Webサイトのアクセス解析に関するセミナーや製品・サービスを紹介するイベント「第5回 アクセス解析カンファレンス」が24日、都内で開催された。主催者企画セミナーでは「インターネット視聴率データを活用しよう」と題して、ビデオリサーチインタラクティブ(VRI)の江村謙太郎氏と、ネットレイティングスの萩原雅之氏による講演が行なわれた。
● 競合だが調査部分ではパートナー関係
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ネットレイティングスの萩原氏(左)、VRIの江村氏(右)
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セミナーでは、主にネット視聴率データの収集方法や特徴について説明があった。まず、ネット視聴率とアクセス解析の違いについては、「測定対象の違い」を挙げた。ネット視聴率では、ユーザーを対象にしており、アクセス解析ではブラウザから得るデータを対象にしている。
萩原氏は、ネット視聴率について、「“視聴”と聞くと、サイトが見られている数だと思われがちだが、実際にはユーザーの行動を分析している」と説明。一方、「アクセス解析はCookieを基にしている。例えば1つのPCを複数人で使っていたり、Cookieを削除したりする場合があるので、ユニークユーザーの行動して見ることはできない」とした。
ネット視聴率の調査では、約7000世帯のパネルで実施しており、1カ月に10~20万サイトのデータが集まるという。その中で一定数以上視聴されているサイトを対象に分析する。調査世帯の家庭内にあるすべてのPCにトラッキングソフトを入れてもらい、利用者の情報を設定した上で、ネット視聴データを収集している。「人が集計の対象であることがアクセス解析との違い」(萩原氏)。
なお、VRIとネットレイディングスでは、調査面で協力しており、同じデータを基に分析している。「パネル調査の運営は両社共同で行なっている。競合ではあるが、そういった部分では重要なパートナー関係」(江村氏)。「データは同じなのに、分析した数字が違うのは、レポートの作り方や考え方が異なるから。分析方法を、各社がターゲットにしている顧客に最適化しているため」(萩原氏)だという。
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ネット視聴率とアクセス解析の比較
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ネット視聴率のデータ調査方法
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ネット視聴率からわかること
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● 「Alexa」はネット視聴率としては使えない
ネット視聴率からわかることについては、「自社サイトだけでなく他社サイトの動向もわかる」「サイト訪問者の特性がわかる」といった点を挙げた。「トラッキングソフトに個人情報を入力しているので、サイト訪問者属性(性別・年齢・世帯収入)までわかる」(江村氏)としたほか、「パネル調査なので性別・年代別で多く見られているサイトや、特定のサイトに関してどの性別・年代に多く見られているのかもわかるところがが特徴」(萩原氏)とアピールした。
このほか、「Alexa」についても言及した。萩原氏は、「Alexaは、『Alexa Toolbar』を入れている人だけのデータ。ネットユーザーの中でも一部の層に限られるし、ユーザーは世界中にいるため日本国内からのアクセスに限らない。また、日本でAlexaが流行ったのは3年前、2年前は韓国、去年は中国だったように、母集団に占める日本人の割合が変動する」と説明。「長いスパンでトレンドを分析する際、母集団が変化するのは致命的。そういった意味でネット視聴率の代わりにはならない」とした。
最後に、VRIおよびネットレイディングスの今後について紹介した。江村氏は、VRIが提供しているサービスを説明した上で、「ユーザービリティの改善および主要広告メニューの接触状況などに対応した分析システムのリニューアルを2009年度に行なう予定」とした。また、ネットレイティングスでは、10月にレポートの仕様を全面改訂するという。具体的には、RDDパネルに加えメガパネル(2万人)の運用を開始するほか、家庭と職場データをデフォルトにする。さらに、計測ソフトを刷新し、ブラウザ以外のネットアプリケーション利用も計測可能になるという。2009年には、モバイルサイト測定も開始する予定。これはVRIも検討しているとのことだが、具体的な方法については両社とも模索中だという。
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ネットレイティングスでは比較やポジショニング、VRIでは広告プランニングで活用する顧客企業が多い
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「Alexaは、確かによくできたインターフェイスで、使いやすい。娯楽として使うにはいいだろう」(萩原氏)
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関連情報
■URL
第5回アクセス解析カンファレンス
http://www.69day.jp/
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・ 10社の製品による同一サイトのアクセス解析結果を公表(2005/11/28)
( 野津 誠 )
2008/06/24 17:48
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