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Lunascape5.0で広く一般の人が、普通に最新技術を使えるように

近藤秀和社長に聞く新バージョンのポイント

Lunascape5.0
http://www.lunascape.jp/
 Lunascapeは18日、新バージョンのWebブラウザ「Lunascape5.0」の正式版をリリースした。Lunascape5.0は、3種類のレンダリングエンジンを搭載し、サイトによって使い分けることができるほか、高速なJavaScriptエンジンにより快適にWebアプリケーションが利用できる点をアピールポイントとしている。

 また、Lunascapeでは2008年6月に米国子会社を設立しており、Lunascape5.0の英語版をリリースしたところ、海外からも大きな反響があったという。Lunascape5.0で目指したものと、今後の海外での展開などについて、代表取締役社長兼CEOの近藤秀和氏に話を聞いた。


3つのエンジンを使い分けることで、高速化を体感してほしい

Lunascape代表取締役社長兼CEOの近藤秀和氏
――Lunascape5.0のセールスポイントは?

近藤氏:Lunascape5.0は、今までで最も長い期間をかけて開発してきた、かなり戦略的なバージョンで、一番の売りは「トリプルエンジン」ということになりますが、これは「Trident」というInternet Explorer(IE)のエンジンと、「Gecko」というFirefoxのエンジン、それから「WebKit」というSafariやGoogle Chromeに搭載されたエンジン。この3つが1つのブラウザで使えます。

 また、トリプルエンジンに加えて、高速化が2つ目のポイントになると思います。エンジンという意味では3つのレンダリングエンジンに加えて、高速JavaScriptエンジンの「TraceMonkey」が使える点も非常に大きいです。近年、各種アプリケーションがWebアプリケーション化していく中で、ブラウザの性能が改めて非常に注目されています。Lunascapeは、この高速化という部分でもできれば世界一になりたいと思っています。ベンチマークでは、抜きつ抜かれつというところなのですけれども。ともあれ、そうした高速化を進めていると、JavaScriptが速いというだけでもインターネットの利用自体にかなりの影響を及ぼすということがわかってきました。


ウィンドウ左下のアイコンからレンダリングエンジンが切り替えられる

JavaScriptのベンチマーク結果(Lunascape社調べ)
――3つのエンジンが使い分けられるという点は、上級者に向けたアピールポイントになるのでしょうか。

近藤氏:私たちが本来目指しているのは、ユーザーがあまり意識せずにエンジンを使い分けられるという環境です。このサイトはこのブラウザでないと見られないとか、このサイトはこのブラウザでは遅いから別のものを使おうとか。ユーザーがブラウザに振り回されることなく、1つのブラウザで全部済ませられればそれが一番いいですよね、と。ユーザーはWebを見たいだけ、Webアプリを使いたいだけなので、最終的にはユーザーが意識せずに最適なエンジンが選択されるようになればいいと思っています。

 ただ、実際にはユーザーが何もわかっていないということはなく、必要に応じて自分でエンジンを切り替えていますので、現時点でもかなりいいものが提供できていると思います。現在の仕組みは「半自動」と呼んでいますが、見ているページに対して使用するエンジンを登録しておけば、次からはそのページは同じエンジンで処理されます。Webアプリによっては、エンジンを変えるだけでかなり速度に差が感じられるので、いろいろと試してみてみると面白いと思いますよ。

――トリプルエンジン以外ではどのような改良点があるのでしょうか。

近藤氏:従来のバージョンから比べると、起動速度もかなり高速化されています。また、不具合もかなりの数を修正しています。ブラウザとして見た場合に、かなり安定度が高く、きびきびと高速に動作して、かつ使いにくかった部分をかなり改善できたと思います。非常に地味な変更も多いのですが、従来バージョンでは少し重かった部分や、メニューがごちゃごちゃしていた部分であるとか、そういうネガティブな要素がかなり解消されています。特にIEをお使いの方には、ツールバーもそのまま使えるなど、ほぼ互換性がありますので、まずは使ってみてください、体感してみてくださいと言えるものに仕上げられたのではないかと思います。

――まずメインのターゲットになるのはIEユーザーということになるのでしょうか。

近藤氏:そうとも言い切れなくて、現在Firefoxを使っている方にもおすすめしたいと思っています。Firefoxのユーザーには、アドオンをたくさん入れてカスタマイズしている層と、ほとんど何も入れずに使っている層がいると思います。Lunascapeには、標準で各種のアドオンに相当する必要最低限の機能が入っているので、アドオンを入れなくても普通の使い方をする上ではほとんど困らないと思います。従来のバージョンでもそうだったのですが、今まではその部分をあまり主張してこなかったというか、どこにその機能があるのかがわかりにくいという問題がありました。その点についてもだいぶ解消したのではないかと思います。


海外でも高い注目、英語以外の言語版も展開していきたい

Lunascapeの英語版サイト
http://www.lunascape.tv/
――Lunascape5.0は英語版もリリースしましたが、海外での反応はいかがでしょうか。

近藤氏:日本ではまず「速い」という点が評価されましたが、海外ではトリプルエンジン搭載という点に高い評価をいただきました。日本では「エンジンを3つも使わないよ」といった反応だったのですが、海外では「複数のエンジンが使えることで、ブラウザの概念も変わってくるだろう」といった反応が多くありました。また、日本ではやはりブランド志向のようなものがありますが、海外ではいいものは評価するというフラットな感じがあります。ここはいい、ここは悪いから直せといったフィードバックも、海外からの方が明確です。

――そうした反応は予想通りでしたか。

近藤氏:ある部分では予想通りでしたが、英語圏以外でもいまだにニュースサイトで取り上げられたりと、ここまでの広がりを見せたのにはびっくりしました。インストールベースで見ても、197の国と地域に広がっています。

――米国に子会社も設立しました。海外展開はさらに広げていく予定でしょうか。

近藤氏:当初から、世界に日本の技術を出していくんだ、世界に広めていくんだということは考えていました。そういう思いもあってシリコンバレーに子会社を作りました。やはり世界からトップのエンジニアが集まってくるというのは、刺激的でいい環境だなと思っています。ただ、一方では国境はどんどんハードルが低くなっているなとも感じています。先日エンジニアを募集したら世界中から応募が来ました。面白いことをやっているところには国境に関係なく人が集まってくるという流れになってきていると思いますので、我々もグローバルになっていかないといけないなと思っています。

 言語については、まずは英語版からリリースしましたが、英語圏以外でもすごく反応がありましたので、これだけの要望がある以上は他の言語版も作りたいと考えています。ドイツ語やロシア語、ポーランド語、スペイン語など、10カ国語ぐらいには対応していきたいと思っています。シリコンバレーに子会社を作って良かったなと思うのは、そういう展開をしていきたいと思ったときに世界中から人が集まっているので、適切な担当者が見つけやすいということです。


最新の技術を広く一般の人に

――今後のLunascapeで目指すところは?

近藤氏:なるべく広く一般の方が、普通に最新の技術を使えるようにしたいと思っています。たとえばLunascapeがRSSに対応したときには、ブラウザ上に自然にニュースが流れるようにしたわけですが、サーバーの都合などで配信が止まると「Lunascapeが壊れた」といったメールが来ました。RSSが何かは知らないユーザーでも、便利に使えているわけです。「壊れた」と思われるのは困りますが(笑)。ともあれ、技術の壁やいわゆるデジタルデバイドを、ブラウザの領域でなくしていければと思っています。

――高速化という点では現在各ブラウザが競い合っていますが、いずれあまり差は無くなってくるのでしょうか。

近藤氏:チューニングという意味では、よっぽど枯れたシステムでない限りは、やりかたはいくらでもあると思います。現在でも、まだあまり手が入ってないところをチューニングしただけで、かなり速くなることがよくあります。高速化については新しい技術が投入されて競い合っている状況です。まだまだ手を加える余地が十分にあると思います。

――具体的に次のバージョンではどのような機能を入れようと考えていますか。

近藤氏:機能面で実現したいことはまだたくさん残っていて、まずは今回入れられなかった機能を実装していくという作業になります。さらに不具合の修正や、ユーザーにわかりにくい部分の修正もありますが、一方では大胆な提案もしていければと思っています。Google Chromeが、タブをウィンドウの上に持ってきたり、アドレスバーと検索ボックスを統合したりといった提案をしてきましたが、ユーザビリティの面でもまだまだ考えることがあるなと思いました。

――Lunascapeもアドレスバーを統合するといったことは?

近藤氏:実は我々も過去に同じことを検討したことがあるのですが、その時にはアドレスバーと検索ボックスは独立して2個あるべきだ、という結論になりました。ただ、ユーザーの反響などを見つつ、いろいろと試していければと思います。

 ともあれ、物作りをしっかり見据えて、技術者のエゴにならないように、いいものを引き続き日本から世界にお届けしていきたいと思います。技術者のエゴにならないようにという意味では、ユーザーからいただくフィードバックがとても重要で、これまでにいただいたフィードバックが今回の製品にも反映されています。そういう意味で、ユーザーからの意見という応援を引き続きよろしくお願いします。

――ありがとうございました。


関連情報

URL
  Lunascape
  http://www.lunascape.jp/

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Lunascape5.0正式版公開、3種類のレンダリングエンジンを搭載(2009/03/18)


( 三柳英樹 )
2009/03/18 13:53

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