「Interop Tokyo 2005」で9日、米Googleのプロダクトマーケティングマネージャーを務めるデイビッド・ベルコビッチ氏が「ユビキタス社会実現に向けたインターネット技術(The Internet Technology for the Ubiquitous World)」と題して基調講演を行なった。
● 情報過多になったのはストレージメーカーのせい!?
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米Googleのベルコビッチ氏
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ベルコビッチ氏はまず、ユビキタス社会が進展している原因として技術革新があると指摘する。Interopが始まった1982年と比較すると、CPUの性能は1MHzから3.5GHzへ3,500倍の伸びを見せた。メモリ1MBあたりの価格は3,500ドルから11セントと3万分の1に下落。ディスク容量1MBあたりの価格に至っては1,200ドルから0.65セントと180万分の1に急落している。
「これはすごいことだ。ほかの分野で3,500倍も性能を伸ばせたら、たいていの場合は満足するだろう。最近の世の中は情報過多だと言われるが、それはGoogleのせいではなく、ストレージメーカーのせいだと言いたいぐらいだ。」
このような数千倍の技術革新に支えられて、情報が簡単に手に入れられるようになったのは事実だ。「ワールドシリーズの勝者や猿の種類など、たわいない情報でも以前は図書館に行かなければ調べられなかった。今ではPCや携帯電話で手軽に調べることができる」。さらに「企業や官公庁にとってはインターネットを通じて利害関係者と1対1の深いコミュニケーションができるようになったことも重要だ」と分析した。
● インターネットを活用すればニッチな市場も成立する
「興味深いコンセプトはロングテイルだ」という。ロングテイル(Long Tail)とは「長い尾」という意味だが、売り上げ下位の製品も売上全体に貢献することだ。旧来の考え方では、全商品の20%が売上全体の80%を占めるというパレートの法則などが有名だが、ベルコビッチ氏は、売り上げ下位の製品いわゆるニッチな商品も売り上げに貢献するという。
書籍などの古いメディアは、たくさん売らないと利益が出ない。たくさん印刷して、全国の書店に置いてもらう。音楽CDも同様だ。しかし、インターネットの音楽配信であれば、ニッチな市場も成立する。数千人規模のファンしかいなくてもインターネットであれば、流通コストが低いため、利益が生まれる可能性があるわけだ。アドワーズのような仕組みを使えば、インターネットで世界に向けて広告も打てる。ベルコビッチ氏は「試しにGoogleを使って、手織りのラグを売ってみたら、25ドルの広告キャンペーンで1週間で10名ぐらいの購入希望者が集まった」と社内での経験も明かす。
● Web、ニュース、デスクトップなどなどをGoogleでまとめて検索
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ベルコビッチ氏もホームページにはGoogleを設定しているという
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「以前は情報は権力だった。情報を持つことが、組織や業界内で差別化を図り、優位を保つことにつながった。しかし、今は情報を共有するメリットが広がった。例えば、多くの商品がインターネットで販売されているが、それらの多くの商品情報を比較サイトなどを利用するユーザーも増えている」という。
情報が溢れ、どんどん便利になるインターネットだが、情報量が多すぎることはデメリットだ。「1週間に何百というメールを受信し、たくさんのWebサイトも見ているが、どんどん情報が生まれており、追いつかない」。あまりにもたくさんのコンテンツがあるために、重要な情報が見つけられない状況だという。
「イグアナの平均体重は? といった珍しい事柄はむしろすぐに見つかるが、自分宛の重要なメールが見つからない」とベルコビッチ氏は言う。Googleのミッションは「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすること」だとし、Web検索だけでなく、ニュース検索やデスクトップ検索などを紹介した。また、米国で提供されている商品検索「Froogle」、地域検索「Google Local」、書籍検索「Google Print」なども紹介した。
最後にベルコビッチ氏は「Googleではメールだけの検索、Webだけの検索とは言っていない。目的のファイルがWebにあるのか、ローカルにあるのか、共有フォルダにあるのかわからなくても、Googleでは1つの検索ボックスでアクセスできる」と、Googleが統一された(Unified)検索エンジンであることを強調した。
関連情報
■URL
Interop Tokyo 2005
http://www.interop.jp/
( 鷹木 創 )
2005/06/09 18:58
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