趣味のインターネット地図ウォッチ
地域の今後の変化を地図上でシミュレーションできる「MY CITY FORECAST」の全国版が登場
2016年10月20日 06:00
東京大学の関本研究室は、現在の人口分布や施設配置の状況をもとに、将来想定される地域の環境の変化を地図上に可視化するサービス「MY CITY FORECAST」の全国版を提供開始した。
オープンデータを用いて地域の課題解決を目指すコンテストイベント「アーバンデータチャレンジ」の2014年度アプリケーション部門の受賞作(受賞時の作品名は「How Will My City Affect Me?」)を正式サービス化したもので、自治体ごとの都市の将来像を市民に分かりやすく提示するシミュレーションツールを目指している。当初は一部の都市でのみ対応していたが、このたび全国版が提供開始となった。
同サービスでは、人口や行政コスト負担、病院、学校、スーパーマーケットなど生活にかかわる14の指標について、2015年~2040年にどのような変化が起こるかをシミュレーションし、その結果を地図上で見ることができる。現在のデータをもとに、今と同じ都市構造を想定した推定結果と、「計画された都市構造」を想定した推定結果を並列に表示することも可能で、現状からの変化や計画の効果を分かりやすく表示する。なお、計画された都市構造の推定結果については、自治体が算出した人口推計や施設配置推計などをもとにシミュレーションしている。
背景地図にはOpenStreetMap(OSM)を使用しており、地図上の色分けや項目ごとの時間的な変化をグラフ化して表示することができる。都道府県と自治体を選択すると地図画面になるので、調べたいエリアを地図上をクリックした上で、右メニューの上部スライダーで年代を決めると、その年代の推定結果が右側に表示される。
表のデータをクリックすると、グラフが表示されるとともに、地図上にヒートマップや関連施設の位置が表示される。例えば「学校施設」をクリックすると、学校施設へのアクセス時間ごとにエリアが色分けされるとともに、学校の位置がアイコンで示される。他の施設の場所を知りたい場合は、地図上部のメニューで表示させたい施設にチェックを入れると、選択した施設のアイコンが地図上に表示される。
このほか、利用者が「自分たちの街に必要なものはなにか」「今後暮らしていく上で重要だと思うものはどんな点か」といった意見をアンケート形式で登録することもできる。
さらに、同研究室を率いる関本義秀准教授によると、「MY CITY FORECAST」は11月上旬に、今後の都市計画をカスタマイズできる機能を搭載した「オンデマンド版」も提供開始する予定だという。カスタマイズ機能を利用すると、「人口を集めるとしたら、どの市内のどのエリアか」「どれくらいの人口になるまで、都市施設を保つことができるか」といった要素をユーザーが変更することが可能となるほか、地図表示レイヤーを追加することも可能となる。これにより、ユーザー自らが計画した独自の将来予測を行えるようになる。自分の街が将来どのようになるか気になる人は、ぜひ使ってみてはいかがだろうか。