従業員が利用するPCからの個人情報漏洩が相次いでいる世相を反映してか、会場では大手メーカーをはじめ、シンクライアントの展示が目立った。
● 三菱電機、MetaFrame型のシンクライアント
三菱電機インフォメーションテクノロジーでは、「三菱サーバーベースクライアント(SBC)」シリーズの「TX120」と「TX230」をデモンストレーション。TX120は、15インチのTFTカラー液晶一体型のシンクライアント端末、TX230は本体のみのシンクライアント端末だ。いずれも動作周波数1GHzのCPUが搭載されており、OSにはWindows CE 5.0もしくはWindows XP Embeddedのいずれかを選択できる。
会場では、10Mbpsの回線帯域で両シンクライアントをサーバーに接続し、サーバー側のWordを起動して新規文書を作成するなどのデモを行なっていた。サーバーへの同時接続数はサーバーのメモリに依存し、1人につき64MBのメモリが必要だ。会場スタッフによると「20kbps程度の帯域であれば、サーバーにアクセスして業務できる」という。
デモを見る限りは、作業を進める上での“もたつき感”はなかった。「シンクライアント側ではサーバーで出力した画面情報を表示するシトリックス・システムズの『MetaFrame』型なので、最低の帯域さえ確保すれば動作がもたつくことはない」(会場スタッフ)。実際に数社からの引き合いもあり、中には「現在使用しているPCに専用のアプリケーションをインストールし、ネットワークを構築することでシンクライアント化する場合もある」という。
また、HDDが不要で低消費電力のCPUでも十分動作することから、ノートPCタイプのシンクライアントも現在企画中だという。
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TFTカラー液晶一体型のTX120
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TX230
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● NECは仮想PC型、ネットブート型などのシンクライアントシステムをデモ
NECのブースでは、画面を転送するMetaFrame型のほかに「仮想PC型」「ネットブート型」といった3つのシンクライアントシステムをデモンストレーションしていた。
仮想PC型は、サーバー上で仮想マシンを構築し、仮想マシン上でOSやアプリケーションを動作させて、その画面をシンクライアントに送信するシステムだ。サーバー上ではNECが開発した「Virtual PC Center」が動作し、クライアントからのリクエストをサーバー上の仮想マシンに動的に割り振ることができるという。また、仮想マシンの状況を監視可能で、サーバーに問題が発生した場合は別のサーバーに仮想マシンを待避することもできる。
ネットブート型は、HDDの機能だけをサーバー側に持たせて、クライアントPCの機能を活用するシステム。HDDをクライアントから排除することで情報漏洩を防止しつつ、通常のPCと同様の性能を実現できるという。サーバー側には、米Ardenceのミドルウェア「Ardence」を利用し、仮想HDDを構築する。
MetaFrame型と仮想PC型のデモンストレーションでは、7月末に発売予定のシンクライアント端末「TC-Station」を、ネットブート型のデモには6月末に発売予定の「Express5800/51Lc」をそれぞれ接続した。いずれのデモンストレーションとも観客が途切れず、注目の高さが窺われた。
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MetaFrame型、仮想PC型として接続できる「TC-Station」
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ネットブート型の「Express5800/51Lc」
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● 和歌山県庁に4,000台納入した松下電工のDeskWaveシリーズ
松下電工インフォメーションシステムズは、和歌山県庁に4,000台納入したという「DeskWave」や日本HP製の「HP Compaq t5710 Thin Client」、ネクスターム製の「SV-II」「LV-III」などのシンクライアント端末を展示していた。
このほか、現在開発中として詳細は明らかにされなかったが、中国ベンダーと提携して提供を予定しているシンクライアント端末の姿もあった。
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和歌山県庁に4,000台納入したという「DeskWave」
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日本HP製の「HP Compaq t5710 Thin Client」
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中国のベンダーと提携して開発しているというシンクライアント端末。デザインは変更される可能性もある
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関連情報
■URL
三菱電機インフォメーションテクノロジー
http://www.mdit.co.jp/
NEC
http://www.nec.co.jp/
松下電工インフォメーションシステムズ
http://www.naisis.co.jp/
( 鷹木 創 )
2005/06/29 20:56
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