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「シャ乱Qのライブより緊張した」と話すはたけ氏
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デジタルハリウッドは8月31日、2006年12月より行なっている企業向け講座「セカンドライフ・トレーニング講座」の特別企画として、シャ乱Qのリーダー/ギタリストはたけ氏によるセミナーを実施した。
セミナーでは、「セカンドライフにおけるヒットメイキング!拾の極意」として、ヒット商品や人気スポットの作り方などを紹介したほか、デジタルハリウッド大学院セカンドライフ研究室の三淵啓自教授や、日本人居住区「MagSL」を運営するマグスルの新谷卓也代表取締役兼CEOとのトークも行なわれた。
● Second Lifeは自分を見つめる鏡
はたけ氏がSecond Lifeを始めたのは2006年10月頃だという。「日本語化の話が出始めたくらいで、英語のサイトを訳しながらやっていた。最初は、英語の勉強ができるかなと思って入ったが、面白くなくてすぐやめてしまった。今年になって再開し、新しいメディアだと思ってやっている」と述べた。
ゲストの三淵教授は、Second Lifeを始めた経緯について、「2005年くらいにネットで見つけて入ってみたが、面白くないのでやめてしまった。2006年の夏に、あるベンチャーキャピタルから米Linden Labの日本進出を手伝ってほしいとの依頼があり、あらためてSecond Lifeを見たところ、クリエイター視点で世界が出来上がっていることに驚いた。そこでデジハリでもSecond Lifeに取り組むことにした」と話す。
Second Lifeの現状について三淵教授は、「ユーザーは、2006年6月あたりから急激に増えている」と述べ、理由としては、「ビジネスの観点が注目されたこと、クレジットカードを登録しなくても遊べるようになったこと」を挙げた。国別に見たユーザーの比率では、「数カ月前、日本は1.25%だったが、現在は5%までになった。他の国と比べても、日本の伸び率は数段上」とした。ユーザーの平均年齢は、「世界だと33歳。日本は35歳」だという。
Second Lifeの滞在時間は、「長くても平均2~3時間」で、ネットゲームよりは短いという。「ネットゲームの場合、6時間や10時間以上入っている人が多い。ゲームだと与えられたストーリーがあり途中で抜けにくいが、Second Lifeでは別の用事などで一旦ログオフすることが容易にできると思う」(三淵教授)。また、SIM面積は急激に増えているとし、「現在1万台以上のサーバーが動いており、広い面積をカバーできるようになった」と説明。リンデンドルとUSドルの換金量も概ね上昇傾向だという。
また、Second Lifeにおける土地のレーティング「PG」「Mature」や基本ルール「BIG6」についても説明した。PGは現実世界と同様のモラルが求められ、Matureはそれよりも多少緩やかになっている。BIG6は人種や宗教の差別、セクハラ、非戦闘エリアでの無断攻撃、個人情報の暴露、非アダルトエリアでの下品な行為を禁止している。三淵教授は、「Second Lifeだけでなく、世界的に共通するルールを定めている。Second Lifeを皆が良い世界にしようと思えば当然しないことだが、必ずこういったことをする人が出るので、それを自制するもの」とした。
最後に三淵教授は、「Second Lifeで良いコミュニティが育っている理由は、小さくてもアットホームだから」と話す。また、「Second Lifeは自分を見つめる鏡。自分を仮想世界に投影することで、自分の性格や人との付き合い方を見つめなおすきっかけになった。また、現実世界では知り合うきっかけがない人とも知り合える場所」とした。
● Second Lifeは今見たものがすべてではない
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会場の様子
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はたけ氏はSecond Lifeへ企業が進出している現状について、「よく費用対効果と言われるが、Second Lifeで物を売って儲けるのは今の状態では難しいことは誰もわかってきたのではないか。個人的にはイメージ戦略の1つだと思う」と分析する。
日本人居住区の歴史については、マグスルの新谷代表が説明した。まず、Second Lifeを始めたきっかけは、「2006年10月頃、ネットで新しいゲームを探していたらSecond Lifeを見つけた。大手企業が参入していることに興味を持って始めたが、5分でやめた。しばらくしたらニュースでも見るようになって、自分が間違っていたのかもしれないと思い、再び入った」と述べた。
2006年の10月頃は日本人居住区がなく、SIM「Togenkyo(桃源郷)」に日本人が集まっていたという。「Togenkyoは、Second Life長者のアンシェ・チャン氏が持っているSIMの1つ。2005年に日本人向けのSIMを無料で提供した」(新谷代表)。Second Life情報サイト「MagSL.NET」の先駆けとなった“看板”も披露。Second Lifeに来る日本人を案内するためのメディアとして看板を設置したという。また、居住区の地図も新谷代表の発案によるものだ。
このほか、日本人居住区を分譲し始めた当時のエピソードや懐かしい場所の紹介を行なった。「作り始めた頃は、企業が入る予定はなくても分譲していた。Second Lifeで隣にいる人が現実世界だと誰なのかわからないが、企業参入のアドバイスをしていると、どこに誰がいるのかわかるし、街の中に大企業が集中していたりするところが面白い。企業の人は、自分1人がビジネス目的で入り、周りはゲーム好きが集まっていると思われるだろうが、実はビジネスで入っている人が多い」(新谷代表)。
新谷代表は、「Togenkyoに行っていた頃、日本人のSIMを探したら5つしかなかった。先日、米Linden Labに聞いたところ、現在は400を超えているらしい。Second Life全体でも、2006年夏のSIM数は4,000~5,000だったが、今は1万3,000を超えている」と話す。最後に、「Second Lifeとは、キャッチコピーの『Your World. Your Imagination.』の通りだと思う。ユーザーの想像力がないと、とても小さな世界に見えてしまう。想像力を働かせて、やりたいことを見つければ、それを実現できる方法が用意されている。今後、我々が考えもしなかったコンテンツを作る人が出てくるだろう。今見たものがすべてではない」と述べた。
● Second Lifeの魅力は未完成なところ
はたけ氏は、Second Lifeで運営する「はたけ宮殿(通称エロ宮殿)」からSIM群「JapaLand」に至るまでの経緯を説明した。「フィリピン人のジャクソン氏が運営するSIMから8,000平方メートルの土地を約4万円くらいで購入し、さらに16,000平方メートルの土地を購入してエロ宮殿を盛り上げていった。1日100人は来るようになった。そこからコミュニティを広げ、人が住んで定着できる場所としてJapaLandを作った」という。
はたけ氏の提案する「セカンドライフにおけるヒットメイキング!拾の極意」。その1は、「コンセプトの重要性」だ。「Second Lifeは、いろいろなことができすぎる。欲張ることよりも、コンセプトを絞ることが必要」という。その2は、「思い立ったら、即実行」。「Second Lifeに東京タワーができたとき、自分のところにもタワーを作り、さらにフリーフォールを付けた。作ってダメなら削除もできるので、チャレンジをしてほしい」と述べた。
その3は、「ギブ&ギブ」。はたけ氏は、「見返りを求めるところからスタートすると気持ちが行動にも出る。与える一方にすればちゃんと返ってくる人間関係がSecond Life」だと話す。企業などの無料配布アイテムがそれにあたる。「簡単に物を作って配れるので、フットワーク良く皆と仲良くなるきっかけとして有効」だという。その4は、「1人完結型は飽きられる」。「PCは1人で完結しやすいが、Second Lifeは人とつながることを考えることで、コミュニティの武器になる」とした。
その5は、「クリエイターの落とし穴」。「1つ作って満足せずに、作った物を使っていかに人を楽しませられるかといったプロデューサー的な視点がSecond Lifeでは求められている」という。その6は、「適材適所」。「企業がクリエイターに発注する際は、ユーザーがどうやって楽しむのかまで一緒に考えてほしい」とした。その7は、「モノで釣るより人で釣れ」。「企業SIMの失敗例でよくあるのが、豪華な建物だけ作って一度行ったら満足してしまうこと。リピーターを生むのは、物ではなく人」とのことで、人が集まるような仕組みが重要だと述べた。
その8は、「ユーザーのメディアを活かせ」。「Second Lifeのユーザーは高い確率で自分のブログを持っている。Second Life内のイベントなどをブログで書いてもらえば、情報は広がっていく」とした。その9は、「リアルメディアとの連携プレー」。「Second Lifeに熱中すると、Second Life内だけで完結しがち。Second Lifeをやっていない人たちにも知ってもらうことが大事。例えば、Second Lifeのマシニマを使って作成した動画をYouTubeにアップするもの良い」という。
その10は、「企業VSユーザーではなく企業×ユーザー」。はたけ氏は、「今後は企業とユーザーとのコラボレーションを提案したい」と話す。イベントに参加することでリンデンドルが付与される「キャンプ」の利用なども有効という。「100リンデンドル(約50円)がもらえるイベントに多くのユーザーが集まる。そういった性質を活用したコラボレーションもできる。また、企業が作りっぱなしではなく、Second Lifeに愛情を持って施設などを運営することで、ユーザーも集まる」とした。
はたけ氏は、Second Lifeの魅力について、「未完成感が好き」だと話す。「従来の日本の感覚だと最初から100点を狙うが、Second Life内では30点狙いでスタートして皆で育てていける」とした。
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はたけ宮殿
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JapaLandの中心部
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はたけ氏のアバター
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はたけ氏プロデュースによりSecond Lifeで活躍する演歌歌手「ウリクリ」。歌うのは、日本人居住区「MagSL」で家賃の取り立てを行なっている人。はたけ氏と新谷代表の企画により実現
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関連情報
■URL
JapaLand
http://japaland.cubejapan.com/
セカンドライフ・トレーニング講座
http://www.dhw.co.jp/sl/
( 野津 誠 )
2007/09/03 19:21
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