「Interop Tokyo 2008」において12日、「IPv4アドレス在庫枯渇問題・克服への道筋」と題したコンファレンスが開催された。
IPアドレスは、インターネットにおいて通信をするために欠かすことのできない特別な識別番号である。現在使われているIPアドレスは、32ビットの長さを持つバージョン4(IPv4)。しかし、そのIPv4アドレスの在庫は残り数年で枯渇すると予測されている。新しいIPアドレスが手に入らなくなったとき、インターネットはどうなるのだろうか。コンファレンスでは、こうした問題を克服をするための方策などが話し合われた。
● IPv4アドレス在庫枯渇問題の現状
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JPNICの前村昌紀氏
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コンファレンスは、チェアである日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の前村昌紀氏から現状のIPv4アドレスの割り当て状況が示され、IPv4アドレスの在庫が順調に減っていることの説明から始まった。
予測によれば、IPv4アドレスの在庫が無くなるのは2010年から2011年。その時のために何をしなければいけないかという対策の検討について、総務省電気通信基盤局データ通信課の高村信氏、インテック・ネットコアの荒野高志氏、JPNICの前村氏の順に解説が行なわれ、選択肢としては「IPv6の採用」が最良であるとされた経緯が細かく説明された。
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最新のIPv4アドレスの割り振り状況
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IPv4アドレスの枯渇時期予測
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検討対象となった3つの案
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それぞれの評価結果
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インテック・ネットコアの荒野高志氏
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荒野氏からは、在庫が枯渇するまでの残りが1,000日を切ったこと、検討を始めた当初と現在では、取り巻く状況が大きく変わってきたことが示されている。つまり、当初はIPv6の普及過程においても、IPv4アドレスは潤沢に配布され続けるという前提があったが、現在ではIPv6が普及する前に新しいIPv4アドレスが入手不可能になるかもしれないリスクが重要課題になってきているということだ。
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在庫が枯渇するまでの時計
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変わってきた前提
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● IPv6は、もはや夢探しのためのものではない
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総務省電気通信基盤局データ通信課の高村信氏
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新しいIPアドレスが貰えなければ、ネットワークは広げられない。これは、インターネットの可能性を大きく制限する可能性がある。
高村氏は、「IPv6にしたいからではなく、選ばざるを得ない状況が生まれている。IPv6は、もはや夢探しのためのものではなくなっている」として次のように話を続けた。
「(こうした状況下で)IPv6の採用をするかしないかは、それぞれの事業者ごとのビジネス継続という視点からの判断である。役所は事業者の職業安定所ではなく、(それまで何もしないでいて、IPv4アドレスが)無くなった瞬間に泣きつかれても対応できない。」
「守るべきはユーザーであり、ユーザーが喜ぶものを考えて、みんなで一所懸命に考えていこうよというループをきちんと作らないといけない。役所として、やらなければいけないということはきちんとアピールしていくが、全員の説得よりも、理解していただいた方と一緒にやっていくほうに注力せざるをえない。」
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アドレス在庫枯渇への対応方法
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アクションプラン
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● 政府はIPv6へのルビコン川を渡る
さらに高村氏からは、「政府はルビコン川を渡った」として、11日に公開された「重点計画-2008(案)」の中で、電子政府・電子自治体システムのIPv6対応化が盛り込まれたことが報告された。これについては、前村氏から「IPv6が機器調達仕様に入るだけだと実感しにくかったが、電子政府システムのIPv6対応は、利用者がIPv6でアクセスできるようになることを意味し、大きな実感がある」という意見が出されている。
また、事業者にとっては、「遅くともIPv4アドレス在庫枯渇前までにIPv6を基本サービスに含まれるものとして提供」するという点が気になるかもしれない。この点については、さらなる議論を重ねる必要がある部分である。
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電子政府・電子自治体システムのIPv6対応化という記述
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IPv6アドレスを基本サービスに含むことが書かれている
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● IPv6は現実としての選択肢に
IPアドレスの新規配布が、インターネットにとって重要な意味を持つことは事実である。2010年というタイムリミットが現実味を持ちつつある中で、そのための“対応”ということを考えると、残された時間は少ないとさえ言える。特に、サービス提供者側としての事業者には、取り残されないために何をしなければいけないか、そうしたことに対応するために早めの調査と判断をすることがますます重要になってきたのではないだろうか。
関連情報
■URL
Interop Tokyo 2008
http://www.interop.jp/
重点計画-2008(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/juuten2008/pubcom.html
( 遠山 孝 )
2008/06/13 17:38
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