東京ビッグサイトで16日から18日まで、光通信システムやデバイスに関する専門展「第8回ファイバーオプティクスEXPO(FOE2008)」が開催される。16日には基調講演が行なわれ、NTT東日本の大木一夫副社長が、3月から商用サービスを開始する次世代ネットワーク(NGN)の概要とブロードバンド事業戦略を語った。
● NGNは電話網とIP網の「いいとこどり」、オープン性を協調
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NTT東日本の大木一夫副社長
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大木氏は、ブロードバンドサービスの動向について、2007年9月にはFTTHの加入者が日本全体で1,000万人を突破するなど、FTTHの普及が急速に進んでいると説明。NTT東日本のサービスでは、2004年11月にBフレッツがフレッツ・ADSLの純増数を上回り、以降もフレッツ・ADSLを上回る普及ペースでBフレッツの加入者が増加しているとした。
また、インフラの整備と同時に、Web 2.0に代表されるようなインターネットサービスも登場し、ネットサービスとアクセスサービスが相互に影響しあい進化・発展していると説明。こうした状況の中で、多彩なブロードバンド・ユビキタスサービスを提供するネットワーク環境を実現するため、NGNの構築に取り組んでいるとした。
NGNについては、従来の電話網とIPネットワークの「いいとこどり」を目指したネットワークであると説明。長年かけて構築してきた電話網の信頼性や安全性と、IPネットワークのオープン性や経済性といったメリットを融合させ、IP技術による高品質のネットワークを実現するものだとした。
NGNの技術的特長としては、「品質保証」「セキュリティ」「信頼性」「オープンなインターフェイス」の4点を挙げ、特にNGNはインターフェイスを公開することで他事業者のネットワークも接続できる「オープン性」を有していると強調。「NGNはネットワークを構築することが目的ではなく、他事業者とのコラボレーションにより新たなサービスを創造することで初めて意味のあるものになる」と語った。
NTTグループでは、2008年3月末からNGNの商用サービス開始を予定しており、2006年12月からはNGNのフィールドトライアルを1年間実施してきた。トライアルでは、地上デジタル放送のIPによる再送信や、テレビ電話、高品質IP電話などをテスト。概ね良好な反応を得たが、地上デジタル放送の再送信については「チャンネルの切り替えが遅い」、テレビ電話や高品質IP電話については「通話先が少ない(相手も専用端末が必要)」といった指摘もあったとして、今後さらに改善や普及を進めていきたいとした。
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NTT東日本のフレッツサービス純増数の推移
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ネットサービスとアクセスサービスが相互に影響しあって進化・発展していると説明
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NGN構築の考え方
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NGNではコラボレーションによる新たなサービスの創造を目指す
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● NGNのサービス料金は、基本部分はBフレッツと同程度
NTT東日本のNGNの商用化スケジュールについては、2008年3月末に東京、神奈川、千葉、埼玉の一部エリアでサービスを開始。サービスエリアについては、当初はフィールドトライアルを募集した地域と同じ範囲になるだろうとした。その後、2008年度第2四半期には東京23区、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市に展開、2008年度第3四半期には政令指定都市や県庁所在地級都市に拡大し、遅くとも2010年度までには現行のBフレッツ提供エリア全域に拡大したいとした。
また、NGNサービスの料金については、インターネット接続やひかり電話など既存のBフレッツと同内容のサービスの部分については、現行料金と同程度。地上デジタル放送の再送信や高品質のIP電話など、NGNの機能を利用したサービスについては、オプション料金として提供したいと説明。また、インターネットに接続するISP料金についてはどうなるのかという質問に対しては、「料金については各ISPが決める部分だが、NGNだからと言ってISPに対して高い回線料金を請求するといったことはない」と回答した。
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NGN商用サービスのスケジュール
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商用化開始時に予定しているネットワークサービス
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関連情報
■URL
ファイバーオプティクスEXPO
http://www.foe.jp/
( 三柳英樹 )
2008/01/16 16:12
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