東京国際フォーラムで31日に開催された「INTERNET Watch 10周年記念シンポジウム『インターネット Next Stage』」のセッション Part 2で、グーグル代表取締役社長の村上憲郎氏が登壇。「Google:これまでとこれから」と題し、検索サービスの現在、そして将来像を語った。
● 最も優先度の高い利害関係者は“一般ユーザー”
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グーグル代表取締役社長の村上憲郎氏
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村上氏はまず、コンピュータテクノロジー発展の推移の中で、Googleが目指す方向性を説明。「メインフレーム分野ではIBM、パソコンにおいてはマイクロソフトの存在が欠かせないと言われるように、インターネットと言えばGoogleと思い浮かべてもらえるようになりたい」と発言し、インターネット世界における圧倒的な存在感の確立のために、Googleは日々の業務を行なっている姿勢を示した。
それがどの程度達成できているかについて、村上氏は「世界におけるオンライン検索市場のうち、Googleが占めるシェアは約50%。ユーザーが2回検索したとするならば、そのうち1回はGoogleが使われている」と、その優位性に言及している。企業規模も拡大しており、現在の従業員数は全世界で約5,000人に及ぶという。
そしてGoogleには「ユーザーを最も優先度の高いステークホルダー(利害関係者)と捉える」という大前提があると村上氏は語る。一般ユーザーから寄せられるさまざまな意見をサービスに反映させ、そしてそのサービスを、パートナー企業と協力して拡大させるのがGoogleのビジネス戦略という。
また「サービスは無償である」のも、Googleが貫く哲学の1つ。その理由は“ねじれ現象”の防止。「真に提供したいサービスがあっても、(課金業務などを考慮すると)本来の目的からサービス内容が逸脱してしまう可能性がある」(村上氏)ためだ。このほか、サービスの多言語対応を念頭に置いた開発も行なわれている。
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ユーザー本位のサービス開発を心がけているという
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1998年以降、拡大を続けているGoogle
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● 無償サービスを支える“低コストサーバー”
これら無償サービスを継続的に提供できるのは、サービス側のネットワークを非常に安価で運用しているからだ。村上氏によれば「一般ユーザーがお持ちのパソコンよりも、はるかに低コストなマシン群でサービス運用されて」いるという。
そのマシンは「マシンのチップ代よりも電気代が問題になる」(村上氏)ほど機能が削ぎ落とされ、低価格化されているという。そのため、検索利用者や広告数の急増、機器障害の発生にも低コストかつ柔軟に対応できるメリットもある。
この「究極のFault Tolerant(障害発生時でも正常な動作を継続しつづけられること)システム」がGoogleの大きな強みであると村上氏は説明する。規模としても世界最大級であり、有能な開発エンジニアを惹きつけ、雇用するためにも多大な効果を上げているという。
なお、これらの低コストサーバーは外部からの購入ではなく、Googleが自社開発する内部製作品。村上氏は「Googleをソフトウェア会社だと思う人は多いだろうが、実はハードウェア会社でもある」と補足している。
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Googleの事業方針を示したグラフ。リソースの90%を検索と広告、残り10%を新しいサービスの開発に割り当てている
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世界最大規模のネットワークは開発環境としても優れているので、優秀なエンジニアを惹きつけることができるという
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● 2009年には“人類の知”がすべて検索可能に
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新しい分野として、雑誌広告などにも試験的に参入
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村上氏は「Googleでは、将来的に世界の全データをオーガナイズするという目標を掲げているが、それには500万TBもの情報量が必要とされている。そのうちデータ化が完了しているのは約1%。これをどのように達成するのか議論を重ねている」と話す。
途方もない目標に対し、現実的にGoogleでは、インターネットユーザーが捉える“最重要課題”を意識し、優先的に対処・開発しているという。これにより、新サービス投入と同時にユーザーからの大きな支持を得、サービス規模を拡大させられると村上氏は話す。直近では、書籍全文検索サービス「Google Book Search」や動画検索技術「Google Video」がその成果であるという。
なお、将来的に提供予定のサービスとして、機械翻訳サービスを挙げた。村上氏も「目が覚めるほど素晴らしい機械翻訳を提供できるだろう」とし、サービスへの自信を見せている。また「500万TBぶんのインデックスの提供」「広告ネットワークのさらなる拡大」を例示し、「ユーザーが必要なものを100%在庫できる日を1日でも早く達成したい」ともコメントした。
最後に村上氏は、3年後の具体的なGoogle像を展望。「2009年にはおそらく、“人類の知”と呼ばれる分野のデータはすべて検索可能になるだろう」と予想した。そして「透明性の高い(検索結果の)パーソナライズを実現するために、ユーザー自身のことを教えてもらいたい。そして、何かを聞かれたらGoogleが即答する環境を作りたい」と具体案を示し、講演をまとめた。
関連情報
■URL
INTERNET Watch 10周年記念シンポジウム「インターネット Next Stage」
http://internet.watch.impress.co.jp/event/iw10year/
グーグル
http://www.google.co.jp/
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