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緊急レビュー

地図好きから見た「Nexus 10」、精細な表示と高精度GPSが魅力

やはり「みちびき」に対応? 地図アプリと測位精度をチェック

 昨年11月に世界市場で発売されたものの、日本国内での発売は延期となっていたAndroidタブレット「Nexus 10」。このNexus 10が2月6日にようやく日本でも発売となった。Androidタブレットの中でも最も高精細なディスプレイを持つNexus 10は地図好きにとっても大いに気になる製品ということで、今回は地図好きの目から見たNexus 10のレビューをお送りしたい。

Nexus 10

地図アプリやウェブ上の地図を精細に表示

 前述した通りNexus 10は日本での発売時期が他国に比べて遅れたため、今やほかのAndroidタブレットに比べてスペック的に抜きん出た存在ではなくなった。この製品の最大の売りである2560×1600ピクセル(300ppi)という高解像度ディスプレイについても、それを生かせる対応アプリがまだ少ないため、今ひとつ評価はされていない。

第3世代iPad(左)とNexus 10(右)
Nexus 7(左)とNexus 10(右)
Nexus 10の裏面

 しかしこの超高解像度のディスプレイは、特にラスター地図を見る上では大きな強みとなる。例えば地図アプリ「地図マピオン+3D」をNexus 10で見ると、まだNexus 10に正式対応していないためか注記がかなり小さめに表示されてしまうが、それにもかかわらずディスプレイが高精細なため、細かい文字でも潰れずけっこう読める。これは電子国土地形図を見られるアプリ「地図ロイド」や、先日リリースしたばかりの昭文社「山と高原地図」などでも同じだ。

 「東京古い地図」「因島古い地図」「延喜式ちずぶらり」などの古地図アプリでも同様で、Nexus 10ならば縮尺を小さくしても細部が潰れずに読み取れるので、その分だけ広いエリアを表示させることができる。ただし、残念ながらiOSに比べるとAndroidは古地図アプリが少ない。江戸時代や明治の地図を見られるアプリ「今昔散歩」もNexus 10には未対応でインストールできない状況なので、これらのアプリの対応とともに、さらなる古地図アプリの充実が望まれる。

地図マピオン+3D
地図ロイド
山と高原地図
東京古い地図
因島古い地図
延喜式ちずぶらり

 さらにこの解像度の高さはウェブ上の地図を見る上でも生かされる。産業技術総合研究所が試験提供している「地質図Navi」などはその一例で、地質図に記載された細かい文字や数字も読み取りやすい。これは「goo地図」で提供している古地図をはじめ、各地の図書館サイトで提供されている古地図などを見る上でも同じだ。

地質図Navi
goo地図の古地図

Google Earthの使い勝手も良好

 一方、「Google Earth」についてはどうだろうか。Nexus 10の紹介ページには「Nexus 10向けに改良されたGoogle Earth」と記載されているが、この点について具体的にどんな点が改良されたのかGoogleに問い合わせてみたところ、「詳細については公開しておりませんが、300ppiのスクリーンで美しくご覧いただけるようになっております」というコメントが得られた。

 衛星/航空写真については従来に比べて劇的に変わるというわけではないが、「建物の3D表示」の立体写真モデルは解像度が高くなったことにより精細に見える。iOS版のGoogle Earthはまだ日本の建物の3D表示に対応しておらず、Android端末ならではの良さと言えるだけに、3Dの立体写真モデルの映像を美しく表示できるNexus 10は魅力的だ。パフォーマンスについては3D表示をオンにすると多少もたついてしまうが、それほどストレスはない。3D表示をオフにすればかなりスムーズに動き、iPadと比べても遜色のない動きを見せる。

 さらに、iPadや、Nexus 7など低解像度のAndroid端末に比べて異なる点がもう1つある。それは施設情報やWikipedia情報など、画面上のマーカーをタップした時に表示されるウィンドウの見え方だ。

 iPadやNexus 7のGoogle Earthでマーカーをタップすると、マーカーの位置によって表示されるウィンドウの大きさが異なり、テキストが切れてしまうことがよくあるが、Nexus 10ではほとんどそのようなことが起こらず、ウィンドウの中でテキストがすべて表示される。投稿が多く寄せられている場合などはテキストが切れてしまうこともたまにあるが、それでもウィンドウの中に表示される情報量はかなり多い。地味な点ではあるが、こういう細かい使い勝手の差は毎日使っているとけっこう気になるものだ。

「建物の3D表示」立体写真モデル
テキストがすべて表示されるNexus 10でのウィンドウ表示
第3世代iPad(Retinaディスプレイ)でのウィンドウ表示
Nexus 7でのウィンドウ表示

GPSは「みちびき」と「GLONASS」に対応

 次にNexus 10のGPS性能についてチェックしたい。GPSの測位状況を調べられるアプリ「GPS Test」を見ると、Nexus 10がロシアの衛星航法システム「GLONASS」の衛星を捉えていることが分かる。図中の○印がGPS、△印がそれ以外の衛星だ。

 △印の衛星の中には、GLONASSのほかに193番の衛星が含まれているのが確認できる。193番は準天頂衛星(QZSS)の「みちびき」を示す識別番号(PRN番号)である。GPS Testのほかに「GPS Essentials」「GPS Status」といったアプリでも確認してみたが、いずれも193番を捉えていた。Nexus 10を製造するサムスン電子に問い合わせたところコメントは得られなかったが、みちびきに対応したチップを使用していることは確かなようだ。

GPS Test
GPS Essentials
GPS Status

 実際にNexus 10を自転車に取り付けて街中を走り、GPSログを記録してみた。測定場所はいつもの通り、都内の市街地で、東京メトロ銀座線の田原町駅から西方向(上野駅方面)へと自転車で走り、上野駅前の交差点で左折し南下。JR御徒町駅前の交差点で左折して東に移動し、左回りで1周して元の位置へと戻っている。

(左から)Nexus 10、eTrex20J、Nexus 7

 ログの赤線がNexus 10、青線がNexus 7、黄色の線がGARMIN製ハンディGPS「eTrex20J」となっている。Nexus 10およびNexus 7のロガーアプリは「山旅ロガー」を使用。ログ取得間隔はすべて4秒ごとにセットした。

ログ全景
田原町駅付近(スタート/ゴール地点)
上野駅周辺
御徒町駅周辺
最後の曲がり角

 結果としては、Nexus 7よりも安定した軌跡となった。Nexus 7のログが右左にぶれている個所もNexus 10は実際の軌跡通りほぼ真っ直ぐになっており、eTrex20Jに近い。画面左側の上野駅付近は高いビルが多く誤差が大きくなりがちだが、ここでもブレが少なく実に安定している。 実際にNexus 10を持って地図アプリを立ち上げてみても、Nexus 7に比べて精度が高い印象で、総合的に見てAndroid端末の中ではGPS性能は高い方だと思う。3G通信を使っていないにもかかわらず、衛星を捉えるまでの時間も短い。

 地図を精細に表示する高解像度ディスプレイと、快適に動くGoogle Earth、高精度なGPS、そして第4世代iPad Retinaディスプレイモデル(652g)に比べて603gという軽さを実現している点など、Nexus 10には地図好きにとって魅力的な要素を少なからず備えており、それでいてコストパフォーマンスも高い。Google マップとGoogle Earthが好きな人なら、買って後悔することはないと思う。

片岡 義明

地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。