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人口動態や人の流動などのビッグデータを集約・可視化するシステム「RESAS」提供開始
(2015/5/21 06:00)
内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)および経済産業省は、地域経済分析システム「RESAS(Regional Economy Society Analyzing System)」を提供開始した。同システムは、産業構造や人口動態、人の流れなどに関するビッグデータを集約し、可視化するシステム。地方自治体による地域特性の分析を支援することを目的としたものだが、一般の人も企業間取引に関するデータを除いて利用可能だ。なお、推奨ブラウザーはGoogle Chromeとなっている。
花火が打ち上がる華やかなトップページの左サイドをクリックするとメニューが表示される。一般の人が利用できる地図は「人口マップ」「観光マップ」「自治体比較マップ」の3種類。各マップを選ぶとそれぞれサブメニューが表示される。
「人口マップ」では、「人口構成」「人口増減」「人口の自然増減」「人口の社会増減」「将来人口推計」の5種類が用意されている。例えば「人口構成」を選ぶと、都道府県別に人口で色分けした日本地図が表示される。背景地図に使っているのはOpenStreetMap(OSM)だ。
デフォルトは全国表示だが、都道府県単位や市区町村単位で表示を切り替えることもできる。表示年は1960年から1年ごとに切り替えられるようになっているが、データが登録されていない年も多く、その場合は白地図が表示されるだけだ。データが存在しない年は選択できないようにしてなっていると使いやすいと思うのだが、これは今後の改良に期待したい。
マップだけでなく、データをグラフ表示することも可能なほか、CSV形式の元データをダウンロードすることもできる。
都道府県や市区町村ごとの色分け地図だけでなく、人の流れを可視化したマップも用意されている。例えば「観光マップ」の「From-to分析(滞在人口)」では、平日・休日別に、どの地域から訪れる人が多く滞在しているかをマップ上で把握できる。
デフォルトでは東京都千代田区に訪れる人の状況を赤い曲線で示したマップが表示されるので、右上のエリア選択メニューから都道府県および市区町村を選ぶことで、その市区町村に対してどんな地域から訪れる人が多いのかがひと目で分かる。移動元の赤丸の上にマウスポインターを重ねると、都道府県や市区町村名が表示されるのも便利だ。
人の移動を可視化したマップとしては、このほかに「人口マップ」内の「人口の社会増減」マップが用意されている。
「観光マップ」ではこのほかに、「メッシュ分析(流動人口)」というマップも利用できる。このマップでは月別や平日・休日別・時間帯別の流動人口の推移を500mメッシュ単位でヒートマップ表示できる。ヒートマップを表示させるには、表示させたい都道府県および市区町村名を指定した上で、「メッシュを読み込む」をクリックすればOKだ。
なお、このマップでは各エリアの観光資源(名所や旧跡など)の位置も地図上に表示される。スポットを示した丸印にマウスオーバーさせるとスポット名がポップアップ表示される。
RESASは、GISの知識がなくても理解できる使いやすいUIを実現しているだけでなく、データをダウンロード可能で、完成度はかなり高い。自治体関係者だけでなく、民間企業の出店調査など、さまざまな用途に利用できるシステムとして注目だ。