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日本のネットワークオペレーターが集結する「JANOG22 Meeting」開催

IPv4アドレス在庫枯渇問題などの課題解決に向けて情報交換

 日本のネットワークオペレーターの組織であるJANOG(JApan Network Operators' Group)は、7月10日と11日の2日間に渡り、東京・品川の品川グランドセントラルタワーで「JANOG22 Meeting」を開催した。

 JANOGとは、インターネットにおける技術的・運用的な事柄に関する事項を議論・検討することにより、日本のインターネット技術者および利用者に貢献することを目的としたグループである。今回のミーティングでは、IPv4アドレス在庫の枯渇に伴うIPv6への移行や、帯域制御に関する話題などが取り上げられ、それらについて活発な議論が行われた。今回はその中から、IPv4アドレスの在庫枯渇にかかわる問題を紹介する。


IPv4の枯渇後に予想されるNATによるサービス提供

(左から)コナミデジタルエンタテインメントの佐藤氏、NTTコミュニケーションズの西谷氏と宍倉氏
 「IPv4アドレスの在庫が枯渇するのは、わずか数年先である。その対策としてIPv6への移行が最も有力な選択肢となっているが、その移行はすぐに行えるというものではない。そこで、IPv6を前提に、どのようにすれば移行をスムーズに行なえるかという問題をみんなで考えたい」。

 NTTコミュニケーションズの宍倉弘祐氏は、プログラム「IPv4アドレス 販売終了のお知らせ? ~ISPによるNATで起きること~」の冒頭で、今回のテーマ選定の理由をこのように述べた。

 IPv4アドレスの在庫が枯渇するということは、インターネットにとって非常に大きな問題で、そのための解としてIPv6への移行を進めることになるが、世の中のネットワークが一斉にIPv6対応になるわけではない。ユーザーに提供するIPアドレスについても、IPv4用のサービスが大多数という状況の中で、IPv6アドレスだけを提供してもIPv4のサービスにはアクセスできないため、IPv4アドレスも同時に提供しなければユーザーはサービスを使わないことが予想される。

 しかし、すでにIPv4アドレスの在庫が枯渇し始めている状況で、ユーザーに提供するIPv4アドレスを潤沢に用意できるわけではない。そのため、IPv6アドレスに合わせて提供するIPv4アドレスに関しては、“IPv4プライベートアドレス+NAT”という形での提供となることが考えられる。

 だが、NATはその仕組み上、さまざまな制約をユーザーに与えてしまう。NATでもIPv4ネットワークへのアクセスは可能だが、サービスレベルの低下を伴う。宍倉氏は、IPv4アドレス在庫枯渇対策として、IPv6アドレスと“IPv4プライベートアドレス+NAT”の組み合わせを提供することの意味を説明し、続いてNATを採用することによって生まれてしまう制限や課題についての整理を行った。


IPv6への移行シナリオ 想定される移行時の接続イメージ

IPv6への移行期に必要とされるNATとは

ISPのNATが満たすべき要件
 続いての話者となったNTTコミュニケーションズの西谷智広氏は、「ISPに求められるNAT」として「キャリアグレードNAT」の提案を行った。キャリアグレードNATとは、移行期に提供されるNATサービスとしてISPなどが満たすべき条件のガイドラインのようなものだ。西谷氏は、P2PやVoIPのNAT越えの専門家という立場から説明を行い、その「満たすべき要件」として、高い透過性、高い接続確立性、公平性の確保を挙げている。

 NATという仕組みがアプリケーション開発をする上でいかに制約を生み出すか。そうした視点からは、コナミデジタルエンタテインメントの佐藤良氏が発表を行った。

 NATは、ネットワークの内側から外側に出て行く分にはいいが、外側からアクセスすることは容易ではない。佐藤氏はネットを利用するゲーム開発をする上で、メーカーがどのようなNAT対策を行っているかを紹介し、どのような苦労があるかといった話を交えながら「アプリケーションはどうするのか」についての説明を行った。

 その話から要点を拾い出すと、NATには数多くのタイプがあり、それぞれで越えかたも違うし、越えられないものもあるが、ISPにNATが入った場合にはどちらかというと条件はきつくなるという予想をしている。

 宍倉氏、西谷氏、佐藤氏の説明が終わり、宍倉氏の司会で会場から意見を求めたところ、会場からは非常に数多くの意見や質問が出てきた。その多くは、技術者の会合らしく実装や運用にかかわるものであったが、どのタイミングでISPが“IPv4プライベートアドレス+NAT”を提供するかはユーザーの移籍問題にもつながり容易に判断できないといったものもいくつか含まれている。こうした議論や検討を積み重ねていくことの意味は大きい。

 インターネットを発展させ、安定させている大きな原動力のひとつが、こうした場である。“技術”をその力として前進する素晴らしさを垣間見た気がした。


ISPにNATが入った場合 NAT越え手順の例

関連情報

URL
  JANOG22 Meeting
  http://www.janog.gr.jp/meeting/janog22/
  JANOG
  http://www.janog.gr.jp/


( 遠山 孝 )
2008/07/11 19:25

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