WPC EXPO 2004・2日目の21日は、ワイヤレスUSBが下位レイヤの規格として利用するMBOA(Multiband OFDM Alliance)の存在意義などについても講演が行なわれ、初日も登場した米Texas InstrumentsのYoram Solomon氏がMBOAの現状について、韓国SAMSUNGのRakesh Taori氏がWiMedia Allianceについてそれぞれ説明した。これ以外に米IntelのJeff Ravencraft氏も登場したが、同氏の講演は前日とほぼ同内容のため省略する。
● MBOAは業界の広い支持を受けているが、行政当局とは思惑のずれも
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Yoram Solomon氏
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前日に引き続きの登場となったSolomon氏はMBOAの概要について語ったほか、いかにMBOAが業界の支持を受けているかについてや、世界各国の行政の許認可動向について説明した。
同氏はMBOAに世界の半導体業界のトップ10企業のうち8社が参加しているほか、IEEE 802.15.3aでの標準化投票においてMBOAの提案に世界の主要な家電メーカーが100%賛成していること、またMBOAのメンバー企業とワイヤレスUSBやWireless 1394、WiMediaの標準化に参加している企業がほとんど同じであるとして、MBOAが業界の主力企業の大半の支持を得ていると強調した。
一方で、IEEE 802.15.3aでの標準化がデッドロック状態になっている理由については「IEEEでの標準化で必要な『75%の賛成』というのは参加メンバー数に対する割合なので、メンバーが多く出ているような企業が反対に回るとなかなか75%には届かない」「正直なところ、メンバーが1人とか2人とかしか出ていない企業は不利だ」と述べた。
また行政の許認可については「欧州は無線LANでも米国とは異なる標準(HiperLAN)を採用したように、一筋縄ではいかないところがある」「全体的に規制当局は、ハイバンドだけを許可する方が楽だと考えているところが多い」と述べ、当初はアンテナ設計や半導体技術なども要因からローバンドを使いたいという企業側の思惑とずれがある様子を示した。ただこれについても、既存システムとの干渉が少ないことを実証した上でフルバンドの使用許可を求めていく姿勢を改めて鮮明にしていた。
● WiMediaって何するところ?
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Rakesh Taori氏
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WiMedia Allianceを代表して登場したTaori氏は「ワイヤレスUSBについては詳しく知っていても、WiMediaが何をするところなのかについては知らない人が多い」と語り、WiMediaとは組織の活動について説明した。
Taori氏によれば、WiMediaの役割は大きく分けて3つあるという。1つはワイヤレスUSBやWireless 1394など、UWB上で利用される各種プロトコル間で干渉が起きないような協調制御を行なう「WiMCA」レイヤの標準化、2つ目はUWBによるIPネットワークを実現するための中間レイヤ(Protocol Adaptation Layer)である「WiNET」の標準化、そして3つ目はWiNETの上で動作する、Bluetoothにおけるプロファイルに似た「WiMedia Profile」の標準化を行なうことだ。
特にWiMedia Profileでは「Streaming Media Profile」「Digital Imaging and Printing」「Communication Profile」といったプロファイルの標準化が進んでおり、標準化に当たっては類似する部分の多いDLNA(Digital Living Network Alliance)とも協力していると語った。今後は互換性テストや認証・ロゴプログラムなどについても順次作業を進めていくという。こうした活動を通じて、徐々に一般ユーザーにもWiMediaへの理解が進んでいくのではないかと思われる。
■URL
WPC EXPO 2004
http://expo.nikkeibp.co.jp/wpc/
MBOA(英文)
http://www.multibandofdm.org/
WiMedia Alliance(英文)
http://www.wimedia.org/
( 松林庵洋風 )
2004/10/21 20:37
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