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ワイヤレスUSBはケーブル接続を置き換える存在に~IntelのRavencraft氏


 東京ビッグサイトで開催中のイベント「WIRELESS JAPAN 2004」で21日、米IntelでワイヤレスUSBの技術アーキテクトを務めるJeff Ravencraft氏が講演し、現在規格策定が進んでいるワイヤレスUSBの概要とその現状について語った。


家電やPC、モバイルの分野でケーブル接続を置き換える存在に

米IntelのJeff Ravencraft氏
 Ravencraft氏はまずワイヤレスUSBに関して、物理層・MAC層としてMultiBand OFDM(MB-OFDM)方式のUWBを採用したこと、そしてこの物理層がワイヤレスUSB以外にUPnPやワイヤレス版のIEEE 1394などでも共通して使われることなどを説明。その理由として「標準化作業を短期間で完了できる」「無線部分を共通化することで、(電波の利用に関する)各国の規制当局の認可を得るのが容易になる」「生産面でのスケールメリットを得られる」「複数のUWBを使用する機器の間の共存が容易になる」という4つを挙げた。

 また、ワイヤレスUSBに関しては今年2月にIntel、NEC、Microsoft、HP、Philips、Samsung、Agere Systemsの7社で「Wireless USB Promoter Group」を設立しているが、Ravencraft氏は既にこの7社以外にもSTMicroelectronics、Texas Instrumentsなどが積極的に参加していると語り、ワイヤレスUSBが業界の主だった企業からの支持を受けていることを強調した。

 さらにRavencraft氏は、有線のUSBインターフェイスに対応した機器の出荷実績が累計で約15億台、PCだけでも約3億台に上ることを挙げ、「USBはPCの歴史の中で最も成功したインターフェイスである」と述べた上で、「ワイヤレスUSBはそのUSBの実績を基礎としたインターフェイスであり、低コストな実装などの利点により家電やPC、モバイルなどの分野でケーブルによる接続を置き換える存在になる」と語った。

 その上でRavencraft氏は家庭内におけるデジタル機器の接続に関する図を示し、「ワイヤレスUSBは各部屋の中におけるクラスタを形成するために使われ、比較的長距離の伝送を必要とする家庭内バックボーンには無線LANが使われるようになるだろう」と、ワイヤレスUSBと無線LANが家庭内で住み分けるとの考え方を示した。


Wireless USB Promoter Groupへ参加している主な企業 ワイヤレスUSBと無線LANを用いた家庭内ネットワークの概念図

年内に標準化を完了し、2005年にはシリコンを出荷したい

このように裏では複雑なネゴシエーションが行なわれるが、ユーザーには極力これを見せないようにするという
 その後、Ravencraft氏はワイヤレスUSBのスペック概要の解説に移った。既に公表されている通り、ワイヤレスUSBでは約3mの距離で480Mbps、約10mの距離で110Mbpsの伝送を実現するほか、ホスト1台に最大127台のデバイスを接続可能など、従来のUSB 2.0とほぼ同等の機能をワイヤレスで実現することを目指している。同氏によれば、電力制御についても従来のUSB同様のサスペンド・レジュームなどの機能に対応するほか、USB On-The-Goのようなデバイス同士の接続に関しても「Dual Role Device」として対応を行なうという。

 この中で特に課題になるのが、多数のPCとワイヤレスUSB機器が存在する中でいかにして目的の機器同士を接続するか、そして機器同士が通信する内容が盗聴されないようセキュリティをいかにして確保するかという問題だが、これについては「既存のUSB同様のフレームワークを維持し、基本的に非対称のホスト中心のモデルを維持するが、一方でデバイスとホストが相互に相手を認証する仕組みを導入するほか、『AES-128CCM』方式による暗号化を行なう」という。なお、AES-128CCMについては「おそらくパフォーマンス上の理由からハードウェアによる実装を行なうことになるだろう」とのこと。

 Ravencraft氏は「今日は細かい技術的なことは説明しないが、消費者はそういった技術的な内容をできるだけ意識しないで機器の同定、認証、通信の許可といったことを行なえるようにしないといけない」と語り、裏では公開鍵暗号を利用したセキュリティの確保などを行なう一方で、ユーザーにはそれを極力意識させない形での実装を目指す方針を示した。

 なお、ワイヤレスUSBの標準化作業は、物理層とMAC層の標準化を担当するMultiBand OFDM Alliance(MBOA)の標準化作業が遅れているあおりを受け、当初の予定よりスケジュールが遅れているようだ。Ravencraft氏は「物理層については今年第3四半期、MAC層とワイヤレスUSB全体のスペックは年内には標準化を完了し、2005年にはシリコンを出荷したい」との希望を表わした。ただし当初は従来のUSB機器に対する外付けアダプタなどがメインになる見込みで、ワイヤレスUSBを内蔵した製品や、無線LANとワイヤレスUSBを統合したモジュール等の出荷は2006年以降になるとの見通しもあわせて示した。


関連情報

URL
  WIRELESS JAPAN 2004
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2004/


( 松林庵洋風 )
2004/07/22 12:03

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