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防災メールの情報漏えいに便乗する詐欺に注意! メールやSMSのリンクから手続きしないで

 自治体の防災メールは、大雨や地震、地域の防犯情報などを知らせてくれる大切なサービスです。その配信に使われているサービスの1つが不正アクセスを受け、最大約313万6000件のメールアドレスが漏えいした可能性があると発表されました。

 自分の住む自治体でも使われていると知れば、不安になる人もいるでしょう。気を付けたいのは、その不安につけ込む詐欺メールです。「漏えいした情報を守るために手続きしてください」などと親切そうに呼び掛け、個人情報やクレジットカード情報を盗んだり、お金をだまし取ったりする手口が考えられます。今回は、過去の事例から想定される注意したい詐欺メールのパターンと、被害を避けて適切に情報を確認する方法を紹介します。

防災メールの登録情報が漏えいした可能性。便乗した詐欺に注意

 10月13日、株式会社アルカディアは情報配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」への不正アクセスがあったことを公表しました。自治体などが防災情報や緊急連絡を住民へ送るために利用しているサービスです。同社は10月11日に不審な動きを確認し、翌12日に侵入経路を遮断しました。サービス自体は15日に復旧しています。

 10月16日時点で、SpeeCAN RAIDENから漏えいした可能性のある情報は、メールアドレスが最大約313万6000件、電話番号が約10万5000件、FAX番号が約1万5000件とされています。氏名などが含まれる場合もあります。

情報配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」を提供する株式会社アルカディアは、個人情報漏えいの可能性を公表し、調査状況を更新しています

 これを受けて千葉市は「ちばし安全・安心メール」の登録者について、メールアドレスと配信を希望する地域の町名が漏えいした可能性を公表しています。佐世保市も今回の不正アクセスについて注意を呼び掛けており、10月15日には不審なメールに関する情報を追加しました。今回の不正アクセスとの関連は確認されていませんが、複数の市民から、クレジットカード会社を名乗り、高額な取引の確認を求めるメールが届いたとの連絡が寄せられているとのことです。

 情報漏えいのニュースを知ると、「自分の情報も漏れたのでは」と不安になる人もいるでしょう。詐欺師はその不安につけ込み、実際に情報が漏えいしたかどうかに関係なく、「登録情報を確認してください」などと偽メールを送りつけることができます。事件が報じられたことで、普段なら疑うような案内も信じてしまうかもしれません。さらに、メールアドレスが本当に漏えいしていれば、クレジットカード会社を装うなど、別の詐欺にも悪用される恐れがあります。

 そこで、情報漏えいへの不安につけ込んでさらに個人情報をだまし取ったり、金銭を支払わせたりすることを狙う詐欺メールの例を、3パターン紹介します。文章そのものは、過去の例を参考に筆者が作成したものです。

想定例 1:パスワード変更を装って情報を盗む

件名: 【重要】不正アクセスに伴うパスワード再設定のお願い

差出人: 防災メール配信サポート(notice@bosai-support.example)

本文:
防災メール配信システムへの不正アクセスに伴い、登録者の皆様にパスワードの再設定をお願いしております。

今後も安全に防災メールを受信していただくため、登録されているメールアドレスのパスワードを変更してください。
下記の専用ページから、ご利用中のメールサービス(Gmail、Yahoo!メールなど)を選択し、パスワードの再設定をお願いいたします。

https://bosai-support.example/password/reset

24時間以内にお手続きいただけない場合、防災メールの配信を一時停止することがあります。

 パスワード変更のお願いを装ったフィッシング詐欺です。リンク先にはGmailやYahoo!メールなどの偽のログイン画面が用意され、現在使っているパスワードを入力させようとします。入力するとパスワードが詐欺師に知られ、メールを勝手に読まれたり、別のサービスのアカウントを乗っ取られたりする恐れがあります。

 実際にアルカディアは、不正アクセスを受けてパスワード変更を求めています。ただし、対象は、SpeeCAN RAIDENのシステムの管理画面を利用する人(自治体の担当者など)です。防災メールを受け取っているだけの住民が、GmailやYahoo!メールなどのパスワードを変更する必要があるという案内ではありません。

想定例 2:無料の防災用品を申し込ませる

件名: 【防災メール登録者限定】防災セット無償配布のお知らせ

差出人: 防災メール登録者サポート(support@bosai-gift.example)

本文:
このたびの情報漏えいに関するおわびとして、防災メールにご登録いただいている皆様へ、防災セットを無償でお届けいたします。
セットには非常食、保存水、携帯トイレなどが含まれます。
商品代金は無料ですが、送料500円のみご負担ください。

数量限定のため、お申し込みは本日中にお願いいたします。

https://bosai-gift.example/present

 偽の通販サイトに誘導する詐欺です。申し込み画面で配送先の氏名、住所、電話番号を入力させ、送料の支払いに必要だとしてクレジットカード情報も求めてきます。送料を支払っても商品が届かなかったり、入力したクレジットカード情報が不正利用されたりする恐れがあります。

 国民生活センターには、通販サイトで代金を支払ったのに商品が届かず、クレジットカードを不正利用されたという相談も寄せられています。そもそも、今回の情報漏えいに関して、防災セットを無償配布するという公式発表は確認されていません。

想定例 3:漏えいした情報の確認を装う

件名: 【重要】防災メール登録者の個人情報確認のお願い

差出人: 防災メール情報管理窓口(info@bosai-registration.example)

本文:
防災メール配信システムへの不正アクセスに伴い、登録された個人情報が漏えいした可能性があります。
現在、対象となる登録者の確認と、今後のご案内に必要な連絡先の確認を行っております。
お手数ですが、専用ページからご本人様の情報をご登録ください。

https://bosai-registration.example/confirm

ご確認が完了するまで、今後のお知らせが正しく届かない場合があります

 自治体や配信事業者を装い、個人情報を集める手口です。リンク先に偽の確認フォームを用意し、氏名、住所、生年月日、電話番号などを入力させようとします。

 メールアドレスしか入手していなかった詐欺師でも、これらの情報を入手すれば、名前や住所を知っている相手として電話をかけたり、別の詐欺メールを送ったりできます。自治体の担当者を名乗っていても、メールで案内されたページに個人情報を入力してはいけません。

本物の通知でも、メールのリンクから手続きしないこと

 ややこしいのは、今回の不正アクセスを受けて、本物のパスワード変更案内も出されている点です。実際にアルカディアは10月15日、システムの管理画面にログインする利用者にパスワード変更を求めました。

 詐欺に遭わないためには、メールやSMS(ショートメッセージ)に書かれたリンクやボタンから手続きしないことが重要です。防災メールに関する案内が届いたら、自分で自治体の公式サイトを開き、同じお知らせが掲載されているか確認しましょう。普段使っているブックマークがあれば、そこからアクセスするのも安全です。不明な点があれば、公式サイトに載っている電話番号に問い合わせてください。メールに書かれた問い合わせ先は、詐欺師が用意した偽の番号かもしれません。

 警察庁も、一般的なフィッシング対策として、メールやSMSに記載されたリンクは偽装でき、本物かどうかを見た目で判断するのは難しいと注意喚起しています。差出人の名前が自治体やクレジットカード会社になっていたり、本文に自分の名前や住んでいる町名が書かれていたりしても、それだけでは信用できません。ロゴが正しく、日本語が自然でも同じことです。

警察庁も、メールやSMSのリンクを安易に開かず、公式サイトなどから確認するよう呼び掛けています

 クレジットカードの不正利用が心配なら、普段使っているクレジットカード会社の公式アプリや会員サイトで利用明細を確認しましょう。確認を促すメールが届いても、そのリンクからカード番号やパスワードを入力しないようにしてください。

 もし偽サイトを開いてしまっても、何も入力していなければ慌てずページを閉じてください。アプリのインストールやファイルのダウンロードも実行してはいけません。パスワードを入力した場合は、正規のサイトやアプリからすぐに変更し、同じパスワードを使っているほかのサービスも変更してください。クレジットカード番号を入力した場合はクレジットカード会社、ネットバンキングの情報なら銀行に直ちに連絡します。送料などを支払ってしまったときは、消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」に相談しましょう。

 メールアドレスが漏えいした可能性があるからといって、すぐに預金やクレジットカードが不正利用されるわけではありません。大切な防災メールの配信を慌てて解除する必要もないでしょう。今後、「安全のために今すぐ手続き」といった連絡が届いたときは、そのメールを閉じて、自治体の公式サイトで確かめてください。メールやSMSのリンクから偽サイトへ誘導する詐欺にだまされないために、ぜひ習慣にしてください。

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