シマンテックは6日、個人向け総合セキュリティソフト「ノートン 360 バージョン 2.0」を発表した。Webブラウザ経由の脅威を防ぐなどの新機能を搭載したほか、ユーザービリティの向上を図っている。米Symantecコンシューマ事業部門グループプロダクトマネージャを務めるジェフ・カイル氏に、「ノートン 360 バージョン2.0」のセールスポイントを聞いた。
● ブラウザ経由の脅威には多層型のプロテクションで保護
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ジェフ・カイル氏
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――「ノートン 360 バージョン2.0」の最大の特徴を教えてください。
カイル氏:ユーザーは何もしなくても保護されるという点です。ノートン 360には、「PCセキュリティ」「IDプロテクション」「バックアップ」「PCチューンナップ」という4つのカテゴリがあり、これらをオールインワンソリューションとして提供しています。特にバージョン 2.0では、ブラウザ保護やネットワーク監視、ID保護などの新機能を追加したほか、ユーザービリティとパフォーマンスの改善を図りました。
――最近ではWeb経由で感染するマルウェアが脅威となっています。多くのセキュリティ製品でもブラウザ保護を掲げていますが、ノートン 360はどのような方法でこれらの脅威に対抗しているのでしょうか。
カイル氏:多様な脅威に対抗するために、多層型のプロテクションを提供していることが特徴です。ウイルス対策だけではブラウザ経由の脅威は防げませんが、ノートン 360は定義ファイルに加えて、ビヘイビア(振る舞い)分析を用いて定義ファイル登録前のマルウェアを検知する「SONAR」技術、フィッシング対策機能など複数の対策を組み合わせています。
――バージョン 2.0に搭載されたブラウザ保護機能はどのような仕組みでしょうか。
カイル氏:Internet Explorer(IE)で発見された脆弱性を保護するだけでなく、未知のマルウェアや偽装されたマルウェアに対しては振る舞い分析で対処しています。ブラウザ経由の脅威は、ブラウザ上でコマンドラインが実行されることで発生しますが、ブラウザ保護機能では、ブラウザをモニターすることでコマンドラインの振る舞いを検知しているのです。
● バージョン 2.0では上級者向けの機能も追加
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ノートン 360 バージョン 2.0は、「PCセキュリティ」「IDプロテクション」「バックアップ」「PCチューンナップ」という4つのカテゴリで構成される
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――バージョン 2.0では、ネットワーク監視機能も追加されました。
カイル氏:LAN上に接続されているデバイスのセキュリティ状況を知りたいという要望に答えるために「ネットワークセキュリティマップ」機能を搭載しました。不明なデバイスが接続された場合、ユーザーはネットワークのパスワードを強化すればホームネットワークをよりセキュアできます。
このほか、自分が接続しているワイヤレスネットワークの安全度も表示することが可能になりました。これは、インターネット接続が可能なカフェや学校など外出先のネットワークに自分のPCを接続するユーザーが増えているためです。
――初心者がパスワード設定を変更するのは難しいのではないでしょうか。
カイル氏:確かに。不明なデバイスが接続されているという情報は把握できますが、自動的に解決する方法は提供していません。そのため、今後のネットワーク監視機能では、初心者の使用感をさらに考慮する必要があるでしょう。ちなみにこの機能は、上級者ユーザーからの要望に応えたものです。
――サイトに入力する個人情報を管理する「ノートン ID セーフ」も追加されました。これは「ノートン・インターネットセキュリティ2008」の新機能ですが、日本市場では評判が良いと聞いています。
カイル氏:その傾向は、日本だけでなく世界でも同じです。我々の調査では、ノートン・インターネットセキュリティ2008ユーザーの半数以上が積極的にノートン ID セーフを使っていることがわかりました。ユーザーの半数以上が新機能を愛用しているという数値は、十分評価に値するととらえています。個人的にもノートン 360 バージョン 2.0では、ノートン ID セーフが一番のお気に入りで、この機能がないPCを使うときにはとまどってしまうほどです(笑)。
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ネットワークセキュリティマップ
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ノートン ID セーフ
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――「ユーザーは何もしなくても保護される」と謳うノートン 360は、主にPC初心者をターゲットにしているように思えますが、バージョン 2.0ではより細かい設定が可能になるなど、上級者を意識した機能が追加されています。
カイル氏:前製品からバージョン 2.0発売まで1年間が経ちましたが、その間にユーザーから多数のフィードバックをいただきました。このうち、3分の1は上級者からの意見が占めていたため、バージョン 2.0ではこれらの意見を反映している部分もあります。
――バージョン 2.0ではノートン・インターネットセキュリティ2008の新機能が複数搭載されていますが、両者の対象ユーザーの違いはどこにあるのでしょうか。
カイル氏:どちらかというと、ノートン・インターネットセキュリティ2008は、ノートン 360よりも細かいセキュリティ設定をしたいというユーザーが対象です。「ピュアPCセキュリティ」に特化していると言えるでしょう。一方、ノートン 360はセキュリティに加えて、PCの最適化やバックアップに対応しています。そのため、オールインワンソリューションを求めるユーザーを対象にしています。ちなみに、オールインワンを求めるのは、初心者とは限りません。
● 「シマンテック製品=重い」は過去の話、バージョン 2.0ではさらに「軽く」
――バージョン 2.0では、スキャン速度やブート時間、メモリ使用量などのパフォーマンスについても、競合他社よりも優れていると聞きました。しかし一部のユーザーからは、「シマンテック製品=重い」という声を聞くこともあります。
カイル氏:確かに従来の製品ではそのようなことがあり、そのような意見は我々の教訓になっています。会社としては常にパフォーマンスの改善を重要視していて、今回の製品にも反映されています。一度「重い」と思われると、そのイメージは簡単に払拭できませんが、改善を続けることで「以前とは違うんだ」というイメージを持ってもらえるようになると考えています。
――バージョン 2.0では「軽く」するためにどのような改善をしたのでしょうか。
カイル氏:様々なレイヤーで改善を施しています。その中でも最も大きいのは、マルウェア対策時に、ウイルス定義ファイルではなく、SONARの技術を利用した振る舞い分析に重点を置くようになったことです。PCへの負担が大きい定義ファイルへの依存度を低くしたことで、パフォーマンスの改善が見られるようになりました。
――最近では、ヒーローキャラクター「ノートン・ファイター」を全面的に押し出しています。ノートン・ファイターは日本法人のみで展開しているそうですが、海外進出の予定はあるのでしょうか。
カイル氏:ノートン・ファイターは、セキュリティに興味がないユーザーに対して啓発できることから、とてもユニークなキャンペーンだと思います。日本で成功した場合には米国デビューもあるかもしれませんが、それはノートン・ファイター自身に聞いてみなければわかりません(笑)。シマンテックに堅いイメージを持っているユーザーにしてみれば意外なキャンペーンかもしれませんが、製品を見てもらえれば真面目であることがわかるでしょう。
――ありがとうございました。
関連情報
■URL
製品概要
http://www.symantec.com/ja/jp/norton/products/overview.jsp?pcid=mp&pvid=n3602
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・ 「ノートン 360 バージョン 2.0」発売、ブラウザ経由の脅威に対応(2008/03/06)
( 工藤ひろえ/増田 覚 )
2008/03/07 18:49
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