趣味のインターネット地図ウォッチ

第64回:京都の通り名から、地図上の位置を特定するサービス ほか


京都の通り名から、地図上の位置を特定するサービス


デモサイトジオどす

 沖電気工業、ロケージング、ANNAI LLCの3社は、京都の“通り”の名をテキストから抽出して、それに対応した位置情報を付与するAPIの提供を開始した。

 同サービスは、2008年4月に沖電気工業が提供開始した位置表現抽出・管理サービス「LocoStocker」をAPIとして提供するもので、テキストの内容から場所を特定して、その場所の緯度・経度を応答する機能を持つ。日本国内の地名やスポット名、住所に加えて、海外のカタカナ表記された地名や観光スポット名にも対応している。また、緯度・経度からその周辺地域についての内容が書かれたコンテンツ情報を抽出する機能も備えている。

 「LocoStocker」が今回、京都の通り名に対応するにあたっては、2009年1月からロケージングとANNNAIが提供開始したジオコーダ(住所や地名から緯度・経度などの位置情報に変換する機能)のAPI「ジオどす」のデータが使用されている。京都の住所表記は一般的には通り名で表記されることが多く、従来のジオコーダでは緯度・経度情報に変換するのが難しかった。「ジオどす」では通り名の検出に特化したアルゴリズムと、実地調査によるデータ収集によって、通り名から緯度・経度に変換する機能を実現している。また、同じ住所でも、例えば「堀川仏光寺上る」と「堀川通り綾小路下がる」のように、複数の表記が使われる場合もあるが、このような表記ゆれにも対応している。

 今回のサービス開始に伴って、同APIを利用したデモサイトも公開された。同サイトはGoogle Mapsを利用したコンテンツで、京都の地名や通り名が入ったブログを抽出して地図の横にリスト表示するとともに、抽出した地名や通り名の位置を地図上にマッピングしている。

 また、「ジオどす」単体の機能を使ってみたい場合は、同サービスのAPIが公開されているサイトで体験可能で、検索窓に京都の通り名による住所を入力するとGoogle Maps上の位置が特定される。同APIはGoogle Maps APIから使用できるほか、Googleのジオコーダが京都の住所で検出できなかったときだけ「ジオどす」のデータで補完する「ジオ櫛Gどす」なども用意されている。同APIの登場によって、今後は観光サイトなどで京都関連の地図情報の使い勝手が良くなること期待したい。

URL
 ニュースリリース
 http://www.oki.com/jp/press/2009/06/z09032.html
 デモサイト
 http://locosticker.jp/geodosu/
 「ジオどす」京都通り名ジオコーダAPI
 http://geodosu.com/

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全国の湖沼図を収録した「国土地理院の湖沼湿原調査」


国土地理院の湖沼湿原調査湖沼図

 梅雨時の山歩きといえば尾瀬などの湿原が思い浮かぶが、そのような全国の湿原や湖沼に関する調査結果を見られるサイトとしてオススメなのが「国土地理院の湖沼湿原調査」だ。

 国土地理院では1955年から全国の湖沼調査を実施しており、その成果は縮尺1万分の1の“湖沼図”にまとめられているほか、2万5千分の1地形図などの湖沼部に活用されている。また、1993年からは、希少生物種の生息状況など環境面の価値が見直されたことで湿地への注目度も高まり、湖沼調査に並行して湿地の調査も開始した。

 さらに2002年からは従来の湖沼調査を発展させる形で“湖沼湿原調査”を開始。深浅測量だけでなく、湿原とその周辺の土地利用・地形の調査や、GISデータの整備も行っている。このサイトでは、こうした湖沼湿原調査の具体的内容の説明や報告書、調査成果の利用例などが収録されている。

 最も注目されるのは「湖沼図のコーナー」だ。これは国土地理院が刊行している湖沼の地図をWeb上で見られるサービスで、全国各地の湖沼がリストアップされている。北海道のクッチャロ湖やサロマ湖、屈斜路湖、摩周湖、東北の十和田湖や田沢湖、猪苗代湖、関東の霞ヶ浦や中禅寺湖、中部の河口湖や諏訪湖、近畿の琵琶湖、中国の宍道湖、九州の池田湖など、各地の有名な湖沼図が掲載されている。

 湖沼名をクリックすると詳細画面が表示されて、ここでは刊行されている湖沼図をスキャンした高精細画像を閲覧できる。地図画面の右には全体図が表示されており、見たいエリアを指定すると該当する詳細地図が表示される。この地図には2万5千分の1地形図とは違った湖沼図ならではの記号も使われているので、凡例を参考に見てみよう。

 釣りなどで魚のいそうなポイントを探したり、カヌーで遊ぶために水深を確認したりする場合に、このような湖沼図は意外と役に立つ。これから夏にかけて、湖や沼を訪れる予定のある人は要注目だ。

URL
 国土地理院の湖沼湿原調査
 http://www1.gsi.go.jp/geowww/lake/index.html

「MAPSHOP」にて「海底地形図」の取り扱いを開始


海底地形図「九十九里浜」の詳細図

 データクラフトは、地図専門のECサイト「MAPSHOP」にて、海上保安庁が刊行する「海底地形図」の販売を開始した。

 「海底地形図」は日本沿岸の海の基本図で、1mから10m間隔の等深線で海底の情報を表現している。港湾・漁港やマリーナ、漁業権区域、国立公園などの情報も掲載しており、沿岸地域の利用や開発、環境保全に携わっている人はもちろん、海洋レクリエーションや釣りなどレジャー目的の人にも活用されている。縮尺は1万分の1と5万分の1の2種類がある。

 データクラフトではこれらの地図をWeb上で販売するにあたって、日本地図上に海底地形図が用意されている沿岸をブロックで表示。ブロックの上にマウスポインタを重ねると、沿岸名と地図の番号がポップアップ表示されて、さらにクリックするとその場所の詳細画面が表示される。

 詳細画面では地図のサンプル写真を見られる。高精細の画像ではないので大まかな内容しかわからないが、等深線の色分けで海の深さの状況がわかるので面白い。例えば千葉の「太東崎 6366-7」や「九十九里浜 6366-5」を見ると、沿岸がかなり遠浅になっているのが確認できるが、そのすぐ下の「鴨川湾 6366-8」を見ると、底がすぐに深くなっている。

 残念ながら日本の沿岸のあらゆる部分をカバーしているわけではないが、三陸海岸など海岸線が入り組んだ複雑な地形のエリアを連続して見てみると、変化に富んでいて面白い。海沿いを旅するときなどは、普通の地図に加えて海底地形図も持っていって、海底の様子をイメージするといった楽しみ方もできそうだ。

 「MAPSHOP」で取り扱うのは全国各地の沿岸217点で、地図サイズは76.5×54.2cmまたは108.5×76.5cm(絶版でインクジェットプリンタ印刷の場合はサイズが異なる場合あり)、価格は1470~3255円。

URL
 「MAPSHOP」海底地形図コーナー
 http://www.mapshop.co.jp/specialmap/sealines/03.html

2009/6/25 11:00


碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース、コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。