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ドメイン名の更新を促す「不気味な明朝フォント」の通知に注意


 「Internet Week 2007」で21日に行なわれたカンファレンス「事業者がやってよいこと悪いことを考えよう」において、GMOインターネット取締役グループ法務戦略室長の橘弘一氏が「ドメイン名と商標権─他国からの脅威」と題して講演し、gTLDがらみで起こっている問題を紹介した。


ドメイン名に絡む「海外からの脅威」とは

GMOインターネット取締役グループ法務戦略室長の橘弘一氏
 橘氏にはまず、ドメイン名の紛争処理手段としてWIPOが提供しているフレームワークや、その処理件数の動向などを紹介した後、「海外から、あの手この手で勧誘する事例が目立つようになってきている」と指摘。こういった海外からの「脅威」について橘氏は、“東京でディープに語る4日間”という今年のInternet Week 2007のキャッチフレーズを引き合いに出し、伝聞情報を含むディープな事例を紹介した。

 まず1つ目は、海外のドメイン名事業者と思われるところから、「不気味な明朝フォントで、日本語の更新通知が来る」というもの。「更新期限が来たので、更新するなら期日までに支払え」といった内容で、多分WHOISの情報を見て送ってきているという。中には、「これはたいへんだとして、お金を払ってしまう会社もある。相手がレジストラなら更新できるかもしれないが、そうでない場合は払った分だけ損をする」(橘氏)。

 次に、半年ほど前に、やはり海外のドメイン名事業者と思われるところから、同じく不気味な明朝フォントで、日本語ドメイン名の優先登録の案内が出回ったという。内容は「このドメイン名について、中国でほかの会社から登録申請が来ている。しかし、そのドメイン名と同じ会社名の御社であれば、今なら優先して登録できる」というものだ。これに一度ひっかかると最後、「オレオレオレ詐欺と全く同じ状況になる」らしい。すなわち、「この会社、ドメイン名買ったよ」という情報が世界中に広がり、また同じような勧誘が来るのだという。橘氏は、これら2つの脅威に対しては、全く取り合わないのがいいとした。

 さらに海外では、高齢者に対して、将来値上がりするといってIDN(国際化ドメイン名)を大量に売り付けた事業者がいるらしいという話を紹介した。高齢者にドメイン名の価値がきちんと理解されるのか疑問だが、儲かるという言葉に釣られて買ってしまう人がいるのではないかと推測している。


背景にはドメイン名の「セカンダリーマーケット」の発達が

 このように、「海外からのトラブルが日々、我々に降ってきている」状況だが、その背景には、ドメイン名業界において「セカンダリーマーケット」が海外で発達してきていることがあるという。セカンダリーマーケットとは、オークションによる売買など、ドメイン名登録後のマーケットのことだ。また、ドメイン名に一定の財産権的価値が認められつつあるという環境の変化も挙げた。さらには、有名ブランド似のドメイン名を取得してオークションへ出品したり、アダルトサイトやフィッシングサイトに使うといった「ドメイン名取得者のモラル意識の低下」もあるという。

 このほかにも「普遍的事情」として、一度ドメイン名を失うと、奪回には労力とコストがかかることもあるため、「商標やブランドの管理と同じく、ドメイン名を重要なリスクと位置づけ、きちんと管理することが重要だ」と述べた。

 同じく普遍的事情として、「ドメイン名登録者がどの事業者で登録したか覚えていない」というありがちなトラブルも挙げた。「日本の事業者ならともかく、海外で格安のレジストラをたまたま見つけて取得したが、返信メールをなくしてしまったために、どこで取得したかわからなくなったり、更新の通知メールを見落とすケースもある。安いことは重要だが、自分で管理できないのであれば、きちんと管理できる業者で登録すべき」とした。


CNNICから届く、スパムのような正規メールにも注意

 セッションの最後の質疑応答では、会場にいたJPNICのスタッフから、不気味な明朝フォントの通知によく似たケースもあるとの情報が寄せられた。これは、中国のドメイン「.CN」を管理しているCNNICから、企業などに対して「おたくの名前の.CNドメイン名が登録されようとしているが、このまま登録させていいか?」とたずねてくるメールだ。

 限りなくスパムに見えるが、これはスパムではなく、正規の手続きに則ったメールなのだという。「そういうドメイン名が登録されようとしていることを知らせなければいけないというポリシーが中国にはあるようだ。登録させていいというのであれば無視するという対応で間違いないが、そういったドメイン名が.CNで登録されようとしているということを、少なくとも認識しておく必要があるのではないか」とした。


関連情報

URL
  Internet Week 2007
  http://www.internetweek.jp/


( 永沢 茂 )
2007/11/22 21:24

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