10月23日、東京有明のTFTホールにて開催されている「Nature Photonics Technology Conference」(主催:NPG ネイチャーアジア・パシフィック、開催:2007年10月23日~25日)において、NEC 代表取締役執行役員社長である矢野 薫氏による特別講演「豊かで持続可能な将来社会を実現するC&Cイノベーション ~光通信の更なる進展への期待~」が行なわれた。
● C&Cイノベーションの軌跡
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NEC代表取締役執行役員社長である矢野 薫氏
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講演の冒頭で矢野氏は、1977年に当時のNEC小林宏治会長が「コミュニケーション技術(Communication)とコンピュータ技術(Computer)の融合」を意味する理念を「C&C」として提唱してから今年で30周年となると述べ、以来、NECでは高性能で高信頼のIT技術基盤、革新的な半導体技術、常に最先端のネットワーク技術と、さまざまなC&Cイノベーションを実現してきたことを強調した。
この30年で光通信の伝送速度は35,000倍、伝送距離は1,300倍と飛躍的に向上し、コストも千分の1となっている。通信サービスのあり方も大きく変わってきたと矢野氏。最近では「トリプルプレイ」と呼ばれる、「電話」「映像配信」「データ通信」の3つの通信機能を1つの回線で提供するサービス形態が注目されているが、企業と消費者、あるいは消費者同士が双方向にコミュニケーションする対話型消費者サービスの実現によって、新しいビジネスが産まれているという。
2001年頃には多くの企業が競争によって通信システムを拡大したことで、通信インフラがオーバーキャパシティになっていると囁かれていた。ところが現在では通信の質が変化したことで大容量のデータがやり取りされるようになり、逆に足りないと言われるようになっていると矢野氏は語る。
さらに、CPUの高性能化・省電力化によって携帯電話などの技術も進歩し、「いつでも」「どこでも」情報にアクセスできるユビキタス化が進んでいる。半導体開発、携帯端末の開発、さらにはiモードのゲートウェイシステムなどを通じて、「NECではユビキタス社会の実現に大きく貢献してきた」と述べた。
● 世界一の技術力をさらに磨き、未来に希望がもてる社会を
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「C&Cイノベーションがもたらす豊かな社会」コンセプトイメージ
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安心・安全、そして便利なサービスを実現する基盤として次世代ネットワーク(NGN)の構築によって、場所に関係なくシームレスに、個人に合わせた決め細かいサービスの提供と、コミュニティ・コラボレーションの展開が重要であると矢野氏は述べる。そのためには、端末群と、ネットワーク、サーバが連携して安心・安全で快適なサービスをダイナミックに構成して提供する必要があるという。
NECの企業理念は「C&Cを通して、世界の人々が相互に理解を深め、人間性を十分に発揮する 豊かな社会の実現に貢献」である。将来的なNECの取り組みとして矢野氏は「これまでNECのCRCはコミュニケーションをX軸、コンピュータをY軸とした2次元の取組みでした。今後はライフスタイルやビジネスのイノベーションをZ軸とした3次元的な取組みにしていく必要があります」と述べ、イノベーションによって社会の発展に貢献していくことを強調する。より高性能な技術の開発、低電力化、効率化や無駄の削減などを通じて、地球環境へも積極的に貢献していくという。
最後に矢野氏は「日本のブロードバンドやモバイルの技術は世界でもナンバーワンです。この技術をより進歩させ、世界をリードしていきましょう。未来に希望がもてる社会を実現しましょう。NECはその実現に向けてイノベーションへの挑戦を継続していきます」と締めくくった。
関連情報
■URL
Nature Photonics Technology Conference
http://www.impressrd.jp/photonics/
日本電気株式会社(NEC)
http://www.nec.co.jp/
( 北原静香 )
2007/10/23 19:57
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