日本でも東京電力が「TEPCOひかり」を提供するように、アイスランドでも電力会社がインターネット接続サービスを提供している。今回紹介するのは、首都・レイキャヴィク市を中心としたエリアに電力を供給しているレイキャヴィク・エナジーだ。
● 足回り回線にはPLCのほかマイクロウェイブも活用
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レイキャヴィク・エナジーの社屋
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レイキャヴィク・エナジーは、1999年1月にレイキャヴィク・ヒーティングとレイキャヴィク・エレクトロニックが統合、次いで2000年1月にレイキャヴィク・ウォーターが合併してできたアイスランドを代表するエネルギー企業。アイスランドを縦断する火山帯のマグマに熱せられた温泉を利用する地熱発電によって、発電だけでなく温水の供給も行なっている。最初の統合を行なった1999年からは、ISPに対してインターネット接続のバックボーンも提供しているという。
レイキャヴィク・エナジーの開発・新製品担当部長であるフォーレイフル・フェンソン氏は、「これまで莫大な投資を行ない敷設してきた電力線は各家庭に繋がっており、これを利用すればすぐにでもインターネット接続が提供できると考えた」という。バックボーンにはダークファイバなどの光ファイバを用いる。各家庭の変電装置を経由し、PLC(電力線搬送通信)よる提供を行なっているほか、ラストワンマイルにはマイクロウェイブを活用する場合もある。FTTHサービスの準備も進めているという。
バックボーンの伝送速度は10Mbps~2Gbps程度だ。フェンソン氏によれば「PLCでは1.5Mbps、マイクロウェイブでは2Mbpsで各家庭や企業に接続できる」という。時間の関係上、技術的な問題については詳しく聞くことができなかったが、「PLCやマイクロウェイブは、実現に向けてさまざまな問題があったことは認める。しかし、それらの問題も今では解決した」とコメントした。
なお、マイクロウェイブについては、オグ・ボーダフォンも提供している。同社デジタルコンテンツプロダクトマネージャーのコルベ・エイナルソン氏によれば、「マイクロウェイブはアイスランドでケーブルテレビの伝送路に利用されている場合もあり、インターネットにも利用できる」と解説した。
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レイキャヴィク・エナジーのフェンソン氏
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レイキャヴィク市内のネットワーク
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● 2005年第1四半期にFTTHを提供
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光ファイバの敷設工事
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レイキャヴィク・エナジーのフェンソン氏によれば、すでにFTTH用の光ファイバ敷設作業は始まっているという。2005年第1四半期中にも1,500~2,000世帯が利用できるようになる見込みで、「リーズナブルなコストで利用できる」。今後はインターネット接続、IP電話、デジタルテレビの、いわゆる「トリプルプレイ」実現を目指すとコメント。「EPG(Electric Program Guide)サービスの提供も協力企業と検討している」とした。
フェンソン氏は、FTTHで利用する光ファイバの敷設工事の様子も紹介。直径10~20cm程度のゴム製の管に包まれた光ファイバを直接土中に敷設する作業が印象的だった。
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光ファイバを通したゴム製の管を直接、土中に埋める
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市内で見かけた工事現場
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関連情報
■URL
レイキャヴィク・エナジー(英文)
http://www.or.is/Forsida/ENGLISHVERSION/
( 鷹木 創 )
2005/03/22 11:28
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