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イベントレポート
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【 2009/06/11 】
アナログ停波後の周波数帯域を利用したマルチメディアサービス
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国内初のデジタルサイネージ展示会、裸眼で見られる3D映像など
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【 2009/06/10 】
CO2排出量が都内最多の地域、東大工学部のグリーンプロジェクト
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IPv4アドレス枯渇で「Google マップ」が“虫食い”に!?
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「Interop Tokyo 2009」展示会が開幕、今年はひろゆき氏の講演も
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「ユーティリティコンピューティングを目指す」~孫正義ソフトバンク社長


 SOHOなどのクリエイター向けに、セミナーやパネルディスカッションを行なう「Macromedia MAX 2004 Japan」が20日まで東京都渋谷区の東急セルリアンタワーで開催されている。初日の19日には、孫正義ソフトバンク代表取締役社長による特別公演が行なわれた。


ブロードバンド普及に最も貢献した男

“ブロードバンド普及に最も貢献した男”と紹介された孫正義ソフトバンク代表取締役社長
 「日本のブロードバンド普及に最も貢献した」と井上基マクロメディア代表取締役に紹介され、演壇に登場した孫氏は開口一番「ブロードバンドに明け、ブロードバンドに暮れている」とブロードバンド“漬け”の生活を語り、会場を和ませた。

 続いて、「情報革命はすでに始まっていた」との持論を展開。「グラハム・ベルが電話を発明した1876年から情報革命は始まっており、1941年にはテレビが登場。また、1975年にはマイクロプロセッサが開発され、PCがより身近になった。そして、電話、テレビ、PCを統合させたのがIT革命であり、ブロードバンドである」という。「誰でも平等に情報に対してアクセスでき、電気・水道のようにコンピューティングサービスを利用できる社会の実現」が今後の使命だとしている。

 国内の状況に触れ、「Yahoo! JAPANだけでも現在1カ月に170億PV。これまではテキストが主流だったが、すでに電話や動画機能がブロードバンドにより統合された。インターネットは“カクカクしたもの”という認識は捨ててもらいたい」と要望。さらに従来のメディアと比較し、「しかもインターネットは、テレビのようにただ流される情報を閲覧するだけでなく、自ら選択するもの。こんなメディアがあっただろうか」と会場に問いかける場面もあった。

 Yahoo! BBのBBフォンにも言及。「時間や距離に関係ない電話サービスを実現した。IP電話は日本は、世界でダントツに利用されている」という。また、「End to EndのIP電話は日本だけ。他国では交換機・電話機を変更する必要がある」としている。


ソフトバンクが目指すユーティリティコンピューティング

ソフトバンクの考える「ユーティリティコンピューティング」
 インターネットの普及率が高まる一方で、「PCもどんどん高度になっているが、自宅でもSEが必要になってしまうのはおかしい」という。自宅に50台のPCがあるという孫社長は、「自宅のカーテンも電灯も全てPCで統御している。Windowsが暴走したら、カーテンが閉じられなくなったり、電気がつきっぱなしになったりする。ちゃんと管理するにはSEのような専門家が必要だが、それは異常だ」と断言。

 そうした悩みを解決するために、「ラリー(米オラクルのラリー・エリソンCEO)と話したのは、ユーティリティコンピューティングについて」だという。ユーティリティコンピューティングとは、電気や水道のように必要に応じて必要な分だけアプリケーションなどを利用すること。ソフトバンクBBでは2004年中にも、アプリケーションをストリーミング配信することや、ホスティングサービスを行なう準備があるとし、実際にデモンストレーションを披露した。

 デモでは、SSIトリスターのタイピングソフト「幕末新撰組 斬打」やジャストシステムの家庭用統合ソフト「ジャストホーム」をストリーミング配信。米Stream Theoryの配信システムを利用し、クライアントPCに専用のソフトをインストールして利用する。アプリケーションを暗号化して送信し、クライアントPCのキャッシュに保存して利用する仕組みで、クライアントPCの能力を使ってアプリケーションを利用できる。従来のASPなどに比べ、「サーバーやネットワークへの負荷が減少する」という。なお、今回のデモは開発中のバージョンが使用されている。

 「ソフトの買い方も変わる。使った分だけ払うという買い方もできる。ネットワークにプログラムを置くことで、必要な時に、必要なだけ利用できるようになる」とコメント。「ソフトウェア流通を20年間営んでいるソフトバンクだが、(アプリケーションのストリーム配信を)他社が提供するなら死活問題で、まさに“自己否定”となる技術。他の会社がやってしまったら悲しいことだが、幸いなことに我々にはブロードバンドがあった」という。「蛇口をひねれば水が出てくるように利用できればいい」と抱負を語った。


デモに使用されたタイピングソフト「幕末新撰組 斬打」 開発中のサイトから「ジャストホーム」をダウンロードするところ

 20世紀が「コンセント」だとすれば、21世紀を表わすのは「イーサネットポート」。「家庭に発電機やタービンはいらない。コンセントにさせば、テレビを楽しめ、料理を作れる」ことが、家電製品が普及した20世紀のコンセプトだとすれば、「21世紀はユーティリティコンピューティング」だという。

 イーサネットポートにケーブルをさせば、「ネットワークを通じて、IP電話や動画配信など何でもできるようになる」と予想。ソフトバンクはその上で、「自宅にサーバーを設置するのではなく、ネットワーク上に置き、専門家がきっちり管理する」ユーティリティコンピューティングを目指すという。


20世紀が「コンセント」だとすれば、21世紀を表わすのは「イーサネットポート」(孫氏) オンラインストレージサービスも準備中だという

「世界一安くなったのは誰のおかげか、とたまには言ってみたい」

 世界各国と比較してブロードバンド率の高い国内状況に触れ、「日本は世界で最も速く、安く、パワフルなインフラを手に入れた」と宣言。「世界一安くなったのは誰のおかげかと、たまには言ってみたい」と会場を笑わせた。

 最後に、「どこかの首相にも申し上げたいが、破壊するだけでなく、創造。建設して初めて未来が開けるのだ」と講演を締め括った。


ソフトバンクのビジョン Yahoo! BBの開局状況。「白いところは山」(孫氏)だという

関連情報

URL
  Macromedia MAX 2004 Japan
  http://www.macromedia.com/jp/macromedia/conference/
  関連記事:Stream Theory、アプリケーションをストリーミング配信するシステム
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0927/stream.htm


( 鷹木 創 )
2004/02/19 16:03

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