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blogWatcher導入でソフトバンクBBの“ラテン気質”の経営に変化


 ホットリンク主催のセミナー「評判・風評が企業の事業や実績を大きく変える!」で2日、ソフトバンクBB戦略情報システム部部長の沼本浩氏が講演「ソフトバンクBBに評判検索が必要だった理由」を行なった。


blogWatcher導入以前は「何かおかしいのではないか」という調査報告も

ソフトバンクBB戦略情報システム部部長の沼本氏
 ソフトバンクBBでは、2004年夏頃からホットリンクや東京工業大学奥村研究室と協力して、blogWatcherのエンタープライズ版をマーケティングツールとして取り入れている。

 導入前はコンサルティング会社の調査資料などを購入していたが、沼本氏によると「日付を見るとぞっとするほど古い資料だった」こともあった。「日経新聞でさえ、記事掲載までにはタイムラグが発生する。新聞や調査会社の資料などこれまでの資料は、日付がバラバラで比較することが難しかった」という。

 また、カスタマーサポートセンターからの資料についても問題があった。「面と向かって本音を言わない日本人の民族性かもしれないが、カスタマーサポートセンターで電話で解約理由を聞くと、たいていが個人的な理由であったりしてはっきりしない」。そういう回答で統計をとると、結果的にソフトバンクBB側の原因が解約につながったわけではないという資料が出来上がってしまい、「これは何かおかしいのではないか」と思うこともしばしばだったという。

 沼本氏は、ある調査会社に委託してソフトバンクBBのサービスを解約した利用者を一室に集めて、解約したサービスについてコメントしてもらう調査を行なった。すると、「電話ではあれほど冷静だった利用者が、怒りを露わにしてカスタマーサポートセンターなどでの不備を責めた。カスタマーサポートセンターのオペレータに文句を言ってもしようがないという気持ちだったのかもしれない」。

 こうした経緯から、ソフトバンクBBではリアルタイムに利用者の声を聞き出すことができるマーケティングツールを探し始めたという。候補としては、各PCにインストールするエージェントなども上がったが「スパイウェアと捉えられてしまう可能性もある」と判断。最終的にblogWatcherを導入することに決めた。


評判情報を分析することで、“真の競合”が判明

 実際のシステムでは、企業のニュースリリースやブログ、掲示板の情報のうち、ブログ情報をメインにblogWatcherが評判情報などを抽出。抽出した情報をデータマイニングし、リアルタイムマーケティング分析を行なっている。

 評判情報を抽出して分析することによって「理由別分析」ができるようになった。例えば、ブロードバンド未利用者がブロードバンドを利用しない理由として「利用する価値のあるコンテンツが少ない」「PCは携帯電話より操作が複雑で困難」などの障壁があることがわかったという。

 沼本氏は「これまでブロードバンドというと競合はNTTだった。しかし、これは経営判断の間違いだったことに気が付いた。我々の競合はNTTではなく、携帯電話事業者だ」と語る。携帯電話が競合という視点で見ると、サービスの提供の仕方も異なってくるという。「BBTVについても、携帯電話より簡単に操作できることが大事だ」と指摘し、テレビに直接出力するSTBや、キーボードやマウスではなくUSB接続型タッチペンなど操作を簡単にするデバイスの必要性を強調。また、タッチペンでなぞるだけでブラウザやメールソフトの入力ができる紙媒体のキーボードなどを例示した。


一度走り始めたら止められないという“ラテン気質”を改善

 「誰が競合か、誰がお客様かわからない状況ではキャンペーンも難しい」と沼本氏。ソフトバンクBBでは、Yahoo! BBやおとくラインなどで1回数億円にも達するキャンペーンを実施しているが、キャンペーンごとに効果測定できない状況にあれば「誰か止めてやれよ、という状況になったとしても誰も止められない」。

 沼本氏は「これまでも、一度走り始めたら止められないという“ラテン気質”の経営を止めることができなかったケースもある」という。しかし、blogWatcherの導入後は、どれだけの効果があったか評判検索を通じて分析し、経営陣に判断基準を提供することで、「ラテン気質を改善できた」と指摘。blogWatcherの導入で、十億円規模のコスト削減効果があったと強調した。

 なお、ソフトバンクBBではblogWatcher以外にも経営を支援するツールを導入している。このツールは、ADSLやFTTH、おとくラインなどの事業ごとに損益や加入者数、解約率などを表示し、危険な水準になった場合にリアルタイムでアラームを表示する。こちらはマーケティングツールとして導入されたblogWatcherとは異なる経営分析のためのツールだが、「ソフトバンクは世界屈指の経営速度。悪く言えば朝令暮改で、前照灯もメーターもないようなT型フォードで野原をフルスロットルで走り抜けていたソフトバンクには、こうしたアラームを表示するようなツールが必要だった。会社が何kmで走っているのか、ガソリンはどれくらい残っているのか。ガソリンを買えないような走り方はまずい」。

 blogWatcherを実装したマーケティングツールについては今後、ホットリンクや奥村研究室などと協力し、処理速度を向上させ、検索精度も現在の7割~8割から向上させる予定。また、午前中に発表したニュースリリースの反響をもとに、その週の予定を計画するなどマーケティングツールを利用したリアルタイムフィードバック事業についても、「ソフトバンクBB内で実績が上がれば外販も考える」という。このほか、経営システム全体としては、人事や総務などの分野も含めた統合経営システムに発展させる計画もあると述べた。


関連情報

URL
  ソフトバンクBB
  http://www.softbankbb.co.jp/
  blogWatcher
  http://blogwatcher.pi.titech.ac.jp/
  ホットリンク
  http://www.hottolink.co.jp/
  blogWatcher Enterpriseの紹介ページ
  http://www.hottolink.co.jp/service/package/blogwatcher_enterprise/


( 鷹木 創 )
2005/08/02 21:06

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