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「インターネット白書2006」で見るインターネットの現在(5)

3人に1人が情報漏洩対策でWinnyを削除、ただし半数以上が継続利用を希望

 インターネットの利用実態について統計データをとりまとめた「インターネット白書2006」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレス R&D、定価:7,140円)が6月15日に発売された。今回は白書の中から、P2Pファイル共有ソフト「Winny」利用経験者の意識調査と、放送と通信の融合に関する意識調査の結果を取り上げる。


Winnyの用途は動画ファイルと音楽ファイルの交換が圧倒的

Winny利用歴
 Winny利用者の意識調査は、マクロミルのリサーチモニターから、Winnyを利用している、あるいは過去に利用経験のある人を抽出。調査は4月13日から14日まで実施し、307人から回答を集めた。Winnyの利用歴では、1カ月未満が25.9%で最多。3カ月未満が12.9%、半年未満が15.2%に上るなど、半年未満のユーザーが過半数を超えた。

 Winnyを使い始めた動機(複数回答)としては、66.7%が「無料でいろいろなコンテンツが入手できるから」と回答。以下は、「匿名でファイル交換ができるから」が28.8%、「話題になっているので」が22.3%などで続いた。

 Winnyで最も使用頻度の高い用途としては、動画ファイルの交換が47.2%で最も多く、2位の音楽ファイルの交換の39.2%と合わせると、全体の86.4%を占めた。ファイル共有ソフトで流通されているこれらのファイルは、その多くが権利者に無断で公開されているものとされており、今回の調査で改めてその実態が明らかになったとしている。


情報漏洩報道後も22.0%はWinnyを利用、過半数は今後も利用を希望

 Winnyを通じて感染するウイルスが引き起こす情報漏洩のメカニズムについては、「よく理解している」の30.7%、「まあ理解している」の45.0%を合わせた7割強が一応は理解していることがわかった。残る4分の1は、情報漏洩の仕組みを理解していなかった。Winnyの利用場所では、93.5%が自宅の私用パソコンと答えた。

 Winnyのウイルスによる情報漏洩の責任(複数回答)では、82.8%がユーザーに責任があると回答。その一方で、24.6%が法律や社会の不備、13.3%がソフトウェア開発者の責任であるとした。

 Winnyによる情報漏洩が報じられてからの利用状況としては、78.0%(241人)が利用していない(報道以前の利用中止も含む)と回答。これに対し、22.0%(68人)は利用を継続していた。なお、利用を中止した人のうち36.6%は「また使いたい」と答えており、継続利用者を含む50.4%がWinnyの利用を希望していることがわかった。


3割が情報漏洩報道以降にWinnyをアンインストール、継続利用者の3割は対策せず

 情報漏洩報道以降にWinnyの利用を中止した人がとった対策(複数回答)としては、44.8%(全体の35.0%)が「Winnyをアンインストールした」と回答。また、「ウイルス対策ソフトを更新した」(26.6%)や「Winnyの設定から漏洩してはいけないファイルを削除した」(9.1%)、「仕事用のパソコンと私用のパソコンを区別した」(2.9%)などの対策がとられたが、「何もしていない」も26.1%に上った。

 これに対して継続利用者側では、25.0%が「Winnyの設定から漏洩してはいけないファイルを削除した」ほか、13.2%が「仕事用のパソコンと仕事用のパソコンを区別した」と回答。その一方で、33.8%は何も対策をしないまま利用を継続していた。

 情報漏洩報道以降に、ISPや官公庁、セキュリティベンダーなどが実施した対策への評価については、セキュリティベンダーによる「ウイルスやWinnyの検出・削除ツールの開発」に対する評価が最も高かった。「評価できる・効果を期待する」(47.2%)と「評価できるが効果は期待できない」(34.0%)を合わせると、8割の人が評価した。また、「ISPによる通信制御・停止」は52.4%が評価し、このうち、25.2%が効果を期待できるとした。

 このほか、「安部晋三官房長官による国民へのWinny非利用の呼びかけ」は「評価できる・効果を期待する」(9.4%)と「評価できるが効果は期待できない」(43.4%)を合わせて過半数が評価した。一方で、「評価できない・間違っている」という回答も34.3%に上った。

 Winnyを含めたファイル共有ソフトの必要性については、「きわめて必要性が高い」が26.2%、「まあ必要だと思う」が51.5%で、8割近くが必要であると答えた。必要でないと回答したユーザーは、16.5%だった。



放送・通信融合のサービスイメージは「TV番組のネット配信」

放送・通信融合のサービスイメージ
 放送と通信の融合に関する意識調査は、マクロミルのリサーチモニターから、PCサイトの動画配信サービスの利用経験者を抽出。調査は4月13日から14日まで実施し、1,030人から回答を集めた。

 調査によると、放送(テレビ)と通信(インターネット)の融合が「進んでほしい」と答えた人は65.5%で、「進んでほしくない」の5.7%と大差がついた。しかし、「わからない」も28.8%に上り、放送と通信の融合によるサービスイメージがつかめないユーザーが3分の1近く存在することがわかった。

 放送と通信の融合のサービスイメージ(複数回答)としては、「TV番組のネット配信、番組アーカイブ」が82.0%で圧倒的に多い。2位は「TV放送と同時に別の端末へも配信」(56.2%)、3位は「既存のTV放送局以外の事業者の番組制作による番組の多様化」(55.8%)だった。


放送・通信融合後の番組、「お金を払ってもよい」は52.6%

 現在のTV放送の満足度では、「満足」と「やや満足」を合わせて51.7%が満足していると回答。「やや不満」は29.1%、「不満」は16.1%で、全体的に見ると満足している層と不満な層が半々に分かれた。

 満足していないと答えた466人に対して、不満点を通信が補えるかを尋ねたところ、補えるというユーザーは54.5%で半数を超え、補えないというユーザーは13.3%にとどまった。なお、わからないという回答も32.2%に上り、放送と通信の融合のサービスイメージ同様、結論が出ないユーザーが目立った。

 放送と通信の融合で関心のあるテーマ(複数回答)としては、「放送の公共性の維持」を挙げるユーザーが40.5%で最も多かった。以下は、「視聴記録が残ることによるプライバシー保護の議論」(34.4%)や「番組をネット配信する際の著作権問題」(32.3%)が続いた。

 個人の視聴履歴に基づいて個別CMを提供するパーソナライズサービスは、「プライバシーの保護対策ができればサービスはあってもよい」が57.1%、「視聴記録を用いたサービスは不要」が33.6%だった。また、融合後の番組について、「価値があればお金を払ってもよい」という回答が52.6%で、「すべて無料広告モデルがよい」の42.6%を上回った。


関連情報

URL
  「インターネット白書2006」概要(インプレスR&D)
  http://www.impressrd.jp/hakusho/internet2006
  「インターネット白書2006」販売ページ(impress Direct)
  http://direct.ips.co.jp/book/hakusho2006/

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( 増田 覚 )
2006/06/23 16:57

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