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イベントレポート
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アナログ停波後の周波数帯域を利用したマルチメディアサービス
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CO2排出量が都内最多の地域、東大工学部のグリーンプロジェクト
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日本テレビ土屋氏やクラビット橋本氏が語る「放送と通信の融合」


 12月26日、内閣官房 知的財産戦略推進事務局による「コンテンツ専門調査会 デジタルコンテンツ・ワーキンググループ」第3回が開催された。会には日本テレビの土屋敏男コンテンツ事業局次長やクラビットの橋本太朗代表取締役が参考人として出席、デジタルコンテンツにおける課題と展望について議論が交わされた。


「作家性こそが知的財産立国に必要」と語る日本テレビ土屋氏

日本テレビの土屋敏男コンテンツ事業局次長
 参考人として出席した土屋氏は冒頭、「通信と放送の融合というと収益性ばかりがメインに考えられるが、今回はクリエイターの立場から通信と放送の融合を考えたい」と意見の趣旨を説明。日本でもブームとなった韓国ドラマを例に挙げ「2次使用のルール作りが遅れたために、日本のドラマは韓国に出遅れた。また、ここ数年の韓国ドラマが韓国と日本の精神的位置関係を変化させたという外交面の影響も見逃してはならない」と語った。

 また、米国でもiTunesによる音楽配信や、動画対応iPodへNBCがドラマを提供するなど、デジタルコンテンツ流通のスピードが増していると指摘。「アジア市場で韓国に先を越されたように、世界市場でも米国に市場を渡してしまうのか」との危惧を示した一方で、「米国と日本のテレビ業界を体感する中で、米国はコンテンツ制作において“決定的な間違い”を犯していることに気づいた」との考えを披露した。

 土屋氏が「利回りコンテンツ制作方法」と名付けた米国のコンテンツ制作手法は、「どのくらいのリターンが期待できるかを前提として企画書が作られており、収益性ばかりが重視されている」という。「この数年のハリウッド映画は続編ばかりで、結果としてハリウッド映画の低調さを招いている」。

 土屋氏は「日本のバラエティは米国のバラエティより面白いという意見は私見ではなく多くの人が言うこと」とし、「日本のコンテンツがそのような評価を受けられたのは、米国と違い採算性と離れた場所にいられたからだろう」とコメント。また、「テレビ局ではなくプロダクションが番組を作るハード・ソフト分離型の米国に対して、社内の関係でコンテンツを作ってきた日本のテレビ局では“作家性”の生き残る余地があった」との考えを示し、「知的財産立国のためには、クリエイティビティという作家性を育てる覚悟が必要であり、その覚悟とは1勝9敗する覚悟である」と締めくくった。


通信と放送は「いたずらな融合よりもそれぞれの強みを活かすべき」

クラビットの橋本太朗代表取締役
 クラビットの橋本氏は、電気通信役務利用放送法に基づいたYahoo! BB向けの映像配信サービス「BBTV」を例に取り、電気通信役務利用放送法の課題を指摘。「放送技術要件から定められている有線放送と、著作権法上の有線放送が必ずしも一致しないまま今日に至っており、コンテンツを出したくても出せない状況にある」とした上で、「スタート時には6チャンネルだったBBTVも今では40チャンネルに拡大したが、これは放送ではなく通信の処理として許諾をいただく努力を事業者がしたためだ」と補足した。

 また、「こういった議論では著作権者が悪者になりがちだが、我々がサービスインした4年前から比べると、権利者の理解は相当に深まっており、今は許諾の方式について議論しようという意識を持っていただいている」とコメント。「国を挙げてこういった場を設けていただいたからには、一般的かつ実効性のある許諾のルールに照準を合わせて早期合意を目指していきたい」との考えを示した。

 放送と通信の融合という考えについては、「いたずらに融合するよりもそれぞれの強みを活かすべき」とし、「放送は国民全般に行き渡ることが趣旨であり、その結果として技術の成長が一旦止まってしまう。対して通信はどんどん進化していくものであり、そもそも技術的に放送と通信は相容れないものだ」と指摘。「放送は一旦決めたことを守りがちだが、通信が担保できるものなら通信も採用すべきで、ハイビットレートが伝送できるならADSLも排除すべきではない。重要なのは最大多数の国民に届くことであり、複数の伝送路をユーザーが選択できるような体制作りを検討して欲しい」との希望を示した。

 橋本氏は「本来この国のコンテンツは、体制さえ整っていれば輸出力があるもの。それを国内ばかり見ていたために偏ってしまった」とし、「海外のマーケットも目指すことで価値も高まっていく。IP放送が世界に先駆けて始まった日本だが、制度がブレーキとなったために加入が進まず、後発のフランスはすでに100万世帯を突破した。この貴重な数年間が制度のために失われた、という認識を持って欲しい」と訴えた。


関連情報

URL
  コンテンツ専門調査会デジタルコンテンツ・ワーキンググループ(第3回)の開催について
  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents/dezitaru/1219kaisai.html


( 甲斐祐樹 )
2005/12/26 19:39

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