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第68回:1万5000円を切る脅威の低価格ナビ「PND-A3510」レビュー


低価格PNDはいよいよ1万円台前半に突入

 ついにここまで来たか、と思った。なんと1万5000円を切るPND(Personal Navigation Device、簡易タイプのカーナビのこと)の登場である。もちろんPNDの中では最低価格帯だ。数年前にPNDが各社から相次いで発売されて、あれよあれよという間に2万円を切ったときにもかなり驚いたが、ハンファ・ジャパンが今回発売した「PND-A3510」の価格には、それ以上の驚きを感じた。

 なんせ1万4900円という実売価格は、ゼンリンのCDナビのディスクよりも安い。つまり地図データよりも安いという脅威の価格設定なのだ。その性能や使い勝手はいったいどの程度なのか、多くのユーザーが気になっているのではないだろうか。というわけで、今回はこの「PND-A3510」の実機をお借りできたので、詳しくレビューしてみたい。


ハンファ・ジャパンが1万4900円で発売したPND「PND-A3510」 車載した状態。上が「PND-A3510」で、下が5.8型液晶を搭載したCDナビ

バッテリー内蔵で徒歩でも使用可能

 「PND-A3510」は、その安さもさることながら、コンパクトで軽量である点も特徴に挙げられる。サイズは95×80×19.5mm(横×縦×厚さ)、重量は約150g。同じく3.5型タッチパネル液晶を使用したソニーの「NV-U3C」と比べると厚さの点では劣るものの、「PND-A3510」の方が幅が小さく重量も軽い。充電時間が6時間、使用時間が3時間のリチウムイオンバッテリーが内蔵されているので、徒歩で使うことも十分可能だ。

 電源は12Vのみで、24Vには対応していない。GPSモジュールは上位機種の「PND-A4320」と同じものが使われているが、添付するSDカードのマップデータの容量が「PND-A4320」は2GBであるのに対して「PND-A3510」は1GB。ただし容量が小さくなったとはいっても、高速道路のインターチェンジ案内や交差点情報など基本的な情報はしっかり収録されている。ちなみに地図データはゼンリン社製だ。


徒歩でも持ち歩けるコンパクトボディ 薄いのでポケットにも入れやすい

 車載方法は、吸盤タイプのスタンドで固定するというもの。付属の丸い取り付けプレートをダッシュボードに両面テープで貼り付けて、そこに吸盤をセットし、レバーを押し下げて吸着させればOKだ。スタンドのアームは上下の動きに加えて左右の首振りも可能。電源は本体のUSBコネクタにコードを接続して、シガーソケットに入れる。

 残念なのは、自転車用のブラケットなどが用意されていないこと。せっかくの小型・軽量ボディを活かすためにも、自転車にも搭載できるようにしてほしかった。また、同梱しているのはシガーソケットのコードだけで、PCと接続するためのコードなどは入っていないので、このままでは車に接続しないと充電できない。ただし、ミニBプラグのUSBケーブルでPCと接続してみたところ、画面上には「充電中」という表示が出た。USBケーブルさえ用意すればPCからの充電も可能なようだ。


車載用のスタンド 取り付けプレートと吸盤部分

意外と速いコールドスタート

衛星情報の画面。電波強度は右下に10段階で表示される

 電源スイッチは本体の上部にある。ここを押して手動でパワーオンすることも可能だが、エンジンの起動・停止に連動して自動的にオン・オフする機能も搭載している。これを使えば、ドライブ開始時にいちいちスイッチを押す必要がない。なお、自動パワーオフする場合は15秒のカウントダウンが行われるので、その間に中断させることも可能だ。

 ナビゲーションを起動すると、警告画面が表示されるので「確認」ボタンをタッチすると地図画面になる。コールドスタート(概略軌道情報を持たない場合の起動)は、ビルに囲まれた都内の場合でもけっこう速い。正直、低価格機種ということであまり期待はしていなかったのだが、この速さには驚いた。GPSの受信状況を確認すると、10段階のうちレベル3〜4程度しかないのに、現在地がきちんと表示されている。ウォームスタート(概略軌道情報を持つ場合の起動)もなかなか速いので、徒歩で使う際に電源オン・オフを繰り返すときも、軽快に使えるだろう。

 ただし、GPS衛星の受信状態を示す「GPS情報」の画面の情報量の少なさは不満だ。全体的な電波受信の強さと受信衛星の数を見られるだけで、衛星1つ1つの電波の強度を個別に確認することができない。

 受信状況以外の情報については、海抜高度や緯度・経度、方位、移動速度など細かいデータを確認できる。特に移動速度の表示はスピードメーターのようなデザインになっていて、なかなか見やすい。

全国のオービス設置個所のデータを収録

ルート設定の画面。ルート計算モードは4種類から選択可能

 ルート設定のやり方は、目的地を指定して「探索開始」を押す。ルート計算モードは、幹線道路を優先して探索する「おすすめ」と、高速道路を使ったルートを優先する「高速優先」、一般道を中心に探索する「一般優先」、距離が短いルートを探索する「距離優先」の4種類。経由地は最大5カ所まで設定できる。また、フェリーを使用するか否かも選択可能だ。

 ルート情報の画面では、走行距離やルート上の主要ポイントの確認などができる。また、一般道を30km/h、高速道路を80km/hで走行した場合の所要時間も表示される。

 地図表示は画面が小さいながらもなかなか見やすいが、市街地で細かい建物の形がわかるほど詳細なデータは入っていない。ルート案内中は、目的地までの距離表示や、交差点や高速道路出入り口など進路変更の方向とその地点までの距離、到着予想時刻や目的地への方向線などが表示される。

 交差点などで進路変更する場合は、画面が2分割され、右画面に交差点が拡大表示される。また、高速道路の場合はインターチェンジやジャンクション、SAなどの情報を距離の近い順に並べる簡易案内画面も右画面に表示される。なお、2画面表示中に右画面をタッチすると、地図画面だけになり、簡単に1画面と2画面を切り替えられる。ヘディングアップ(車の進行方向が上になる表示方法)とノースアップ(常に北が上になる表示方法)の切り替えもワンタッチだ。さらに、案内ルートから約100m外れた場合に、自動的にリルートするオートリルート機能も搭載している。

 オービス情報が収録されている点もオトク感が高い。全国の固定式オービスの設置個所データが収録されており、オービスに近付くと案内画面が表示される。ただし経路案内とオービス案内が重なる場合は、経路案内が優先される。

チェーン名ごとに分類されている施設情報

現在地の周囲にある施設のリストを表示可能

 目的地を設定する際は、住所検索のほか、駅名や施設名称、ジャンルでの検索も可能だ。ジャンル検索は「スポーツ」「文化施設」「遊ぶ・趣味」「温泉・宿泊施設」などさまざまな種類が用意されている。例えば「遊ぶ・趣味」を選ぶと、さらに細かく「遊園地(テーマパーク)」「牧場、農場、農園、工場」「海洋・海浜公園」「サファリパーク」などのリストの中から選択可能だ。

 施設情報が豊富なので、現在地の周辺情報を調べる際にも便利だ。地図画面の状態から、右下の「周辺」ボタンをタッチすると、「病院」「駅」「ファミリーレストラン」「ファーストフード」「ホテル」「コンビニ」「ラーメン屋」などさまざまなジャンルのリストが表示される。ファーストフードやガソリンスタンド、コンビニなどはチェーン名ごとに分類されているので、探している店をすばやく見つけ出せる。

 このほか、自宅や特定の地点を登録することもできる。旅行する時など、あらかじめ目的の地点を登録しておけば、すぐに呼び出せて便利だ。

不満点もあるが、圧倒的な低価格は魅力大

ルート案内中の画面。交差点名は音声で読み上げない

 残念なのはVICSに対応していないこと。せっかく目的地までの所要時間を表示する機能があるのに、渋滞情報が加味されないために参考程度にしかならない。価格が価格だけに標準搭載は難しいのだろうが、オプションで追加できるようにしてほしかった。

 また、自律航法機能も内蔵していないため、トンネルなどGPSの電波が届きにくい場所では位置を特定できなくなる。対策として、トンネルに入る前のGPS情報を利用して走行速度を予測し、経路案内を続ける「トンネル・アシスト」という機能が搭載されているが、これはあくまでも簡易的なもの。都市部のビルに囲まれてGPSの電波が受信しにくいエリアでは細かいナビゲーションを期待できない。

 ルート案内で不満な点としては、交差点にさしかかるときに交差点名を音声で読み上げる機能がないことが挙げられる。また、Y字路で斜め右に行く場合も、十字路で右折するのと指示が同じで、「斜め右」といった細かい指示は出ない。この点も少し残念だ。なお、今回実際に車に載せて走行してみたところ、大きなY字路にさしかかった際、どちらに行くかを音声で指示しないケースが1回だけあった。

 さらに、ソニーの「NV-U3C」に搭載されているような、マップマッチングを行わない徒歩を意識したモードが用意されていないのももの足りない。せっかくのコンパクト・軽量ボディを活かすためにも、次モデルには徒歩モードの搭載を期待したい。

 このような不満はあるものの、やはり1万4900円という価格にはものすごいインパクトを感じる。施設情報のデータも豊富だし、VICS非対応という点に納得ができるのであれば、十分に購入の価値ありだ。いったいPNDはこの先、どれくらいまで値を下げるのか。そんな期待を抱かせてくれる製品である。


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2009/8/20 11:00


碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース、コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。
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