三菱電機は17日、研究開発成果を披露するイベントを兵庫県尼崎市にある同社先端技術総合研究所で開催した。会場では、「環境・エネルギー」「映像・表示」「ヒューマンインターフェイス」「通信・デバイス」「セキュリティ」の5つの分野について、計17件の開発成果が披露された。
今回初めて公開された技術の中では、1枚の液晶パネルで裏表両面に画像を表示できる「リバーシブルLCD」が注目を集めた。透過型液晶1枚に対して表裏に2枚の透明バックライトを組み合わせた構造になっているもので、片側のバックライトを光らせると、反対側からだけ画像を見ることができる。両側のバックライトを光らせれば、両方向から画像は見られるものの、そのままでは反対側からは鏡像に見えてしまう。そこで、バックライトを1秒間に120回交互に光らせ、そのタイミングにあわせて映像も切り替えることで、両側に違う映像が映っているように見せるという仕組みだ。
これにより、特に携帯電話などの分野において、1枚の液晶パネルで表裏両面に大型画面を搭載することが可能となり、2枚の液晶パネルを搭載した場合に比べて重量や体積も軽減できるメリットがあるとしている。
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表裏両面から見えるLCDモジュール「リバーシブルLCD」。1枚の液晶パネルで表裏同時に画像を表示できる
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高速に表示とバックライトを切り替えることで、背面から見ると別の画像が表示されているように見える
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また、航空機内にネットワーク接続環境を提供するサービスとして米Boeingが予定している「Connexion by Boeing」に、三菱電機が開発した航空機用の衛星アンテナが採用されたことが発表された。地上局と航空機を通信衛星経由で結んでネット接続サービスを実現するもので、航空機が旋回した場合でも衛星を追尾する技術や空気抵抗の問題でアンテナ全体の高さを低くすることが、開発にあたって求められたという。試験段階では下り方向20Mbps、上り方向1Mbpsの通信速度が得られたとしており、今月中にも大西洋路線でサービスが開始される予定となっている。
このほか、樹脂フィルムを利用して光ファイバの経路を動的に変化させる光クロスコネクト装置や、カメラ画像から最も映りのよい瞬間の顔画像を自動的に選択する技術、監視カメラに記録されたデジタル動画から特定の人物の行動を抜き出して管理する技術などが公開された。
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航空機でのネット接続サービス「Connexion by Boeing」に採用された、航空機用の衛星通信アンテナ
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樹脂フィルムの切り込みを変化させることで、光ファイバの経路を動的に変化させる光クロスコネクト装置
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関連情報
■URL
三菱電機
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
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関連記事:ボーイング、航空機内にインターネット接続環境
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( 三柳英樹 )
2004/02/17 18:09
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