IPv6に関するカンファレンスと展示を行なう「GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006」が、東京・秋葉原の秋葉原コンベンションホールで2月15日から16日まで開催されている。15日には、NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長の野村雅行氏が「IT改革を支えるユビキタスネットワーク」と題した基調講演を行なった。
● IPv6の導入だけでなく、新たなルールを作ることでセキュリティを向上
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NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長の野村雅行氏
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野村氏は冒頭、全世界のIPアドレスの需要を示すグラフを示し、この1年でIPアドレスの需要が急速に拡大していると指摘。この背景には、世界的なブロードバンドユーザーの拡大と、グローバルアドレスを必要とするアプリケーション・機器の増大があるのではないかと分析した。
また、ビジネス面でもネットワークのオールIP化が急速に進展しており、単にデータ通信としての利用にとどまらず、IP電話のようなアプリケーションも急拡大しているとした。サプライチェーンマネージメントや販売など、ビジネスにとってIPをベースとしたネットワークが基盤として欠かせなくなっている中で、IPネットワークに対する懸念も大きくなっていると指摘。現状のIPネットワークの課題としては、送信元アドレスの詐称によるDoS攻撃などのサイバー攻撃の脅威や、パケット盗聴による情報漏洩の危険、輻輳対策などを挙げた。
野村氏はこうした問題に対して、「IPv6の導入だけではこうした問題は改善しない」としつつも、有効な手段の1つであると述べ、IPv6の導入に合わせて新しいインターネットの秩序を創造することが肝心だとした。
IPv6の導入により各機器がグローバルアドレスを使うことで、攻撃などが起こった場合に攻撃元アドレスの利用を停止することや、送信元アドレスを詐称したパケットを外部に流さないことなどを、通信事業者間でルール化することが重要になるとした。また、通信事業者間の協調により、主要トラフィックの帯域を確保するといった優先制御などの仕組みを作ることで、VPNや専用線的サービスの柔軟な提供が可能になるとした。
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IPアドレスの需要がこの1年で急拡大しているという
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IPv6の導入に合わせてルール作りが必要であると主張した
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● 政府の促進、クライアント側の対応によりIPv6が普及
野村氏はIPv6の普及について、日本では政府のIT戦略本部が2005年12月に示した「IT新改革戦略案」の中で、各省庁が原則として2008年度までにIPv6対応を図るとしており、今後さらにIPv6への対応が進むと予測。米国でも、国防総省が2008年までにIPv6への移行を正式に決定して以降、機器ベンダー側もIPv6対応が急速に進んだという例を示し、政府や行政の対応がIPv6の普及を促していくという見通しを語った。
また、マイクロソフトもWindows VistaでのIPv6対応を表明しており、ユーザー側では無意識のうちにIPv4とIPv6のデュアルスタック環境に移行していくのではないかと指摘。今回のイベントを主催したIPv6普及・高度化推進協議会などでも、IPv6のプロモーションや技術的検証から、実導入に向けた活動にシフトしていると語った。
NTTコミュニケーションズが行なっているIPv6を利用したサービスの例としては、IPv6ネットワーク上で管理ポリシー単位でのVPN提供サービス「マルチポリシーVPN」を紹介。同一ネットワーク上に、数万点にも及ぶセンサーからなるビル管理システムや、監視カメラの映像伝送、エレベーターの制御といった異なる種類のアプリケーションごとのVPNを重畳する。このサービスについては、東京都の文化施設で実証実験を実施するという。また、2005年12月からはOCNで個人向けのIPv6接続サービスを提供しており、2月14日からは外出先からネットワークカメラをコントロールする「OCN IPv6モバイルサービス」の試験提供を開始するなど、個人に向けてもIPv6サービスの提供を推進していきたいとした。
野村氏は講演のまとめとして、IPv6への移行にあたっては、新しいインターネットセキュリティ秩序の創造と、事業者間の国際協調ルールの提案と推進を行なうことで、オールIP化時代の安心・安全なインターネット基盤を確立することが重要だと語り、講演を締めくくった。
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NTTコミュニケーションズが実証実験を行なう「マルチポリシーVPN」の概要
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OCNでも個人向けIPv6接続サービスを提供
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関連情報
■URL
GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006
http://www.ip-bizex.jp/
NTTコミュニケーションズ
http://www.ntt.com/
( 三柳英樹 )
2006/02/15 18:16
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