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「Live Search」日本版の動画検索
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マイクロソフトは1日、検索サービス「Live Search」の日本語版に、動画検索機能を追加した。日本版では「ニコニコ動画」内の動画にも対応するなど、日本市場向けの独自の機能が追加されている。
マイクロソフトでは、アジア地域における検索技術の研究開発センター「Search Technology Center(STC)」を中国の北京に設置している。2008年夏からは日本にも組織(STC Japan)を発足してサービスの開発に取り組んでおり、今回の動画検索機能もこうした取り組みを通じて、日本向けにカスタマイズされているという。
Live Search動画検索の日本での開始について、Microsoft STCのGeneral Managerを務めるSteve Macbeth氏とPrinciple Development ManagerのSean Yang氏、Microsoft Live Search RedmondのPrincipal Program Manager Leadを務めるYu-Ting Kuo氏、マイクロソフトLive Searchチームのプロダクトマネージャーを務める吉岡さやか氏に話を伺った。
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(左から)Yu-Ting Kuo氏、Steve Macbeth氏、Sean Yang氏、吉岡さやか氏
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――マイクロソフトのSTCはどのような組織なのでしょうか
Macbeth氏:我々は市場の現地のニーズを理解するとともに、それをグローバルな展開と調整することについて取り組んでいます。検索技術は非常に奥深い技術であるので、革新を生み出すためには世界的な組織が必要です。しかし同時に、ローカルなニーズを理解するためには地域に密着して、言語や文化、ユーザーのニーズを理解しなければなりません。そうした状況に対応するために、米国でグローバル展開を進めるとともに、それぞれの市場における適応も進めています。
――Live Searchの動画検索は既に米国では開始されていますが、その他の国でも展開しているのでしょうか
Kuo氏:動画検索は2007年10月に米国で開始しましたが、成長率という点では他社に比べても高い伸びを示しており、開始から半年でクエリーは倍増しています。動画検索は、2008年の初めには5つの国際市場(英国、カナダ、オーストラリア、インド、中国)向けにサービスを導入しており、今回の日本が7つめの市場となります。また、今後はさらに国際的な展開を進めていく予定です。
――動画検索で日本向けにカスタマイズした部分はどこでしょうか
吉岡氏:まず、日本固有のコンテンツをクロールしている点があります。たとえば、ニコニコ動画に対応しているのもその1つで、ログインが必要なサイトに対応したのは初の取り組みになります。また、いわゆる動画共有サービスだけでなく、幅広いサイトの動画をインデックス化しています。マイクロソフトがサイトをクロールするだけでなく、さまざまなコンテンツプロバイダーとも協力を行っています。検索結果についても、日本のコンテンツが上位に表示される仕組みとなっています。
――ユーザーインターフェイスの部分では日本向けの特徴はありますか
Kuo氏:サービスを提供していく中で、ユーザーがどのように利用しているのかを見ながら、日本に固有の部分があればそれを反映していく形になりますので、今後徐々に米国版と日本版の違いが目立ってくると思います。また、各市場ごとに標準的なインターフェイスやデザインにも違いがあります。たとえば、検索結果の中でキーワードを示すハイライトカラーの部分は、ほとんどの国では青色が使われていますが、中国では一般的に赤色が使われています。こうした違いへの対応もSTCの役割です。
Macbeth氏:マイクロソフトのアジアにおける資産としては研究体制があり、さまざまな基礎的な研究の成果が反映されています。たとえば、今回の動画検索で用いられているスマートプレビューの機能も、Microsoft Research Asiaにおけるマルチメディアの研究成果を活用したものです。スマートプレビューは動画クリップを適当にランダムに再生しているわけではなく、最も良いサマリー情報になるようにプレビューを作成しています。
――今後、動画検索の分野で強化していく点はどこでしょうか
Kuo氏:我々がユーザーに価値を提案していくためには、まずユーザーのニーズを把握していかなければなりません。動画検索という視点では人々が何を求めているかということを考えながら、改善に関しては3つの方向性を追求するものと考えています。1つ目は、より幅広いコンテンツを扱うこと。ユーザー生成コンテンツであれ、テレビの動画であれ、ユーザーが望むものを見つけられるようにすることです。2つ目はランキングのアルゴリズムの強化で、ユーザーにとっていかに関連性の高いランキングを提供できるか。3つ目は閲覧部分の強化で、たとえばスマートプレビューのような技術もそうですが、よりリッチな再生技術に向けて、ユーザーのフィードバックを得ながらさらに改善していきます。
Yang氏:長期的に見た場合には、動画検索の分野にはまだまだ大きなイノベーションの可能性が残されていると思います。そこで我々は強力なリサーチ機能であるとか、あるいはマルチメディアの専門性、そしてビデオ処理技術などを活用しながら、積極的にイノベーションに取り組みたいと考えています。
Macbeth氏:アジア市場においてはソーシャルコンテンツも重要になると思います。動画に対する評判や感想、コメントといったユーザー生成コンテンツを集約することを目指したいと考えていまして、動画だけでなくそうしたソーシャルコンテンツも網羅したいと思います。
――Googleが公開した、動画内の音声をテキストで検索できる技術(Google Audio Indexing)についてはどう思われますか
Kuo氏:ある意味ではとても興味深い技術で、コンテンツ分析やメタデータ生成という点では、音声からテキストへの変換は有用です。我々も同様の技術を持ち合わせていますので、そうした技術についての検討も進めていきます。また、さらに他の技術もエンドユーザーに提供していきたいと考えています。たとえば、あるユーザーがブリトニー・スピアーズに関心があったとすると、その関心はコンサートの映像にあるのか、それともインタビュー映像なのか、あるいはゴシップ映像なのか。そうしたユーザーが求めている映像の種類を、検索結果から選べるようにしていきたい。あくまでも将来のビジョンとして考えているもので、技術としてはかなり難しいものですが。
――ありがとうございました
関連情報
■URL
Live Search
http://www.live.com/
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( 三柳英樹 )
2008/10/02 11:47
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