今年も残り1カ月。2006年の年賀状を準備するシーズンとなった。年賀状は日本人にとってもっともポピュラーな挨拶状だけに、注目度も高い。そこで今回は、大手ポータルサイト、Yahoo! JAPANに年賀状サービスについてお伺いした。
● サービス間の連携が充実
Yahoo! JAPANでは現在、2つの年賀状関連サービスを展開している。1つは「Yahoo!グリーティング」。相手先メールアドレスなどの基本情報を設定することで、Webブラウザ上で楽しめるイラストやメッセージを送信できるサービスだ。誕生日のお祝いや各種記念日など、季節やテーマに合わせた多数のカードが用意されており、年賀状関連もその1ジャンルとしてラインナップされている。
もう1つの「Yahoo!フォト 年賀状プリントサービス」は、紙製年賀はがきへの印刷サービスだ。注文はオンライン手続きのみで済み、印刷済みのはがきは郵送や宅配便で受け取る仕組み。また、3社の印刷パートナーと提携しているので、文面デザインやイラストの選択肢が幅広いことが特徴と言えるだろう。
● “駆け込み需要”の目立つYahoo!グリーティング
ヤフー株式会社メディア事業部の高橋博氏は、Yahoo!グリーティングを担当する。Yahoo!グリーティングの利用傾向については、“駆け込み需要”が多いという。「はがき年賀状は12月20日前後までの投函が勧められているが、Yahoo!グリーティングでは12月28日、29日ころから利用者が増え始める。1月1日になってからの利用者も多い」。
12月の最終週ともなれば、はがき年賀状の作成に関してほぼ一段落し、元旦に年賀状を届けるには投函が遅すぎるタイミング。一方、Yahoo!グリーティングでは、年明け直前であっても送付日時指定機能によって1月1日に届けられる強みがある。「(はがきを店頭で購入するといった)物理的な準備を必要としない手軽さもあって、年賀状を出すか出さないか迷っている人がギリギリになってYahoo!グリーティングを利用しているのではないか」と、高橋氏は見ている。
また、最近ではイラスト部分にFlashを活用したカードに人気が集まっているという。高橋氏は「ここ数年でネットワーク環境が一気にリッチ化(ブロードバンド化)したこともあり、写真を貼付した程度のメールならばHTMLメールを使った方が良いという状況になってきた。それだけに、ユーザー自身で作成するのが困難なFlashや、おみくじ機能などが付加された遊び心のあるFlashに人気が集まっている」と説明。2006年用年賀データとして追加されるものは、ほぼ全部がFlash形式になるという。
なお、グリーティングカード送信者・受信者ともにチャンスがあるプレゼントキャンペーンを、2004年12月に続いて今年も実施する。Yahoo!グリーティングでも、日本郵政公社発行の年賀はがきの大きな楽しみの1つである、お年玉くじの気分を体感できるという試みだ。
● 写真指定機能が強化された年賀状プリントサービス
一方、11月10日にオープンした「Yahoo!フォト 年賀状プリントサービス」は今がまさに繁忙期。例年のピークとなる12月第1~2週に備えて運営中だ。
ヤフーのサービス統括部で、個人ツール企画を担当する西本美和子氏によれば、「Yahoo!フォト」の大容量化によって、年賀状プリントサービスの使い勝手が向上したという。7月のバージョンアップによってフォト保存容量が、無料会員で最大300MB、月額294円のプレミアム会員は最大1GBに拡張された。無料会員は1回の操作で5MBまで、プレミアム会員は1回の操作で20MBまでアップロード可能だ。
年賀状印刷サービスでは、プレミアム会員向けの特典として、印刷基本料金の最大10%割引も実施する。
西本氏は、「写真年賀状印刷の利用者のうち、約半数がYahoo!フォトからの画像指定機能を利用している」と説明。今回は容量拡張後初めての年賀状シーズンであり、どのような利用実態になるかが注目されるという。この機能追加のほかに、QRコード対応年賀状など、はがきデザイン面での新しい試みも行なわれている。
2006年1月には、Yahoo!フォトの仕様が変更され、これまで一体的なサービスだったYahoo!ブリーフケースとの分離が行なわれる予定だという。西本氏は「Yahoo!フォトとブリーフケースは、もともと米国Yahoo!のサービスをローカライズしたものだった。これを分離することで、日本独自の機能拡張などがやりやすくなる」と説明。
今後の機能拡張については、残念ながらまだ公表段階にないとのことだが、Yahoo!フォトとブリーフケースの分離による日本独自のサービスに期待したい。
● 年賀状の将来~Web 2.0やショッピングとの連携に可能性アリ
2005年の正月、Yahoo!グリーティングでは、約200万通分の年賀カードが利用されたという。年賀状印刷とともに一定の市場が確保されたサービスだが、これからはどのように進展していくのだろうか。高橋氏は「オンライングリーティングカード単体の市場は、横ばい、あるいは減少していくのでは」という見解を語った。
その要因の1つとして挙げたのが、各国の文化・慣習だ。「米国人は、高級なクリスマスカードを買って送りあうのを楽しみにしている。そうした文化がもともとあるため、オンライン上のグリーディングカードサービスも有料サービスが受け入れられやすく、主流になりつつある」(高橋氏)。日本とは文化的土壌が違うため、日米で同じビジネスモデルでは通用しないという。
そうした中で、今後、具体的な方向性として考えられるのがWebメールを利用したグリーティングサービスだという。「ブロードバンド環境が普及し、画像などをメールに添付することも一般的に行なわれている。今後は、メール本文のURLをクリックしてグリーティングカードを見てもらう、という形よりも、HTMLメール自体がグリーティングカードになっているような形などが今後は主流になるだろう」(高橋氏)。
また、あくまでも可能性だと前置きしながらではあるが、Web2.0の考えをベースにした拡張や、オンラインショッピングを利用した際にグリーディングカードを送るなど、いろいろなサービスとの連携した利用方法が考えられるという。
Yahoo! JAPANではすでに、Yahoo!フォトに保存した画像をYahoo!グリーティングのカードに挿入して送れるといった連携サービスを始めている。ただしこの連携という方向性は、より一層推し進めていく必要があるという見解を高橋氏・西本氏はともに示した。
「グリーティングサービスだけの話ではなく、全体に関わる話になってしまうが、個人的には、今後はWeb 2.0的な考えに沿って、Ajaxを利用しての個人の使い勝手に合わせたメニュー表示など、よりわかりやすく使いやすいサービスにしていきたいと考えている。」(高橋氏)。
Yahoo!フォトとブリーフケースの分離による日本独自のサービスや、膨大な数の各種サービスの連携、Web 2.0的方向性を取り入れることで、よりパーソナライズ可能なインターフェイスなど、どれも現段階では提供が確定しているわけではないが、Yahoo! JAPANのサービスは2006年も進化し続けることは確実のようだ。
■URL
Yahoo!グリーティング
http://greetings.yahoo.co.jp/
Yahoo!フォト 年賀状プリントサービス
http://print.photos.yahoo.co.jp/nenga2006/
( 森田秀一 )
2005/12/12 13:47
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