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「SFC Open Research Forum 2005」の会場
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慶應義塾大学SFC研究所の主催による「SFC Open Research Forum 2005」が11月22日から23日まで六本木ヒルズで開催されている。SFC Open Research Forumは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で進められている各種研究プロジェクトの現状や計画を紹介するイベントで、今年で10回目の開催となる。
初日となる22日には、慶應義塾大学の常任理事を務める村井純教授らによる記者会見が行なわれた。この中で村井教授から、2004年12月に発生したスマトラ沖大地震で大きな被害を受けたインドネシア・アチェ州のシアクアラ大学に対する、遠隔教育による大学復興のための支援活動について報告があった。シアクアラ大学では、津波によって約190人の教職員が亡くなっており、残された学生に対して授業を提供できない状況が続いていたという。
慶應義塾大学とWIDEプロジェクトでは、2001年からアジアの大学間教育協力の基盤として「SOI Asia」プロジェクトを推進し、衛星回線を利用した遠隔授業などを行なってきた。このSOI Asiaプロジェクトに対して、復興支援対策を検討していたインドネシア大学連合からも要望があったことから環境の構築を進め、11月からSOI Asiaによる授業への参加が可能となった。授業の映像は広帯域衛星回線(9Mbps)によりマルチキャスト配信され、大学からは双方向通信衛星によりインターネット接続を確保している。
村井教授はプロジェクトについて、「SOI Asiaでは互いに授業を共有するパートナーという形で大学が連携を行なっている。シアクアラ大学の環境の構築については復興支援という特別な形で行なったが、今後はパートナーの一員としてシアクアラ大学にも参加してもらう」と語った。ただし、シアクアラ大学に対しては「我々の授業をうまく利用してほしい」といった申し出も多くあることから、当分の間はそうした申し出を優先してプログラムに取り入れていくことになるだろうとした。
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慶應義塾大学の小島朋之総合政策学部長(左)と村井純教授(右)
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会見では、シアクアラ大学などインドネシアの3大学を結んだテレビ会議の模様が紹介された
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会見ではこのほか、ウェアラブルコンピューティング技術を用いた新しいファッションの提案「Wearable Synthesis」や、ユビキタス家具を実現する「u-Texture III」といった各種の研究成果が紹介された。Wearable Synthesisは、服に取り付けた温度センサーにより、温度に応じた光を背中から出力するというものだ。また、屋外には、SFCが中心となって開発を進めている電気自動車「Elica」も展示されている。
SFC Open Research Forum 2005の会場では、こうした研究成果の展示のほか、講演やシンポジウムなどが行なわれる。
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「Wearable Synthesis」では、服に取り付けた温度センサーにより、温度に応じた光を背中から出力する
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SFCが中心となって開発を進めている電気自動車「Eliica」
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関連情報
■URL
SFC Open Research Forum 2005
http://orf.sfc.keio.ac.jp/
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・ UHF帯のRFIDを会場で国内初の運用実験~SFC Open Research Forum 2004(2004/11/24)
( 三柳英樹 )
2005/11/22 17:47
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