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日本発メタバース「meet-me」、サービス開始前の現状を紹介


株式会社ココア代表取締役社長の森山雅勝氏
 バーチャルワールドサミット2007のアフタヌーンキーノートに登壇したのが、株式会社ココア代表取締役社長であり、トランスコスモス株式会社専務取締役を兼務する森山雅勝氏だ。「日本発オリジナルメタバース『meet-me』」をテーマに、今冬にサービス開始が予定されているmeet-meの現在の状況などについて説明した。

 meet-meは、トランスコスモス、フロム・ソフトウェア、産業経済新聞社などが出資したココアが、取り組んでいるメタバース。今年12月からα版サービス提供し、来年4月から本格的なサービスを開始する予定だ。


空は飛べないが、電車が使えて、夕暮れになったり雨も降る世界

 冒頭、森山社長は、開発中のmeet-meの様子を公開した。

 meet-meの特徴は、実際の地図情報を活用している点で、道路やランドマークとなる建造物などは実際と同じものを見ることができる。また、操作方法をゲームのように直感的に利用できるようにし、顔や洋服、体型なども簡単な操作で変更できる。

 Second Lifeでは、空中を飛んだり、ワープしたりといったことが可能だが、meet-meでは、基本的には「歩く」および「走る」といった行動に限定される。「走る速度は18km。ただし、東京23区内を18kmの速度で移動するのは大変であることから、駅に行けば路線図から街を選択でき、電車に乗って移動できるようにしている」という。

 さらに、地図情報のほかに、時間および天気をリアルの環境と同じ状況とし、実際の時間が夕方になると、meet-meも背景が夕方になり、その日が雨だと、meet-meの世界も雨になる。「現実と同じ時間が、meet-meの中に流れることになる」。

 また、現時点では、怒る、泣く、喜ぶという3つのアクションが行なえるが、「しゃべるだけのコミュニケーションでは無機質になる。表情の変化を含めて感情を表現できるようなものをもっと用意する」とした。


駅に行けば路線図をもとに遠くに移動できる いくつかのアトラクションも用意される

リアルの時間に合わせてmeet-meの世界も時間が経過する 日没後の風景

 加えて、meet-meのなかでは、ポイントプログラムを導入して、これを他のポイントプログラムと連動できるようなことを考えていくとした。

 森山氏はmeet-meの発想の原点に、ポイントプログラム制度の存在に目をつけたことを明かす。

 「世の中にポイントプログラムが普及し、それを得るためにアンケートに答えるという人も増えてきた。ポイントが、労働の対価として通用するようになってきた。こうしたポイントを実際の通貨のような形で、インターネットの世界のなかで発行できないかと考えた。そして、そうした世界を作るならば、国みたいなものを作れないと考えた。いまから2年半から3年前に、構想をゲーム会社などに話をしたのが最初」と振り返る。

 こうした経緯を持つだけに、ポイントプログラムの導入は、meet-meにとって必須の取り組みといえる。

 「ポイントプログラムの流通によって、経済が成り立つことになる。ただし、ポイントの再利用をしっかり管理しないと経済が破綻する。一番いいのは、一度使ったら消滅するというものだが、これだけでは無機質なつまらない世界になる。ポイントを交換したり、CtoCのような環境を構築することを含めて考えている。ポイントの交換でも、どちらか一方が大きく得をするという仕組みにしなければ大丈夫だろう」などとした。


meet-me構築でこだわった3つのポイント

 meet-meの構築に当たっては、3つの点にこだわっているという。

 1つは、「絵がきれい」という点だ。「一度見て、なんだこれはという拒絶感を持つと、その世界には入ってもらえない。それを避けるために、絵がきれいであることにはこだわった。」

 このため、既存のツールで開発した構造物や、他のバーチャル空間向けに制作した建造物など、MAX(3DS MAX DCOMフォーマット)との互換性があるものであれば取り込むことは可能だというが、「技術的に取り込むのは問題ないとしても、周りの建物と比較した場合に、クオリティが粗いといった問題が出る可能性がある」とした。

 2つめは、世界観がわかりやすいということだ。

 地図情報を入れたことで、「世界観」を実現することに成功。「多くの人は、仮想空間で、まず最初にどこに行くべきかに悩む。地図情報が入っていることで、東京を知っている人は、自分が知っている空間があり、さらに、住んでいる人にとっては、自分の住んでいるところに行ってみようということになる。ファーストステップとしては重要なこと」とした。

 また、地図情報があることで、携帯電話のGPSと連動させるといった使い方も可能になるという。

 「携帯電話のGPS機能を利用して、実際にその場所にいる人と、meet-me上で同じ場所にいる人がコミュニケーションを行うといったことも可能になる。そこではどんなコミュニケーションが行なわれるのか想像もつかない」などとした。

 そして、3つめが「操作がわかりやすい」こと。直感的な操作環境を実現することが、利用者を増やす上では重要な要素だという。


アバター作成画面。顔パーツを選択している 服装も選択するだけの簡単操作で変更できる

新宿の都庁ビル付近。地図情報をもとに、リアルと同じ建造物が存在する 企業が参加する建物もある。画面はマイクロソフト

meet-me最大の特徴は「有限性」

 森山氏は、meet-meの最大の特徴として、「有限性」を挙げる。「メディアとして見た場合、有限性を担保することで、人を誘導しやすくなる。Second Lifeでは有限性がなく、東京という地名も増えていく。ここが大きな違いとなる」とした。

 企業がより効果的なプロモーションを行なったり、個人同士がコミュニケーションを取りやすくするという面で、有限性の特徴が生きるという。

 また、森山氏は、「企業は現実には多くの資金を必要とするが、仮想世界では、トライアンドエラーができる。さらに、Webやメールでのコミュニケーションとは異なり、少しだけ有機的なコミュニケーションが可能になる。ゲームと違ってシナリオがなく、始まりがあって、終わりがないという特徴もある」と続ける。

 Second Lifeにおける成長の原動力の1つになったとされる、クリエイターの仮想世界における制作物に関する著作権保護への取り組みや、CtoCの構築に関しても、今後、取り組んでいく姿勢を示した。

 ただし、個人の活動の制限においては、Second Lifeのほうが自由度が高いという点は森山氏も認めている。

 最後に森山氏は、「今年3月に会社を設立して、12月にαサービスを開始するという驚くべきスケジュールで動いている。2008年1~3月にはテストサービスによるフィードバックをもとにバグを潰すなどの作業を行なうが、内容を一気にリフレッシュすることもあり得る。4月以降には、土地の課金モデルも検討していく」と、今後のスケジュールを示した。

 なお、meet-meでは、現金との換金は行なわない一方で、収益モデルとして、meet-me内の不動産売買、広告およびアイテム課金モデルを想定している。


meet-meとSecond Lifeの比較 meet-meの今後のスケジュール

関連情報

URL
  バーチャルワールドサミット2007
  http://www.virtualworldsummit.com/
  ココア
  http://www.co-core.com/

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トランスコスモスや産経新聞ら3社、メタバース事業の新会社を設立(2007/06/05)


( 大河原克行 )
2007/10/17 19:09

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