もっと自由に使えるVPS「ConoHa by GMO」を試す
いつでも自由にVPSを作成~コントロールパネルの使い勝手を試す
(2013/7/29 06:00)
GMOインターネットが始めた新ブランドのVPS「ConoHa」は、同社が従来から提供している「お名前.com VPS(KVM)」で培った技術をもとに、より柔軟な構成や使い方ができるようにしたサービスだ。ベースとなるクラウド基盤ソフトOpenStackのバージョンを最新にし、VPSやローカルネットワークを後から追加できる機能などを盛り込んでいる。
前回のインタビューでも語られていたとおり、「お名前.com」ブランドはどちらかというとITリテラシーの高くない人もカバーするイメージだった。それに対して新しい「ConoHa」ブランドでは、自分でサーバーをいちから設定できる人向けに割り切り、それらのユーザーが柔軟に使える仕様を打ち出している。
このConoHaの試用アカウントを借りたので、実際に試した様子を3回に渡ってレビューする。今回は、コントロールパネルまわりやVPSの作成と起動など、基本的な機能について見てみる。
VPSを自分で追加するIaaSに似た方式
ConoHaのVPSがお名前.com VPS(KVM)から最も異なる点として、アカウントとVPSの契約の形態がある。
お名前.com VPS(KVM)など通常のVPSでは、まず最初に契約をして、最初からVPSが用意される。それに対し、ConoHaでは、まず最初にオンラインでアカウントを登録する。この時点では、まだVPSは用意されず、課金も発生しない。そして、ログインしたコントロールパネルから“自分でVPSを追加する”ことで、はじめてVPSが作られ、課金が発生する。VPSの新規作成にかかる時間も、1分程度だ。
料金プランも、VPSを追加するときに自分で選ぶ。選べるプランは以下のとおり。いずれも初期費用無料で、15日間の無料トライアルが付いている。
プラン | メモリ | CPUコア | HDD | 月額 |
1GB | 1GB | 2 | 100GB | 976円 |
2GB | 2GB | 3 | 200GB | 1470円 |
4GB | 4GB | 4 | 400GB | 3969円 |
8GB | 8GB | 6 | 800GB | 7969円 |
16GB | 16GB | 10 | 1TB | 16170円 |
セルフサービスですぐにサーバーを作れるという点では、Amazon EC2などのIaaSに考え方が似ている。IaaSのようにAPIから自由にサーバーを作ったり消したりできるというところまではいかないが、たとえば、ウェブサーバーとデータベースサーバーの2台を用意するとか、12月だけウェブサーバーの台数を増やすとかいったときに、自分でさくっとサーバーを作れる自由度の高さと即時性を備えている。
VPSを追加してみる
実際にVPSを作ってみよう。コントロールパネル左上の「サービス」アイコンから「VPS」を選ぶと、サーバーリストの画面になる。ここにVPSの一覧が表示されるのだが、初期状態では空だ。
ここで「VPS追加」をクリックすると、VPSの仕様を聞かれる。ここでプランを選び、VPSのOSのrootユーザーに設定するパスワードを入力する。rootユーザーについては、SSH鍵もVPSのOSに設定される。
指定のあと作成を実行すると、サーバーリストに1つのVPS(仮想サーバー)が表示され、やがて「サーバーステータス」の表示が変わって起動が完了する。
サーバーが追加されると、画面左の操作リストの中で、「サーバーリスト」の下の項目として、サーバー名が表示される。ここをクリックすると、サブメニューとして、そのサーバーに対する機能が表示される。
「コンソール」では、サーバーOSのコンソール画面が、VNCプロトコル経由でウェブ上で表示される。ここにはOSの起動画面も表示され、OSにログインして操作できる。
コンソール画面の最上部には「起動」や「シャットダウン」などの操作が並ぶ。また、その下のバー右端にある「v」をクリックすると、サーバーのネットワーク情報が表示される。ここからrootのSSH秘密鍵をダウンロードすることもできる。
コンソール画面が表示されている縁の部分の右上には、コンソール自体の操作のアイコンが表示される。このうち、「クリップボード」のアイコンをクリックすると、ダイアログが表示される。ここにテキストを入力して「送信」ボタンをクリックすることにより、コンソールに文字列が入力される。コンソールには直接コピー&ペーストできないため、この機能を使うことでコンソールにテキストをペーストできる。
なお、サーバーを新しく作ったときには、デフォルトのOSであるCentOS 6.4の64bit版がインストールされる。あとからほかのOSに入れかえるには、コントロールパネル左側の機能リストから、「OS再インストール」をクリックする。選べるOSは、CentoOS 6.4、CentoOS 5.9、Debian 6.0、Debian 7.0、Fedora 17、Fedora 18、FreeBSD 9.1、Ubuntu 12.04 LTS、Ubuntu 12.10、Ubuntu 13.04、Scientific Linux 6.4の、それぞれ32bit版と64bit版だ。
サーバーにログインするには、コンソールからのログインのほか、SSHによるログインや、SSHからシリアルコンソールに接続してログインする方法がある。
初期状態では、OSにログインできるユーザーはrootだけだ。SSHサーバーの初期設定では、rootはSSH鍵による認証だけが認められている。そのため、rootでSSH接続するには前述したようにネットワーク情報の表示からSSH秘密鍵をダウンロードしてやる必要がある。
筆者は一度rootでログインしたあと、まず一般ユーザーを作成し、そのユーザーでログインするようにした。そして、ローカルのPCからそのユーザーのSSH公開鍵をサーバーに設定して、SSHのパスワード認証を無効にした。SSHのパスワード認証は、総当たり攻撃などで破られる可能性があるためだ。
OSからサーバーの情報を調べてみると、確かにCPUコア2つと、1GBのメモリが見えた。ディスクは20GBのディスク(/dev/vda、通常のシステムやデータの領域)と80GBのディスク(/dev/vdb、/dataにマウント)の2つの仮想ディスクが見える。デバイス名から、専用ドライバでディスクデバイスのエミュレーションを高速化するVirtioが利用されていることがわかる。
サーバーソフトとしては、Apache Webサーバーがインストールされているが、初期状態では自動起動はオンになっていない。必要に応じて、ウェブサーバーの設定をしてから、自動起動をオンにしよう。
ソフトウェアをインストールするパッケージリポジトリとしては、CentOS公式リポジトリのほか、サードパーティの「EPEL」のリポジトリも設定されていた。それにともない、仮想サーバーの初期設定を管理するソフトウェア「cloud-init」(EPELに収録されている)が動くようになっていた。
ベンチマークソフトのUNIXBENCH 5.1.3も実行してみた。結果は写真のとおり。VPSなので、ほかの仮想マシンの動作状況によって負荷が変わるため、参考程度に見てほしい。
iPadからもコントロールパネルをひととおり利用できる
そのほか、「コンソール」や「OS再インストール」と同じ並びの機能を見てみよう。
「スナップショット」は、お名前.com VPS(KVM)でも採用された、特徴的な機能だ。そのときのOSのディスクの状態を保存し、後からその状態に戻せるというものだ。
たとえばOSをアップデートするときや、大掛かりな変更を加えるときなどに、先にスナップショットを取っておけば、保険となる。また、スナップショットを取ってから、より古いスナップショットに戻り、前とは別の構成を作って状態を枝分れさせることもできる。
なお、スナップショットを取るのは、仮想サーバーの電源がオフのときに限られる。また、スナップショットの個数に制限はないが、容量には制限がある。スナップショットは、個別に削除できるほか、すべて削除する「コンバート」も実行できる。
ほかに、CPUやネットワークI/O、ディスクI/Oの負荷をグラフで表示する「リソース」や、ディスクデバイスのVirtioドライバやコンソールのビデオデバイスなどを変更する「VM設定」、DNS逆引きレコードを変更する「DNS逆引き設定」などの設定がある。
こうしたコントロールパネルは、iPadなどiOSのブラウザからもひととおり利用できる。コンソールも表示でき、右上のアイコンのうちキーボードのアイコンをタップすることで、ソフトウェアキーボードを使って入力ができる。
――明日は、ConoHaの特徴のひとつである、IPv4アドレス追加や、IPv6アドレスの使用レビューをお送りします。