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「コンピューティングや無線を極めることがRFID普及につながる」村井教授


 RFIDとインターネットを利用した電子タグの運用・管理システム「EPCシステム」の普及を目的とした「第4回 EPC RFID FORUM」が30日に開催された。フォーラムでは、流通システム開発センター電子タグ事業部部長の宮原大和氏が「EPCglobal Japan」の現状を報告したほか、Auto-IDラボ会長の村井純慶應義塾大学教授がRFIDの技術的課題などを紹介した。


EPCglobal会員数はアジアの企業が増加

流通システム開発センター 電子タグ事業部部長 宮原大和氏
 「EPCglobal」とは、EAN.internationalと米UCCによって設立された非営利法人。前身となるAuto-ID Centerの研究・開発成果を継承し、EPCシステムの実用化を推進している。宮原氏が所属するEPCglobal Japanでは、日本国内においてEPCglobalの会員獲得や、EPCglobalネットワークシステムの導入支援などを進めている。

 2006年1月現在、EPCglobalの会員数は774社に上る。内訳は北米が467社で最も多く、以下はアジアの155社、ヨーロッパの122社と続く。宮原氏によれば、「従来は米国が大半を占めていたが、最近では韓国や香港のシステムベンダーの加入など、アジアの会員が増えている」という。日本については、商品流通に携わるエンドユーザーが20社、EPCglobalネットワークシステムの導入を図るソリューションパートナーが12社で、合計32社が加盟する。

 海外での導入状況としては、米国ウォルマートが100納入業者に対し、2005年1月からパレットケースへEPCタグを添付するとともに、2006年末までには600納入業者を対象とする予定だ。また、米国の国防総省が2005年1月から導入している。

 一方国内では、2005年10月に家電メーカー8社が、家電業界の電子タグ活用を推進する「家電電子タグコンソーシアム」を設立した。同コンソーシアムでは、電子タグを用いた家電製品における機器IDおよび機器認証の有用性をとりまとめるとともに、実導入にあたり必要となる運用ガイドラインをEPCglobalに提案する。そのほか、経済産業省がEPCglobalをベースにしたプロジェクトを検討していることも紹介した。


携帯電話の電波との干渉など、RFID技術の課題を紹介

Auto-IDラボ会長を務める村井純慶應義塾大学教授
 続けて、Auto-IDラボ会長でAuto-IDラボ・ジャパン所長を務める村井純氏が登壇し、Auto-IDラボについて説明するとともに、RFIDの技術的課題を紹介した。

 Auto-IDラボは、EPCglobalと同様でAuto-ID Centerが前身となる。Auto-ID Centerは、MIT(マサチューセッツ工科大学)を中心に1999年に設立された産学連携組織。「ネットワーク型のRFIDシステム」のアーキテクチャを研究開発して標準化を進める組織として、複数の大学に研究拠点を設立した。Auto-IDラボは現在、慶應義塾大学をはじめ世界7カ所の大学で展開し、世界で100社超の企業が活動を支援している。

 村井氏はRFID技術を普及させるために、Auto-IDラボで解決していく課題として「どのようにデジタルで無線を使うか」という問題を提示。我々の身の回りには携帯電話をはじめさまざまな電波が飛び交っているが、「これらの電波があらゆる空間で干渉し合わないように管理すべき」と指摘する。

 UHF帯の電波を使うRFID技術については、「RFIDでUHF帯の周波数を利用する際、隣接する周波数を使う携帯電話への影響を抑える対策をしなければ、RFIDは使えない」と警告。続けて「950MHzは、携帯電話にしてみればとても使い勝手のいい周波数帯域。多大な利益を生み出す携帯電話事業は、国家にとっても『ドル箱』だが、こうしたなかでRFID分野に投資できるのか」という政治的な議論があり、これもRFID普及のための課題のひとつとなっているという。

 そのほか、タグリーダーからの電波をエネルギー源として動作するRFIDである「パッシブタグ」に関しては、「電波のエネルギーでRFIDタグ内のCPUを動かすが、電波とCPUの関係を考える必要がある」とコメント。さらに、P2Pの仕組みを利用することで、RFIDデータをやりとりする際に発生するトラフィックを分散できるとの考えも示した。

 村井氏は、「コンピューティングや無線、インターネットの技術を高めていくことが、すなわちRFID世界を実現することにつながる」と語り、RFID普及のための課題を解決する意欲を示す。さらに、RFID技術の実用化するために「(Auto-IDラボの研究成果を引き継ぎEPCシステムとしての導入を進める)EPCglobalと深い連携がとれている」とアピールして講演を締めくくった。


関連情報

URL
  第4回 EPC RFID FORUM
  http://www.epc-rfid-forum.jp/


( 増田 覚 )
2006/03/30 18:16

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