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「企業は今日からIPv6対応を検討すべき」NTT Com副社長が講演


 IP技術とビジネスをテーマとしたカンファレンス「Global IP Business Exchange 2009」が25日、東京都内で開催された。主催は、IPv6普及・高度化推進協議会。今年は、通信業界団体などで構成する「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」が特別協力し、IP技術に関連するグローバルビジネスについてのセッションのほか、IPv4アドレスの在庫枯渇に焦点を当てたセッションも設けられた。


企業はIPv4/IPv6デュアルスタックへの対応努力を

NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長・法人事業本部長の海野忍氏
 枯渇対策のセッションでは、NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長・法人事業本部長の海野忍氏が講演し、企業における対応の必要性を訴えた。

 海野氏は、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)にある未配分のIPv4アドレスの在庫が25日現在で全体の12%となっており、このまま割り当てを続けていくと2011年3月ごろに枯渇するとの予測が出ていることを改めて紹介。その上で、一般企業の社内システムを入れ替えるには計画・設計段階から構築までを含めると、どんなに早くても9カ月、通常は1年から3年を要するとして、「平均2年とすると、今がちょうど、IPv4アドレスの在庫が枯渇するタイミングの2年前。どういうシステムに変えていくのかを今日から検討しないと、間に合わなくなってしまう」と指摘した。

 IPv4アドレスの在庫が枯渇すると、新たにグローバルIPv4アドレスの割り当てを受けてサーバーを公開することが困難になるため、サービス拡大にあたり既存システムの拡張で対応することができなくなるという問題がまずある。また、すでにIPv4アドレスの割り当てを受けてサーバーを運用している企業で、特に拡張の必要がない場合であっても、ユーザーへのサポートとしてIPv6対応が必要になるという。

 すなわち、IPv4アドレスが配布されなければ、IPv6アドレスしか持たないユーザーが現れてくる。「予想だが、BtoBよりもBtoCの端末の方が意外と早くIPv6になるのではないか。例えばゲーム機や電話機などがIPv6になり、そういう端末からアクセスしようとした際、企業のサーバーがIPv6に対応していないとサービスを提供できない」。従来からのIPv4とこれから現れるIPv6の環境がしばらく併存していくことになるわけだが、これはBtoCに限らず、BtoBや社内アプリケーションでも同様だ。海野氏は「IPv4/IPv6デュアルスタックへの対応を企業の努力でやってもらわないといけない」と訴えた。

 企業は今後、こうした環境の中で、ユーザーのサポートを継続しつつ、二重投資を避けながら、事業の成長も阻害しないよう対処しなければならない。海野氏は「IPv6対応というのは、今、もう今日にも考えるべき時期に来ている」とした。


IPv6が普及し出したとしても、既存のIPv4も引き続き使われるため、しならく併存期間が続くことになる IPv4アドレスの在庫枯渇が起きた際に、企業にとって起こりうる問題は3点考えられるという

IPv6への早期移行が日本の国際競争力を発揮するチャンス

総務省総合通信基盤局長の桜井俊氏
 セッションでは、総務省総合通信基盤局長の桜井俊氏もあいさつした。

 桜井氏は、IPv4アドレスの在庫枯渇によって新しいユーザーを獲得できなくなったり、新しいサービスを提供できないというようなことは避けなければならないとし、「IPv6への早期移行がたいへん重要」とした。

 また、IPv6については、IPv4アドレスの枯渇対策という観点のほか、「セキュリティも飛躍的に向上する。機器の接続が容易であり、人とモノ、モノとモノ、人と人をつなぐユビキタス社会の基盤になる」とも指摘した。

 総務省では2007年8月から2008年6月まで「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」を開催し、アクションプランを策定。その流れを受けて2008年9月に「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」が設立された。

 さらに2009年に入り、総務省は改めて「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」を開催するとし、2月27日に第1回会合が行われる。IPv6への移行推進方策や利用促進方策について検討していく予定だ。また、2009年度予算ではIPv6技術習得のためのテストベッドの予算も盛り込むとしており、「地方の方々に、IPv6技術の習得で少しでも役に立てれば」と述べた。

 桜井氏は最後に、IPv4アドレスの在庫枯渇は世界的に直面している問題であるため、「IPv6への早期移行を進めていくことは特にアジア諸国も関心を持っている。日本がインターネットサービスやアプリケーション、ソリューションにおいて国際競争力を発揮できる、逆にいうといいチャンスだと思っている」とした。


関連情報

URL
  Global IP Business Exchange 2009
  http://ip-bizex.e-side.co.jp/

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( 永沢 茂 )
2009/02/26 11:06

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