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「livedoorのリニューアルはCGM系を中心にするための変更」伊地知副社長

もうYahoo! JAPANの真似にはならない、あえて言えばライバルはGoogle

 ライブドアは3日、ポータルサイト「livedoor」のトップページをリニューアルした。通常のトップページである「ホーム」の他に「ニュース」「ブログ」という2つのトップページが用意され、それぞれを切り替えられるようになっている点が特徴だ。今回のリニューアルの狙いについて、同社ネットサービス事業本部執行役員副社長の伊地知晋一氏に話を伺った。


ブログなどのCGM系コンテンツを中心に据えたポータルへの移行

ライブドアのネットサービス事業本部執行役員副社長の伊地知晋一氏
 伊地知氏は今回のlivedoorのリニューアルを、「CGM(Consumer Generated Media)系のコンテンツを中心としたポータルにするための変更」と説明する。これまでのlivedoorは、他のポータルサイトと同様に「地図」「ニュース」「映画」「求人」といった各種のサービスメニューをトップページに並べ、総合型ポータルサイトの構成となっていた。この方向性を転換し、ブログやSNSのようなCGM系コンテンツを中心に据えるのだという。

 その理由について伊地知氏は、「現状では、ポータルサイト全体のトラフィックの50%をブログが占めている。従って今後のポータルサイトの方向性としても、やはり我々の強い部分を伸ばしていこうと考えている」と語る。ライブドアではブログ以外にも、SNSサービスの「livedoor フレパ」や画像共有サービスの「livedoor PICS」などのCGM系コンテンツを充実させており、今後はこれらを前面に出していこうという考えだ。

 しかし、ポータルサイトの売上という面では、「広告収入ではまだ通常のトップページの方が大きい」。そのため、今回のリニューアルでは従来型のトップページも残しつつ、「ニュース」「ブログ」という3つのタブを配置し、それぞれを切り替えられるようにした。伊地知氏はこれを「イメージとしてはトップページが3つある形」になったと説明する。

 リニューアル後のlivedoorにも従来型のトップページは残ってはいるが、いずれはCGM系コンテンツをメインにする。そのために、ライブドアでは従来型のトップページで広告収入を確保しつつ、CGM系コンテンツの収益向上に取り組む構えだ。伊地知氏は「CGM系コンテンツでお金を生む仕組みを作れるかということが、livedoorの今後の収益に大きく影響してくる。ブログのところで利益が出て初めて大きな売上になる」と語る。


マッチングの精度向上と広告の見せ方の工夫が必要

 現状のlivedoorの広告収入は、トップページに入っているバナー広告などの、いわゆる「ブランディング広告」の部分が大きい。一方、ブログの広告の中心は、記事中の文章に即していると思われる広告を機械的に判断して表示する「コンテンツマッチング」型の広告と、ブログ検索のキーワードに合わせた広告を表示する「キーワードマッチング」型の広告が中心となる。

 CGM系コンテンツを中心に据え、そこから収益を上げるために、伊地知氏は「マッチングの精度を上げること」が重要だと語る。「現状のキーワードマッチングやコンテンツマッチングは、精度が低いためにクリックされる割合も低い。文章内のキーワードマッチングでなく、構文解析のレベルまで持っていければ精度は上がる。マッチングの精度を上げることで売上はまだまだ伸ばせる」。

 さらに、広告の表示方法を工夫することでも売上は伸ばせるという。伊地知氏は「ブログに広告を表示するのはすごく難しい。ブログの作者には『自分の作品を広告で汚されたくない』といった思いもある。しかし、ブログを汚すことなく広告をうまく表示することは両立できるはず」と語り、マッチングの広告の表示方法を上げるだけでも、収益はかなり改善されるとした。

 多くのポータルサイトもブログやSNSなどの影響力に注目しており、ポータルサイトの最大手であるヤフーも「ソーシャルメディア」への転換を掲げている。これについて伊地知氏は、「私としては、ヤフーはそうはいかないのではないか」と指摘する。「我々はそれこそ、ブランディング広告は全部捨ててでも、CGMを中心に据えようと考えている。CGMを前面に持ってきてしまえば、ブランディング広告は取りにくくなるはず。ヤフーは利益も上がっており、あえてその売上を下げてまでCGMには来ないのではないかと思っている」と語り、livedoorはCGM系に注力することで、他のポータルサイトとの差別化を図っていくとした。


各サービスを「タグ」で横に連携させていく

 ライブドアではブログの他にも、Wiki(livedoor Wiki)、SNS(livedoor フレパ)、写真共有(livedoor PICS)、Q&A(livedoor knowledge)といった多くのCGM系サービスをスタートさせている。ただし、ソーシャルブックマーク「livedoor clip」を6月28日に開始したことで「サービスはほぼ出揃ったと考えている」。今後は新サービスの投入はあまり考えておらず、現在のサービスについて「精度向上と横連携を強めていきたい」という。

 伊地知氏は「サービスの横連携には『タグ』を据えようと思っている。既にlivedoor ブログでは、投稿時にタグを選べるようになっている。タグという概念で、例えばブログとPICS、SNSとQ&Aといったサービスを連携させる。タグによる横連携を強化することで、ブログ以外のサービスに対する垣根を下げていく」と語り、タグという共通概念を使ってサービスを連携させていくとした。

 また、トップページの右上には「RSS配信」というアイコンを配し、4月に開始したWeb型RSSリーダー「livedoor Reader」への誘導を行なっている。これも、「CGM系のコンテンツを見るための便利なツールとして使ってほしい」という考えからだ。livedoorの多くのサービスもRSSに対応させているが、「RSSリーダーは普通の人にはまだ敷居が高いのが現状。方向性としては、RSSリーダーをマイページのようにして、あらゆるサービスがそこで手に入るという見せ方はあるが、まだそこまでは考えていない」として、現時点ではlivedoor Readerは集客ツールとしての位置付けで、さらにツールとしての利便性を高めていきたいとした。


もう「Yahoo! JAPANの真似」にはならない

 これまでのlivedoorのトップページやサービスは、デザインが他のサイトに似ているという指摘も多かった。これについて伊地知氏は、「よくYahoo! JAPANに似ているとも言われたが、編集された情報を一方的に流す上で、一番優れているインターフェイスがYahoo! JAPANであることは間違いないと思う。いろいろなポータルサイトが、Yahoo! JAPANの真似にならないようにするがために、かえっておかしなデザインになっているようにも見受けられた。無理をせずに、最も使いやすいインターフェイスは使うべきだと思う」と語る。

 その上で、今後については「我々はCGM中心で行くことにした。目的が違うので、もうYahoo! JAPANの真似という感覚はない。ブログが強いポータルというものがないので、何かに似たものにはならない」という。

 伊地知氏は、「これだけCGM系をメニューに揃えているポータルはあまりないので、そういう意味では競合という意識を持っている会社はない」というが、ライバルはどこかという問いには、あえて言えば「Googleではないか」という。その理由については「我々はコンテンツをホスティングしているが、Googleは彼らのクローリング技術で整理して表示すれば、同じようなものが作れる。唯一できる会社があるとしたらGoogleだろう」と語った。


関連情報

URL
  livedoor
  http://www.livedoor.com/
  NEW livedoor TOPページを使い倒す!
  http://www.livedoor.com/r/ad_renewal200607

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( 三柳英樹 )
2006/07/03 12:55

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