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経済産業省商務情報政策局の八尋俊英氏
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有限責任中間法人PUCC(Peer to Peer Universal Computing Consortium)が27日に開催したワークショップで、経済産業省商務情報政策局の八尋俊英氏が、「情報大航海時代の日本」と題して講演し、次世代検索技術の研究開発を目的とした「情報大航海プロジェクト」の方向性などを語った。
経済産業省が立ち上げた情報大航海プロジェクトでは、Web上の情報に加えて、Web以外のあらゆる分野でこれまで活用されてこなかった有益な情報を検索・解析する次世代技術の開発を進めている。ネット上の情報にとどまらず、製造・流通・販売など企業の経済活動にかかわる情報や、個人の消費活動にかかわる情報などを検索・解析する情報基盤を作ることで、国民の生産性を高め国際競争力を強化することが狙いだ。
文字だけでなく、画像や映像、位置情報などさまざまなデジタル情報があふれる「情報大航海時代」。こうした時代では、ユーザーがこれらの情報を必要に応じて的確に検索・解析できるようになることが、国際競争力の強化につながると八尋氏は語る。プロジェクトでは、GoogleやYahoo!が先行するWeb検索に加え、電子タグなどのセンサー技術や映像処理技術、ユビキタス技術など、日本が世界に先行する分野の技術を連携して、次世代検索エンジンの開発を進める考えだ。
しかし、日本の得意分野である各技術は、さまざまな企業にバラバラに存在しているのが現状。プロジェクトでは、これらの要素技術をとりまとめるほか、独自にリッチメディア情報のリアルタイム処理技術やコンテンツ・サービスの信頼性評価技術、プライバシー情報の安全管理技術などを開発。さらに、八尋氏はプロジェクトの特徴として、「要素技術の開発にとどまらず、各社の技術を組み合わせて、意味のある技術にするためのモデルサービスを考えていることが、従来の国家プロジェクトとの違い」と説明する。
実際にプロジェクトでは、2007年2月27日から3月19日まで、次世代検索・解析技術を利用したモデルサービスを展開する企業を公募。31件の申請があり、NTTドコモと日本航空インターナショナルの2件を採択した。また、4月18日から6月6日まで、第2弾の公募を行なっているほか、プロジェクト全体を管理するマネージメントチームも公募しており、7月以降から本格的にプロジェクトが稼働する予定だ。
なお、NTTドコモでは、携帯電話を介してユーザーの行動情報を集めて分析し、個人に適した情報を配信するモデルサービスを手がける。このようなプライバシー情報を流通させるためには、情報の開示範囲を設定したり、盗聴・改竄を防ぐ仕組みなどが求められる。また、個人の属性情報をユーザーが提供することによって、本人が同意していないサービスからお知らせが届いたりすると、個人情報保護法の観点から問題が出てくる可能性もある。
こうしたことから八尋氏は、「プロジェクトは制度改革も考慮し、日本がどちらに進めばいいかを含めて議論する必要がある。現在、日本は米国の後追いをするのか、それとも(情報大航海プロジェクトで)さまざまな情報を連鎖させることで新たな付加価値を生み出すのか、という岐路に立っている。世間の批判も多いと思うが、そうした批判からまた何かが生まれればよい」と語った。
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情報大航海プロジェクトのスケジュール
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モデルサービスの実現イメージ
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関連情報
■URL
PUCC
http://www.pucc.jp/
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( 増田 覚 )
2007/04/27 21:19
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