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Winny漏洩やYahoo! BB個人情報流出事件の判決を解説、高橋郁夫弁護士


高橋郁夫弁護士
 情報処理推進機構(IPA)が24日に開催した「IPAフォーラム2006」で、IT関係に詳しい高橋郁夫弁護士が講演し、P2Pファイル共有ソフト「Winny」による一連の情報漏洩事件や、Yahoo! BBの個人情報流出事件の判決について、法的な観点から解説した。


Winnyで著作権侵害ファイルをダウンロードする行為も違法

Winnyに対する認識
 「Winnyで著作権を侵害するファイルをアップロードすれば違法だが、ダウンロードするだけでは合法」。Winnyの利用を巡って、このような議論が見られることがある。ダウンロード行為は、著作権法の「私的使用」にあたることから、違法ではないというのが根拠だ。しかし高橋氏は、「Winnyの仕組みでは、ダウンロードと同時にアップロードしている。そのため、ダウンロード行為だけでも、著作権侵害に該当する」と訴える。

 Winny開発者の金子勇氏が著作権法違反幇助の罪で逮捕されたことについては、「ソフトウェア開発者が技術の進化を求めることは、ある意味で『表現の自由』ともいえる」という見方を示した。その一方で、「ソフトウェアで著作権法違反行為を容易にすることも問題」として、「Winnyの位置づけに混乱が見られている」と語った。

 さらに、Winnyを介して情報漏洩した事実を開示することについて疑問を呈す。「情報漏洩を引き起こした企業は、プレスリリースや監督官庁への報告などが求められているが、情報開示することにより注目を集め、情報流出の被害を拡大している」。被害を最小限にするためにも、情報開示の仕組みを再考する必要があるとした。


北海道警の捜査資料流出裁判、「判決には違和感」

 Winnyを介した情報漏洩では、2004年3月に北海道警江別署勤務の巡査が所有するノートPCから、個人情報8人分を含む捜査資料が流出した事例を紹介した。この事例では、逮捕事実などの個人情報が漏らされたとして、江別市内の男性が北海道に損害賠償を請求。地裁では「警察官としての注意義務に違反し、国家賠償法の対象になる」として北海道に40万円の賠償を命じたが、高裁では「巡査の行為は職務とは無関係」として男性の訴えを棄却。男性は上告したが、2006年10月19日の最高裁第一小法廷で上告を棄却する決定が下されている。

 高橋氏はこの判決について、「個人的には違和感を感じている」としながらも、「事件当時は、情報流出を引き起こすウイルスが発見されてから5日程度しか経過していないことなどから、警察側の責任は微妙なところ」と解説。しかし現在では、ファイル共有ソフトを介した情報漏洩が一般化したことから、「企業などの管理者は、Winnyによる情報流出について相当の注意義務が求められる」と述べた。


違法コンテンツを運ぶパケットを拒絶する仕組みは考慮されるべき

 高橋氏は、ISPがWinnyによる通信を完全規制しようとした動きについても言及。2006年3月にはぷららネットワークスがこれを発表したが、総務省から「利用者の同意なく完全規制を実施することは通信の秘密の侵害にあたる可能性がある」との見解が示されたことから、実施内容を再検討。その結果ぷららは、加入者の同意を受けた場合にWinnyによる通信を遮断するにした。

 ぷららのWinny規制では、「電気通信事業者の取扱中に係わる通信の秘密は、侵してはならない」という、電気通信事業法第4条で規定する「通信の秘密」が議論の争点となった。「通信の秘密」について高橋氏は、「ISPが通信の内容を分析して、その通信を遮断するのは、無制限には認められない」としながらも、「実際の郵便では、人に危害を与える郵便物の配達を拒絶できる。違法なコンテンツを運ぶパケットについても、配送を拒絶できる仕組みが考慮されてもいい」と訴えた。


企業の個人情報流出事件は「事後対応で賠償金の評価も変わる可能性」

 続いて、国内では過去最大となる個人情報が流出したYahoo! BBの情報流出事件を解説。この事件は、運営会社のBBテクノロジー(旧ソフトバンクBB)の元契約社員らが当時使用していたパスワードで同社のサーバーに不正アクセスし、2003年6月に約471万人分、2004年1月に650万人分の個人情報が取得したというもの。この事件で同社は、個人情報が流出していないユーザーも含め、Yahoo! BB全会員に500円相当の金券を送っている。

 2006年5月には、大阪市の会員ら5名が慰謝料などの損害賠償を求めた訴訟で、大阪地方裁判所は、「外部からの不正アクセスを防止するための注意義務を怠った過失がある」として、BBテクノロジーに1人あたり6,000円の支払いを命じた。

 損害賠償額については、「二次流出があったとは認められない」「事件発覚後すぐに流出した事実を発表した」「Yahoo! BB全会員に金券を交付して謝罪した」「顧客情報に対するセキュリティ強化などの対策をとっていること」などの事情が考慮されたという。高橋氏は、「損害額は決して高額ではない。(情報流出した企業の)事後対応によって、賠償額の評価は変わる可能性ある」と分析した。


Yahoo! BB個人情報流出事件の判決 Yahoo! BBの個人情報流出事件から考えるべきこと

関連情報

URL
  IPAフォーラム2006
  http://www.go-event.info/ipaforum2006/

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( 増田 覚 )
2006/10/25 13:54

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