開催中の「技研公開2004」では、NHK技研のさまざまな技術が公開されている。ここでは、21GHz帯を利用した衛星放送を想定した放送技術や、衛星からの電波を受信できない集合住宅向けに60GHz帯を利用した再送信技術、情報家電と連動した「ホームページナビゲーションシステム」を紹介する。
● 降雨に弱い21GHz帯の衛星放送ではサーバー蓄積型放送に?
|
降雨に弱い21GHz帯の衛星放送
|
2007年4月から衛星放送で利用できるようになる21GHz帯だが、降雨による電波の減衰が大きいことが問題になっているという。降雨減衰に対応するための「長周期インターリーブ伝送装置」「メッシュ反射鏡アンテナ」などが展示されていた。
長周期インターリーブ伝送装置は、送信側でデータをランダムに並び替え、受信側で元通りに復元する「インターリーブ方式」を、雨が降っている期間に合わせて分散して行なうというもの。データの復元には、ブロック符号を用いて復号を繰り返し行なう誤り訂正技術「ターボ積符号」を採用した。
スタッフによれば、「インターリーブ方式で復号するには、一度受信側にばらばらになった放送データを蓄積しなければならず、リアルタイムの放送には向かない方式」だという。「あくまで方向性のひとつで、リアルタイムの放送を検討していないわけではない」と断った上で、「インターリーブ方式は、サーバー蓄積型放送に適する技術だ」とている。
このほか、折り目が均等な炭素繊維三軸織物による「メッシュ反射鏡アンテナ」を公開。軽量な素材を使用しているため、アンテナ自体を大きくできるほか、高い鏡面精度を実現したという。
|
|
「長周期インターリーブ伝送装置」は、サーバー蓄積型放送に適する技術だという
|
メッシュ反射鏡アンテナ
|
● 電波を受信できない集合住宅向けに60GHz帯の再送信技術
衛星放送の受信アンテナを設置する場所がない集合住宅や、受信するための共同受信設備がない集合住宅向けに、60GHz帯を利用した再送信技術を展示。60GHz帯は基地局を設置するための無線免許が不要なことや、無線で再送信するため、同軸ケーブルの引き回しが不要なことが利点だという。
利用には、集合住宅の屋上などに受信用アンテナを設置。アンテナから受信した放送を屋上ベランダ側などに設置した60GHz送信機により再送信し、各戸のベランダなどに設置した受信機で受信する。アンテナは、BSデジタル放送と110度CSデジタル放送をまとめて受信可能だ。
スタッフによると、「衛星放送を見られないユーザーは、首都圏だけなく全国に散在しており、需要が高い。サービス開始時期は未定だが、なるべく早期に開始したい」としている。
|
|
集合住宅向けの60GHz帯を利用した再送信装置
|
村田製作所による実機も展示されていた
|
● 情報家電と連動した「ホームページナビゲーションシステム」
ホームページナビゲーションシステムは、対応したPCでブラウザを起動すると、近くにある情報家電と連携したWebサイトに対して自動的にアクセスするシステム。ネット接続機能を搭載したテレビから情報を受信して、番組のWebサイトにアクセスすることもできる。
会場では、ノートPCに赤外線通信アダプタを追加。テレビからの通信を赤外線アダプタ経由で受信して番組のWebサイトに自動的にアクセスしていた。PCは、情報家電を管理するシステムと連動して自動的に情報家電を認識。情報家電ごとにアクセスするWebサイトの設定もできる。
スタッフによれば、「情報家電用のプロトコル『エコーネット』に対応することも検討している」という。
|
|
新撰組をみていると……
|
PCには新撰組のWebサイトが表示される
|
関連情報
■URL
技研公開2004
http://www.nhk.or.jp/strl/open2004/
NHK放送技術研究所
http://www.nhk.or.jp/strl/
( 鷹木 創 )
2004/05/27 21:01
- ページの先頭へ-
|