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第116回:“超”詳細図を収録、鉄道路線の表示も可能な「プロアトラスSV7」


 株式会社筆まめは、PC用地図ソフト「プロアトラス」の最新版となる「プロアトラスSV7」を発売した。本バージョンでは従来の詳細図よりも細かい“超”詳細図を新たに収録したことに加えて、地図の表示方法も多彩になり、モノトーン表示や鉄道路線表示が可能になった。バージョンアップによってさらに地図データが充実したこのソフトについて詳しくチェックしてみよう。

プロアトラスSV7

 プロアトラスSV7には「全国版」(9975円)と「首都圏・中部・関西版」(8820円)の2種類があり、全国版にはさらに「1年間地図データ更新パック付」(1万5750円)と「アップグレード・乗り換え専用 1年間地図データ更新パック付」(1万815円)が用意されている。「1年間地図データ更新パック付」では最新の更新データが2月・5月・8月・11月に公開予定で、初回公開は2011年11月を予定している。

 また、「1年間地図データ更新パック付」では2台目のPC用に機能限定版の「プロアトラスSV7 Select」をインストールすることが可能だ。プロアトラスSV7 Selectは9月2日からダウンロード提供が予定されており、こちらも地図データの更新を1年間行える。このほか、複数のPCにインストールするためのライセンス販売もある。

 対応OSはWindows 7/Vista/XP。

「プロアトラスSV7 全国版」パッケージ「プロアトラスSV7 全国版 1年間地図データ更新パック付」パッケージ

建物の形状と施設名が詳しく表示された「1/2.5千都心図」

 プロアトラスシリーズでは縮尺ごとに情報量の違う地図が複数用意されており、各地図は「日本広域」「1/300万広域」「1/7万広域」「1/1万詳細」などと異なる名称で呼んでいる。これらの地図をタブで切り替えながら閲覧し、縮尺レベルごとに拡大・縮小を行う独特の操作方法だ。また、「1/1万詳細」と「1/5千詳細」については航空写真も収録している。

日本広域図

1/100万広域図

1/25万広域図

1/2.5万詳細図

1/5千市街図(航空写真)

 今回のバージョンアップの大きな目玉である“超詳細図”は、「1/2.5千都心図」という名称の地図だ。バージョン「SV6」までのプロアトラスシリーズでは従来、最も詳細な地図は「1/5千都心図」という地図だったが、本バージョンからは1/2.5千都心図が1/5千都心図に代わって収録されることになり、「1/5千」と名の付くのは1/5千市街図だけとなっている。

 呼び名が「5千」から「2.5千」になったからといって単純に2倍詳細になったというわけではないが、実際に地図を見比べれば詳細度の違いは一目瞭然だ。1/2.5千都心図の方が建物の形がより詳しく忠実に描かれており、ビル名などの施設名表示も細かく掲載されている。また、マウスホイールで最大まで拡大した状態を見比べても、1/2.5千都心図の方が大きく拡大できる。

 なお、筆まめの製品紹介サイトでは1/2.5千都心図の縮尺について「最大約1/250」と記載されているが、これは17型ディスプレイで1024×768ピクセルで表示した状態での縮尺とのこと。この1/2.5千都心図は、全国816市区町村(首都圏・中部・関西版は527市区町村)をカバーしている。


新宿駅(1/5千都心図[SV6])新宿駅(1/5千市街図[SV7])新宿駅(1/2.5千都心図[SV7])

秋葉原(1/5千都心図[SV6])秋葉原(1/5千市街図[SV7])秋葉原(1/2.5千都心図[SV7])

銀座四丁目交差点(1/5千都心図[SV6])銀座四丁目交差点(1/5千市街図[SV7])銀座四丁目交差点(1/2.5千都心図[SV7])

市ヶ谷(1/5千都心図[SV6])市ヶ谷(1/5千市街図[SV7])市ヶ谷(1/2.5千都心図[SV7])

 なお、今回のバージョンアップで増量した地図データは1/2.5千都心図だけではなく、1/1万詳細図についても収録エリアの面積がSV6の約7倍に拡大されている。例えば中央自動車道の石川パーキングエリア周辺を見比べると、SV6では1/1万詳細図の未収録エリアとの境目が見えるが、SV7で同じエリアを表示させるとすべて1/1万詳細図となっている。

中央自動車道 石川パーキングエリア(1/1万詳細図[SV6])中央自動車道 石川パーキングエリア(1/1万詳細図[SV7])

表示スタイルに「モノトーン」と「鉄道路線図」を追加

 新バージョンでは地図表示方法にも新たなスタイルが加わった。追加されたのは地図を白黒で表現する「モノトーン」と、日本全国の鉄道に対応した「鉄道路線図」の2種類。

 プロアトラスでは従来、地図表示スタイルとしては「標準」「グレースケール1」「グレースケール2」「ミッドナイト」「ライトモード」の5種類が用意されていたが、今回2種類が追加されたことにより、合計7種類となった。表示スタイルの種類の多さはパッケージ地図ソフトならではだが、バージョンアップにより、この長所がさらに伸ばされたわけだ。

 メニューの[表示]-[地図の表示スタイル]から[モノトーン]を選択すると、カラー表示が無くなりすべての要素がモノクロで表示される。カラー表示のときに比べて情報量は少なくなるものの、これなら地図上に画像や文字を貼り付けたときにも見やすいし、ファックスで送付しても細部がつぶれにくい。プリントアウトしてマーカーなどで書き込む場合も見やすいと思う。


グレースケール1

グレースケール2

ミッドナイト

ライトモード

モノトーン

 今度は[鉄道路線図]を見てみよう。これを選択すると、鉄道の駅と路線、そして地下道以外が薄くなり、鉄道路線がどのような位置を通っているのかが一目でわかる。地下鉄については、東京の場合、銀座線はオレンジ、東西線は青、丸の内線は赤といった風に実際の路線図と同じ色が使われている。

 縮尺を小さくしていくにしたがって駅や路線が間引いて表示されるが、すべての縮尺レベルにおいて鉄道路線図が表示されるのは便利だ。この機能は鉄道ファンにも魅力的だと思う。


鉄道路線図(1万詳細図)

鉄道路線図(7万広域図)

施設名に支店名まで表示

 このほかの強化点としては、コンビニや飲食店、ショップなどの施設を検索した場合、施設名に支店名まで表示されるようになった点が挙げられる。また、地図データのインストールエリアも都道府県単位で細かく指定できるようになったので、インストール時間の効率化も図れるようになった。

 ミニ地図帳を作成できる機能やハンディGPSのログを使ってデジカメ写真にジオタグを付加する機能、3D地図を作成できるジオラマ機能など、以前から搭載されていた機能は健在で、従来バージョンのユーザーも違和感なく使える。また、地下街マップを収録している点もプロアトラスならではだ。


施設名に支店名を表示

ミニ地図帳の印刷プレビュー

鉄道路線図のジオラマ表示も可能

地下街マップ

 プロアトラスは前バージョンのSV6でも地図データそのものの充実を売りにしていたが、今バージョンもまた超詳細図を追加したことにより、地図ソフトとしての基本を堅実に進化させたといえる。従来バージョンのユーザーはもちろん、新たにパッケージ地図ソフトの購入を検討している人にもお勧めだ。


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2011/8/4 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅-デジタル地図に残す自分だけの鉄道記-」がインプレスジャパンから発売中。