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情報モラル・情報リテラシー教育が、有害情報対策への解


コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事の久保田裕氏
 インターネット先進ユーザーの会(MIAU)が1日に開催したシンポジウム「青少年ネット規制法について考える」において、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事の久保田裕氏が講演した。同協会が行なっている著作権や情報モラルの普及啓発活動を紹介しながら、有害情報にどう対応すべきかのヒントを示した。

 ACCSでは、著作権保護のためには「法律・ルール」「啓発・教育」「技術的保護手段」という3つの側面からアプローチする必要があるとし、著作権侵害をなくすには、刑事摘発といった法律・ルール面だけでなく、情報モラルなどの教育や、DRMの普及などの技術面も同時に進めるべきと日頃から主張している。

 久保田氏は、「ルールとモラルは違うが、我々が持つ文化が凝縮されていくとルールになっていくという意味で、逆に言えば、例えば日本の歴史や文化を持った人間が、ある程度のコンセンサスを得られるものがモラルとしてあるのではないか」と指摘し、「こういった観点から有害情報にアプローチすれば、何らかの解答が出てくるのではないか」とした。

 また、子供の携帯電話の利用の是非に関しても言及し、「有害情報の問題とは違うかもしれないが、情報の渦に巻き込まれてしまい、自分の考えができないうちに、情報をパスするだけのコミュニケーションになってしまう。自分がどう考えるかではなく、どこかから切り取ってきた情報をパスする。情報が多すぎて、頭で考えなくなってしまう」と指摘し、こういうことについて気付いてほしいというのが、ACCSの情報モラル教育の原点だとした。

 そして久保田氏は、情報リテラシー教育の最も効果的な方法として、「クリエイティブな作業をする」ことを挙げた。「情報を発信してみることで、自分のアイデンティティの中でどうやって情報発信をしたらいいのか、誰に何を伝えたいのか、そして自分が伝えようとしている情報は正しい情報なのかどうなのか」をチェックできるのだという。

 その具体例として、高校生が地域FM局を使って、実際に自分で収集した情報をもとに番組を制作・放送する取り組みが出てきていることを紹介。「番組を作る中で差別的表現の問題や、正しい情報を取捨選択することも含めて検証しながら番組を作っていく。その過程で、情報モラルや情報を見る目が育まれる。そうすれば、有害情報について自分で判断ができるようになり、いろいろな情報があっても有害情報を選択しなくなる。小学校の3、4年生からそういう意識が出てくるのではないか」。

 久保田氏はまた、「親子の会話やコミュニケーションがきちんとできていれば、そんなに法律に頼らなくても、子供たちがきちんと判断できる環境が日本には十分にあるのではないか」とも述べた。


関連情報

URL
  MIAU緊急シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」
  http://miau.jp/1209319200.phtml
  コンピュータソフトウェア著作権協会
  http://www2.accsjp.or.jp/


( 永沢 茂 )
2008/05/02 16:56

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