文化庁は16日、文化審議会著作権分科会の「法制問題小委員会」と「私的録音録画小委員会」での議論をまとめた中間報告について、パブリックコメントの受付を開始した。募集期間は11月15日まで。
文化審議会著作権分科会では、著作権の法的問題について議論してきた「法制問題小委員会」と、私的録音録画補償金制度などについて議論してきた「私的録音録画小委員会」が10月12日に中間報告を行なったことを受け、それぞれの中間報告について広く一般からの意見を募集するパブリックコメントを実施する。
法制問題小委員会では、海賊版の拡大防止のための措置として、著作権法違反による摘発を著作権者からの告訴を必要としない「非親告罪化」することについて議論が行なわれてきた。小委員会の中間報告では、著作権侵害を一律で非親告罪化することは不適当であり、また一部の犯罪類型を新たに非親告罪化することについても、社会的な影響を見て慎重に検討することが適当であるとしている。
私的録音録画小委員会では、補償金制度自体の見直しや、違法サイトなどからの著作物のダウンロードを著作権法第30条に定められている「私的複製」の範囲外とすること、補償金制度の対象となる機器の見直しなどについて議論が進められてきた。
このうち、違法サイトやファイル交換ソフトなどからのダウンロードは、正規商品等の流通や適法ネット配信等を阻害するものであり、私的複製の範囲からは除外し、違法であるとすることが適当であるとする意見が小委員会では大勢であったとしている。ただし、利用者保護の観点からは、違法なコンテンツ・サイトであることを承知の上で行なう場合に限定するとともに、罰則は設けないとしている。また、アップロード側を送信可能化や自動公衆送信で取り締まれば十分であり、ダウンロードまで違法とするのは行き過ぎだとする意見が挙がったことも紹介されている。
私的録音録画補償金制度については、基本的な考え方として、ポータブル録音録画機やPCなど、補償金制度の対象外となっている機器による録音録画の実態が一般化しており、利用実態などを踏まえて対象機器・媒体を適切に見直す必要があるとしている。具体的にどのような機器を対象範囲とするかについては、ハードディスクレコーダーや携帯用オーディオレコーダーは対象に追加すべきという意見が大勢であったが、PCなど汎用的な機能を有する機器については意見が一致しなかったとしている。
パブリックコメントは郵送・FAX・メールにより受け付けており、寄せられた意見を踏まえて小委員会では報告書を2008年1月にまとめる予定としている。
関連情報
■URL
「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会中間まとめ」に関する意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000283&OBJCD=100185&GROUP=
「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000284&OBJCD=100185&GROUP=
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( 三柳英樹 )
2007/10/17 17:04
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