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開発者コミュニティへの支援をさらに強化したい~基調講演レポート


 パシフィコ横浜で開催されているMicrosoft Tech Ed 2004 Yokohamaでは8日、マイクロソフト日本法人の社長を務めるマイケル・ローディング氏と、米MicrosoftでServer and Tools Business担当のVice Presidentを務めるアンドリュー・リーズ氏の2人による基調講演が行なわれ、マイクロソフトが企業のIT戦略において目指す方向について語った。


日本の開発者コミュニティへの支援をさらに強化したい

マイクロソフトの代表執行役社長を務めるマイケル・ローディング氏
 最初に登場したローディング氏は、日本でのTech Edの開催が今年で10周年を迎えたことに感謝の念を表した上で「マイクロソフトのミッションは世界中全ての人のビジネスの可能性を最大限引き出すことであり、そのためには質の高い製品を提供するだけでなく、技術者コミュニティといかにしてコミュニケーションを打ち立てるかに努力してきた」と述べ、マイクロソフト製品を使用してシステム構築を行なうデベロッパーコミュニティとの協力体制の重要性について語った。

 ローディング氏は「技術者コミュニティのようなグループは我々にとっても情報源であり、彼らにどういった形でサポートを提供できるかを考えることは、我々にとっても新しい方法を見出すチャンスとなる」「コミュニティ参加者の多くは技術的な専門知識を持つだけではなく情熱を持っており、我々はそれを支えていく必要がある」と語った上で、オンラインではMSDNやTechNetなどを通じた情報提供、オフラインではこの春から行なっているSecure System Trainingなどがそれに当たるとした。特に、Secure System Trainingについてはこの半年で日本国内で約2万人の参加者を集めたことと、WindowsXP SP 2などの内容を反映した新たなコンテンツを導入したうえで、今年11月からセミナーの開催を再開することも明らかにした。

 さらに「非常に活気のあるユーザーグループコミュニティの支援も続けており、これらがさらに成長・拡大することに期待する」と語り、具体的には.NET関連のコミュニティであるGotDotNet Japan、SQL Server関連のコミュニティであるPASSJなどの名前を挙げたほか、コミュニティリーダーとしてのMicrosoft MVP制度についても「プログラムをスタートさせて今年で3年目になるが、日本でも120人以上のMVPが誕生し、世界的にも名前を知られる人間が出てくるようになった」として、MVP制度はマイクロソフトにとってだけではなく、ユーザーにとっても大きなビジネスチャンスとなっていると語った。

 ローディング氏は、SQL Server 2005のベータテストにPASSJが本格的に協力することになったことなど、これらのユーザーコミュニティがマイクロソフト日本法人だけではなく米国本社とも強力なつながりを持つようになっていることを挙げた上で、今後このような動きをさらに促進していきたいとの意向を示した。


システムの複雑さを取り除き、本来のビジネスに費やす時間を増やす

米MicrosoftでServer and Tools Business担当のVice Presidentを務めるアンドリュー・リーズ氏
 続いて登場したリーズ氏は、企業のIT部門の担当者やシステム開発者が既存システムの保守に追われ、なかなか新しい開発作業に取り掛かれない上に、システムや取り組むべき問題が複雑さを増しているという状況を踏まえ、「複雑化はシステムダウンにもつながるため、ソフトウェアエンジニアリングにより問題そのものを取り除くことを考えなくてはならない」と述べ、そのためにマイクロソフトでは統合した技術革新により複雑さを取り除くことを目指していると語った。

 システムの複雑さを取り除くため、マイクロソフト製品全般について一貫性のある運用・統合を可能にする「Common Engineering Criteria 2005」を定めて開発を行なっており、Visual Studioを用いた開発環境によりシステム全体の連係が可能になるとリーズ氏は語ったが、一方で「複数の製品が強調動作するだけでは不十分であり、個々の製品が『Best of Breed』を持つことが必要だ」とも述べ、個々の製品で顧客満足度1位を獲得することも引き続き目指していく方針を示した。

 システムの運用管理の面では、「Dynamic System Initiative」と名づけた統合環境の構築を目指すとして、具体的な製品名としてはVisual StudioやSystems Management Server(SMS)、Microsoft Operations Manager(MOM)などの名前を挙げたほか、「年末にはMicrosoft System Centerも提供できる見込みだ」と語った。実際、これらのシステムは既にマイクロソフト社内におけるシステム管理に利用されており、導入前に比べるとサーバー台数を25%削減できたほか、Exchangeメールボックスサーバの削減、サーバーのダウンタイムの縮小などにより、年間約900万ドルの管理コストを削減するという成果を挙げているという。


 またセキュリティに関しては、技術的な面からは「システムの抵抗力の向上」「簡単・確実なアップデート手段の提供」「ソフトウェアの品質向上」「アクセスコントロール機能の強化」の4つを挙げたほか、社会的な側面からは「ユーザーへの教育・普及が非常に重要だ」と語った。特にトレーニングについては、現在は主にシステム開発者や企業のIT部門の責任者などが対象となっているものを「将来的にはエンドユーザにまで拡大していきたい」との意向を示した。

 さらにリーズ氏は迷惑メール対策についても触れ、「現在マイクロソフトには毎日約7,200万通のメールが届くが、そのうち約92%が迷惑メールだ」と語った上で、こういった事態に対応するためには、まず送信者をSenderIDなどの手法で確認することで送信元を詐称しているメールを排除し、その上でウイルスメールなどの排除・送信者評価による迷惑メール送信者の排除等を行ない、最後にユーザー自身の手によるフィルタリングを行なうといったように「マルチフィルタリング戦略を取る必要がある」と述べた。リーズ氏は「この戦略を徹底することで、PocketPCやスマートフォンといった環境でも迷惑メールに悩まされる必要はなくなる」として、「これは業界全体の問題であり、技術の標準化を進めることはもちろん、政府等の機関とも協力していく」と意気込みを語った。

 ソフトの開発においては、Visual Studio 2005とSQL Server 2005により「現状と比べてプログラマーが書くコード量を50%以上削減できる」と語ったほか、「アーキテクトとデベロッパーが協調して開発作業を行なえるように、System Definition Model(SDM)を開発環境に統合し、複数のアプリケーション間やアプリケーション内部のクラス間の依存関係を知らずに開発・運用が進むことが無いようにする」など、開発者にとって数多くの機能強化が行なわれていることを訴えた。

 最後にリーズ氏は「システムの構築や保守・運用に割かれている時間を減らし、浮いた時間を本来のビジネスに使えるようにすることが重要だ」と語り、そのためにマイクロソフトとして引き続き様々な製品やソリューションの提供を行なっている姿勢を示して講演を終えた。


マイクロソフトにおける迷惑メール対策の効果 マイクロソフトが考える迷惑メール対策のイメージ

マイクロソフトの製品ロードマップ

関連情報

URL
  Microsoft Tech-Ed 2004
  http://www.microsoft.com/japan/teched/


( 松林庵洋風 )
2004/09/08 14:32

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