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FCCのPepper局長「ブロードバンドで誰でもどんなサービスでも提供できる」


 ブロードバンド推進協議会は5日、「The BroadBand Digital Migration;FCCのブロードバンドポリシーについて」と題して、米連邦通信委員会(FCC)電気通信政策局長のRobert Pepper氏による講演会を開催した。


ブロードバンドでは誰でもどんなサービスでも提供できる

米連邦通信委員会電気通信政策局長のRobert Pepper氏
 Pepper氏はまず、アナログでナローバンドの環境と、デジタルでブロードバンドの環境とで異なる点を提示。ナローバンドの世界では、電話のような音声は加入者線(銅線)、CATVのようなビデオは同軸ケーブル、テレビ・ラジオは電波による放送というようにサービスはインフラに依存する。「提供する側も1サービスにつき、政府の許認可を受けた事業者が独占していた。価格が定まっており、製品も豊富ではなかった」という。

 対してブロードバンドの世界では、「CATVやDSL、FTTH、第3世代携帯電話などの各種プラットフォームの上で、データ通信や音声、動画といったサービスを提供できるようになる。また、コストの低いインターネットでは多くの事業者が参入できるため、自然と価格競争が起きて、価格が低下したりバリエーション豊かな製品が登場する」とし、「ブロードバンドでは誰でもどんなサービスでも提供できる」と述べた。

 しかし、ブロードバンドのインフラへ移行するには問題もあると指摘。Pepper氏は、事業者は、すでにユーザーの多い既存アナログ電話サービスを、いつブロードバンドサービスに切り替えるかなどの問題を挙げた。また、ブロードバンド時代は複数の事業者から好きなサービスを選ぶようになるとし、「ユーザーは混乱するだろう」とコメント。事業者は、「投資家に結果を求められるため、短期間で事業を構築しなければならい。とはいえ、通信事業には多く投資が必要だ」とし資金調達がブロードバンドの普及のカギだという。

 規制を決定する側としては、「新規参入事業者が政府に対しては“規制を撤廃して欲しい”と苦しい状況を申し出る一方で、投資家向けに“現在当社は非常にうまくいっている”などと話す姿を見ると、どちらの言葉を信じていいのかわからなくなる」と、政策決定における不安を語った。

 Pepper氏は、「そもそもどのくらいのスピードであればブロードバンドであると言えるのか」と前置きしたうえで、「米政府のブロードバンド政策としてはスピードではなく、さまざまなサービスに幅広く利用できること、多彩なプラットフォームを確保すること、技術間での競争があることを基本に一貫したフレームワークを策定するべき。規制は最小限にとどめ、IPのようにオープンな接続技術をベースにしなければならない」と語る。FCCとしての最終目標は、「そうしたブロードバンドを全米でユビキタスに利用できる環境を整えることだ」と述べた。


米・オクラホマではWISPユーザーが増加

 米国でのブロードバンド環境の普及についても言及。全世帯の85%がDSLもしくはCATVを利用できるという。Pepper氏の自宅ではDSLやCATVなど3つのアクセスラインが選択できるが、利用しているDSLサービスは、「最高でも1Mbpsだから、日本でいうブロードバンドではないかもしれない」と会場を笑わせた。

 日本のADSL普及状況に触れ、「米国と日本では固定電話網のアーキテクチャが異なる。日本では局舎から加入者宅までの距離が短い」と述べ、距離に品質が比例するDSLは米国よりも日本向きだとコメント。

 現在米国の過疎地域では、Wi-Fiやモバイルなどを利用したWireless ISP(WISP)がユーザーを増やしているという。「利用料は月額40ドル前後で、各ISPには300~400のユーザーしかいない。しかしISPの用意するインフラは基地局までということもあり、収益を上げている」。オクラホマなどの平原地帯で主に利用され、免許不要の機器でも30マイル四方をカバーできる。規格にIEEE 802.16a(WiMAX)が採用されればもっと強力な事業者になる可能性があるとし、「電波ベースの技術により、過疎地域の方がブロードバンド化が進むかもしれない」と語った。

 なお、米国でのブロードバンド普及率は4年で10%に達し、その速度はPCやDVDと同程度。同じ普及率はテレビが12年かかって達成したもので、「普及速度は非常に速い」という。その一方で、「日本と異なり価格については、ダイヤルアップよりもブロードバンドの方が高い」と需要とのギャップを分析。低価格化を進めるとともに、VoIPやWi-Fiなどブロードバンドにふさわしいサービス、もしくはコンテンツを提供する必要があると述べた。


FCCはFTTHをアンバンドルにしない

 最後にFCCの規制方針を述べた。FCCでは、CATVやDSLなどの新技術を考慮して加入回線のアンバンドルを決定。従来通り「銅線やレガシーな電話技術はアンバンドル」を維持することになった。

 ただし、FTTHについてはアンバンドルにしないという。このことについては、「既存の電話会社からFTTHを利用できないということではない。価格が交渉によって決まる」としている。また、「FTTHの価格交渉が失敗に終わっても、銅線のアンバンドルが残っているから大きな問題にはならないだろう」とコメントしている。


関連情報

URL
  ブロードバンド推進協議会
  http://www.bbassociation.org/


( 鷹木 創 )
2003/12/05 17:47

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