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価格.comのCOOが“荒れない口コミ掲示板”成立までの歴史語る


 オンラインゲームおよびコミュニティがテーマのカンファレンス「OGC 2009」で5日、カカクコム取締役COOの安田幹広氏による講演が行われた。「価格.comにおけるコミュニティの価値」と題し、最安値情報の提供と並んで重要なコミュニティ機能、中でも口コミ掲示板について、その歴史や位置付けなどを語った。


価格情報を参照したユーザーの約半数が、口コミ掲示板も利用

カカクコム取締役COOの安田幹広氏
 株式会社カカクコムは価格情報サイト「価格.com(かかくドットコム)」、グルメ情報サイト「食べログ.com」、旅行情報サイト「フォートラベル」など、口コミ機能を重視したWebサイトを複数展開する企業。いずれもユーザー視点に立って開発し、それが実現したうえで事業者向け広告サービスなどを提供するのが大きなミッションという。

 価格.comはその筆頭とも言えるサービスで2008年12月の月間利用者数が1728万人、同月ページビュー(PV)については7億を超えている。また2007年10月からは外部ショッピングサイトのデータを集め、価格.com上で検索できるように改善。3000万点近い商品がラインナップされている。このうち価格比較情報を提供するのは、約37万点。パソコン類に限らず、家電やプロバイダー料金も比較できる。

 価格情報だけでなく、商品の口コミ情報を提供するサービスも大きな柱だ。安田氏によれば「価格情報を参照したユーザーの約半数が、同時に口コミ掲示板も参照している」という。「景気後退が叫ばれている中、少しでも安い商品を求める人が多いとは思うが、掲示板に書かれた他のユーザーの意見を参考に、賢く買い物したい人が増えているのだろう」と安田氏は分析。また、例年であればボーナスの支給される12月が年間PVのピークになるが、今シーズンは1月でも負けず劣らずの数値を達成。「買い物の情報源として、ネットを利用するユーザーが増えてきていることを数値でも実感している」と補足した。

 また、商品データベースの充実度にも自信を見せる。各製品の情報収集は検索ロボットに頼るのではなく、専任スタッフがメーカーの公式発表などを整理した上で手入力しており、パソコンの詳細なスペックなども柔軟に検索可能。このような情報充実を図った結果、価格.comで商品情報を参照した後に、メーカーの商品サイトを訪れる傾向も高まっているという。


価格.comの月間PVの推移 メーカー情報サイト閲覧直前、価格.comが利用されているケースも増えているという

価格情報の補足から、製品型番別へと進化した口コミ掲示板

価格.comでは掲示板、レビュー機能、ショップ評価の合計3種類をコミュニティ機能として提供
 価格.comは口コミ掲示板、点数付けによるレビュー機能、ショップ評価の3種類がコミュニティ機能として用意されている。特に口コミ掲示板は歴史も長く、1月には累計書き込み数が900万件を達成した人気機能だ。

 ただしこの掲示板は「当初から戦略的に設置されたものではなく、微調整を繰り返しながら徐々に進化していった」と説明する。

 価格.comで最初の掲示板は、カカクコム創業の1997年にはすでに設置されていた。当時は創業者が1人で価格情報を収集していたためどうしてもデータ収集漏れがあり、それを補足する意味で一般ユーザーが口コミを寄せるためのものだった。名称は「特価情報専門掲示板」、サイトの背景も黒1色と、個人サイトの掲示板を思わせるシンプルなものだった。

 続いて1998年、Windows 98発売のブームに応える形で「Windows 98特設掲示板」がオープンした。ただし、この掲示板は価格情報の共有だけでなく、PCトラブルの相談所として使われるようになっていった。

 そして2000年には製品型番別に口コミ掲示板が設置され、製品に関する質疑応答が個別に行われるようになった。ほぼ現在の体制になったのは2005年で、ID制を導入する大幅リニューアルだった。責任がより明確化されたことの影響か、掲示板マナーや書き込みの質が結果的に向上する成果もあったという。また、書き込みの荒れによって中断していたショップ評価機能もこのタイミングで復活。いずれも現在に至るまで運用され続けている。

 このほか口コミ掲示板には初心者マーク機能も付加された。書き込み時の自己申告によって若葉マークを表示、他のユーザーの配慮を促しているという。安田氏は「書き込みの90%は質問」と説明しており、より多くのユーザーが気軽に利用するための施策も欠かせないようだ。なお、掲示板サービスは実験的ながらさらに拡張されており、時事ニュースを語る掲示板も用意されるなど、総合化が模索されている。


掲示板の変遷。1997年当初は「特価情報専門掲示板」として、価格情報の不足分をユーザーが補う性格が強かった 続く「Windows 98特設掲示板」は、次第にトラブル相談所として利用されるように

2000年に製品型番別掲示板が登場 2005年にはID制が導入された

閲覧者・投稿者・運営者それぞれにメリットある場へ

価格.com利用者アンケートの結果。8割以上のユーザーが、口コミを参考に買い物した経験があるという
 安田氏はユーザーアンケートの結果などをもとに「価格.comの掲示板は荒れることが総じて少なく、情報源として大きな信頼を得ている。8割以上のユーザーが、口コミを参考に買い物した経験がある」と説明。購買行動に大きな影響を与えているとした。

 また「書き込む理由に関する設問からは、質問をしたいというユーザーと同じくらい、相手の疑問に答えてあげたい、助けになりたいというユーザーの存在が浮かび上がってくる」という。

 安田氏は荒れが少ない理由について、最終的には読み手側のスキルに要求されるとしながらも「参加意識の高いユーザーが多く、書き込みの絶対数もまた多いため、結果として中立的な書き込みだけを読み進めることができるのではないか」と分析する。

 ここで、価格.comのコミュニティマスター(責任者)の言葉を借りながら、掲示板を成長させる上でのポイントについて意見が披露された。まず、運営側としては規約に則った掲示板を運営することに徹し、必要以上に介入しないことが前提。しかしユーザーの意見に耳を傾ける姿勢も欠かせず、常連ユーザーに使い続けてもらえるだけの安定した運営のノウハウもまた必要と言える。

 さらに価格.comでは製品型番別に掲示板が用意され、情報収集という明確な目的を持ったユーザーが利用している。掲示板をどのような目的のものにするかという“切り口”も掲示板の雰囲気作りに影響を与えるという。

 安田氏は「掲示板という器を用意するだけではいけない」とも解説する。価格.comでは詳細な製品情報を掲示板に紐付け、より有益な情報源として使えるための配慮も行っている。最後には「閲覧者、投稿者、運営者それぞれにメリットある場とすることが重要だ」と講演をまとめている。


掲示板成長のためのポイント 閲覧者、投稿者、運営者いずれにとってもメリットある場にすることが重要という

関連情報

URL
  OGC 2009
  http://www.bba.or.jp/ogc/2009/
  価格.com
  http://kakaku.com/


( 森田秀一 )
2009/02/06 11:56

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