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MOVIDA INVESTMENT代表取締役社長の三木雄信氏
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「GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006」で16日、MOVIDA INVESTMENT代表取締役社長の三木雄信氏による「オンラインゲームに見るブロードバンド時代のコンテンツビジネス」と題した講演が行なわれた。
MOVIDA INVESTMENTは、投資ファンド企画・運営事業を展開するMOVIDA HOLDINGSのグループ会社。三木代表取締役社長は、1998年にソフトバンクに入社後、社長室長を経て、2004年にはソフトバンクBB コンシューマ光サービス企画本部 本部長に就任し、2005年に現職に就いている。
冒頭、三木社長は本講演でのオンラインゲームでの定義について、「インターネットを介して複数の人が同時に参加して行なわれるコンピュータゲーム」と規定。「TVバンクやGyaOといった動画配信サービスもユーザー数は伸びているが、ビジネスモデルは模索している段階」と語り、「オンラインゲームは有料のビジネスとして成功しており、本質的な特性もIPv6と親和性が高いのではないか」とその意義を説明した。
続けて、2010年までのハード種別ゲームマーケット規模や世界のブロードバンドユーザー数といった調査会社の予想値を紹介し、「長期的にはコンソールゲームは退潮し、2010年頃にはオンラインゲームがコンソールゲーム市場と拮抗するのではないか」と指摘。その上で、「通信と放送の融合を広告モデルという側面で見ると、テレビは2兆円、ラジオとインターネットはそれぞれ2,000億円程度の規模。その中でオンラインゲームはまだまだニッチな存在だが、今後はそれなりの規模に成長していくのではないか」と見通しを示した。
● オンラインゲームはコミュニケーションや双方向性が重要な要素
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オンラインゲームが持つ特性について
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三木社長はオンラインゲームの特性について、「今までのゲームと比較すると、よりサービスに近い側面を持っている」と語る三木社長は、「ブロードバンドコンテンツで新しい形を考える際には、経験としては残るがモノとしては残らないサービス性や、人により体験が異なる経験性をどう活用していくのかが重要になってくる」とコメント。加えて、「運営する中で生じるさまざまな問題点は、既存ビジネスと大きく変わりつつある」とも述べた。
オンラインゲームの特性としてまた、ゲーム性よりも人とのコミュニケーションを重視するユーザーが2倍近くいる調査結果を例に、「人とコミュニケーションする双方向性という点がゲームという要素を超える重要な点になっている」と語った。その一例として、MMORPG「ベルアイル」におけるブログを活用した開発段階でユーザーからフィードバックを受けている事例を紹介した。
また、双方向性に関しては米国や韓国でのオンラインゲームの発祥を説明する中で、「ユーザー間のコミュニケーションにグラフィックが付加されたのが歴史的な流れである」とコメント。「多数のユーザーを集めたゲームタイトルのライフサイクルは長期にわたるが、これはコミュニケーションによる人的関係の影響もある」と述べるとともに、「他のゲームに移る際もユーザー単独ではなく、パーティーなど複数のユーザーで移動していくケースもあるようだ」とオンラインゲームにおけるネットワーク外部性や、キャラクター設定におけるWebアイデンティティを通じた交友関係構築などを取り上げた。
オンラインゲームのグローバル性に関して三木社長は「映画産業と同じ構造だと思うが、国内市場だけを見るか、米国の映画スタジオのように海外を含めるか見方によって随分異なってくる」と指摘。「通信と放送の融合の過程の中で他社を買収をしたり、国内だけで垂直統合型モデルを進めていく手法は、世界に通用するコンテンツビジネスの観点から見ると考えさせられる点である」と自身の考えを示した。
また、コピーライツ管理の可能性という点では、「オンラインゲームは基本的にネットワークを介して認証を行なっているため、海賊版や中古品は論理的に難しい」と述べ、「オンラインゲームは中国でも非常に成功している」と語った。
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コミュニケーション性を重視するユーザーが多いという
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ゲーム内での経験や交友関係を通じたWebアイデンティティも重要な要素
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● オンラインゲームでのコミュニケーションからの放送と通信の融合も
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日本のゲーム業界の問題点と取り組み
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日本のゲーム業界の問題点と取り組みに関して三木社長は、「企画・資金調達」面での産業構造やプラットフォーム選択によるリスク、「開発」面での開発費高騰や納期遅延、「販売(運用)」面での市場縮小や海賊版・中古品販売、サーバーなどネットワーク関係での人材難、携帯電話との競争といった問題点を挙げた。
その上で、これら問題に対する取り組みとして、ファンドやプリプロダクションを通じた資金調達や、オンラインゲーム化によるユーザーからのフィードバックを通じた開発の向上、販売・運用面ではアイテム課金やゲームマスター育成などでの施策を紹介。このうち、アイテム課金制については「月額課金制と比べて参加障壁は低い一方で、平均単価が4,000円にのぼるタイトルもある」と語った。
また、「ARG(代替現実ゲーム)が流行する兆しがある」と語る三木社長は、ラジオドラマの進行と配信に携われる「I Love Bee」や、ロンドンでGPSを搭載したタクシーを使った「モノポリーライブ」の事例を紹介。「通信と放送の融合でアプリケーションがなかなか出てこない中で、オンラインゲームを通じたコミュニケーションの側面から融合に目を向けて行くべきではないか」と語った。
最後にオンラインゲームでのIPv6について三木社長は、「IPv6によってNATなどの障壁が無くなり開発費の低減が期待できるほか、運用コストも現行のサーバーを多数並べるような世界から変わる可能性もある」とした。さらに「非常に重要な点は、IPv6を通じた携帯電話からのチャットやボイスチャット、そしてPC環境でのボイスチャット」とコメント。また、「ARGは、通信と放送の融合に近い存在であり、融合が進展していくのではないかと考えている」と述べた上で、「ゲーム業界でのIPv6への取り組みはまだまだ遅れているのが現状だが、新しい可能性に向けて挑戦していきたい」と語り、講演を締めくくった。
関連情報
■URL
GLOBAL IP BUSINESS EXCHANGE 2006
http://www.ip-bizex.jp/
MOVIDA INVESTMENT
http://movida-investment.com/
( 村松健至 )
2006/02/16 21:42
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