● 「初音ミク」、「MIAU」がブログ界を賑わせた1週間
やわらかい話題では「初音ミク」関連、硬めの話題では文化庁のパブリックコメント関連と、先週のニュースはあちこちのブログや掲示板などのソーシャルメディアも巻き込み、大きなうねりを起こしました。関連する意見・議論をやたらとあちこちで見たという方も多いでしょう。
その他にも、迷惑メール対策の中間報告、懐かしい名前の「Netscape Navigator 9」の登場、「Gmail」のストレージ拡大にGoogle四半期決算、「モバイルGoogle」リニューアルなどなどニュースがたくさん。押さえておきたいニュースの解説は、文化庁のパブリックコメント募集に関する動きの整理です。
◆「ダウンロード違法化に反対」新団体MIAU設立で協力呼びかけ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/18/17236.html
18日、インターネットやデジタル技術に対する利用者の意見をとりまとめることを目的とした団体「MIAU」が設立発表会を開催。「ダウンロード違法化反対」の意見表明など、文化庁のパブリックコメントに関する活動のほか、国民への正確な知識の供給、リテラシー向上支援活動なども行なうとした。詳細は後半で詳しく解説します。
◆「初音ミク」の画像が検索できない~発売元は「削除は依頼していない」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/18/17223.html
18日、人気の人工音声ソフト(ボーカロイド)「初音ミク」のキャラクター画像が、GoogleとYahoo! JAPANの画像検索で表示されないことが話題に。グーグル、ヤフーは原因を調査中とコメント。意図的な操作や削除依頼によるものではないとしている。
◆事前承認なしの広告メール送信禁止など、迷惑メール対策研究会が中間報告
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/17/17210.html
16日、総務省は「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」の第4回会合を開催。事前にユーザーの同意を求めずに広告メールを送信することを原則禁止とする、などの中間報告をまとめた。
◆Firefox拡張機能が利用できる「Netscape Navigator 9」正式版
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/16/17192.html
15日、米Netscapeは「Netscape Navigator 9」正式版を公開。Firefox 2をベースとしており、Firefox 2用の機能拡張が利用できるのが特長。他に、Netscape独自の新機能も複数搭載している。
◆Gmailがストレージ容量を拡大、3GBを超えさらに拡大のペースを速める
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/15/17173.html
米Googleは12日、Webメールサービス「Gmail」の容量拡張が進み、3GBを超えたと発表。今後はさらに拡大のペースを進める、とも述べた。
● 「ダウンロード違法化」ほか、私的録音録画を巡る議論のこれまでとこれから
10月16日、文化庁は、文化審議会著作権分科会の「法制問題小委員会」と「私的録音録画小委員会」での議論をまとめた中間整理について、パブリックコメントの募集を開始しました。今回は、その中でも私的録音録画小委員会の中間整理に関するパブリックコメント、いわゆる「ダウンロード違法化」等について、流れを整理しておきましょう。
本連載の2007年9月10日の回で整理したように、コピーしても劣化しないデジタル機器に対して補償金を課す「私的録音録保証金制度」についての抜本的な見直しを行なうため、2006年から私的録音録画小委員会がこれまで議論を行なってきました。
この議論は、大まかに考えてコンテンツの権利者(レコード会社、テレビ局等)、録音録画機器などのメーカー、そして消費者という3つの視点から見ることができます。小委員会の委員にはそれぞれの立場にあたる人たちが参加しており、その他、大学教授のような中立的・大局的視点からの発言が期待される人たちも参加しています。
2007年9月13日の第12回会合にてまとめられた「中間整理(案)」で、いわゆる「ダウンロード違法化」が盛り込まれることになり、9月26日の第13回会合では、「YouTubeのようなストリーミング配信はダウンロードでない」といった解釈が示されました。議論の結果は、いくつかの注釈が付きながらもほぼ整理案のまま、10月12日の文化審議会著作権分科会で「中間まとめ」として報告されました。そして、16日からのパブリックコメント募集となっています。
これに対して16日、機器メーカーの団体であるJEITAが見解を発表。保証の必要性について充分な議論がされていないことに異議を唱えています。
デジタル製品を実際に利用する消費者が団体として活動することはありませんでしたが、委員の一人でもあるIT・音楽ジャーナリストの津田大介氏と、AV機器評論家の小寺信良氏、法政大学社会学部准教授の白田秀彰氏らが16日に新団体「MIAU」を設立。18日に「違法サイトからのダウンロード違法化に反対します」と設立発表会を行ないました。今のところ権利者団体の意見表明は特にされていません。
パブリックコメントは誰でも個人としての立場から送ることができ、メールによる提出が推奨されています。まずは各視点からの意見やパブリックコメントの募集資料、これまでの議事録(16.著作権分科会 私的録音録画小委員会)を参照しながら、自分の考えをまとめてみましょう。
2007/10/22 11:04
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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