利用目的はできる限り特定されなければならないと第15条第1項に定められている。同第2項では、利用目的を変更する場合には、その関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行なってはならないと定められている。また、利用の制限も定められており、第16条第1項には、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定められている。
個人情報の取得に関しても細かく定められた義務がある。取得に際しては、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない(第17条)と決められており、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかにその利用目的を本人に通知または公表しなければならない(第18条第1項)。
さらに、個人情報の安全管理も取扱事業者の義務として定められている。第20条では、個人データの漏洩、滅失または棄損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないと定められている。万が一、通信の秘密が漏洩した場合、電気通信事業法第35条の規定に基づいて総務省に報告しなくてはならない。個人情報の漏洩が発生した場合には自主的に総務省消費者行政課に報告すべきだだが、漏洩した情報の種別の判断に迷う場合は、各地の総合通信局電気通信事業課や総務省総合通信基盤局消費者行政課に相談するといいとしている。
関連情報
■URL
Internet Week 2003
http://internetweek.jp/
関連記事:特集 知っておこう! 決して他人事ではないメディア規制3法案
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0422/media.htm
( 岡田大助 )
2003/12/02 19:48
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