山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿

香港の民主化デモで、中国からInstagramが利用不可に〜2014年9月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国を拠点とする筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。

香港の民主化デモで、中国からInstagramが利用不可に。中国からスパイウェア投入も

 香港の民主化デモが、10月1日からの中国の大型連休「国慶節」前より始まり、ネット規制が強まった。その中で最たるものが、Instagramが利用できなくなったことであった。またメッセンジャーの「微信(WeChat)」においても、グループチャットに香港の写真をアップすると、即削除された。また、デモを支持するメッセージにジャンプすると感染するスパイウェア「Xsser mRAT」が確認されており、中国政府によるものではないかと報じられている。

香港メディアによる民主化デモ報道

外国のドラマ映画のネット配信は、中国産コンテンツの3割以下に強制

 9月5日、中国の映画・テレビ・ラジオの監督管理を行う「国家新聞出版広電総局(広電総局)」は、海外の映画やドラマを動画配信する場合、各作品について「電影片公映許可証(映画)」ないし「電視劇発行許可証(ドラマ)」の許可を義務付け、来年3月末までに同局に登記しなければならないと発表した。また、配信数についても、前年に配信した中国産コンテンツの30%までと規定し、国産コンテンツの振興を図る。来年5月1日より施行するとしている。現在のところ日本が強いアニメについては触れられていないものの、今後の動向が気になるところ。

 広電総局は以前、スマートテレビやセットトップボックス向けの未認可の動画アプリのインストールを禁止することを発表。9月中旬に中国の各アプリストアから削除されており、その力は実証済み。それゆえにニュースの感想掲示板には、広電総局の一連の方針に不満のコメントが並んでいる。

フリージャーナリスト、裁判所にGoogleアクセス禁止について提訴

 深センのフリージャーナリストの汪龍氏が、5月末よりGoogleの各サービスに完全にアクセスできなくなったことを受けて、中国聯通(ChinaUnicom)と中国聯合網絡通信の2社を相手取って提訴した。汪龍氏によれば、裁判所となった深セン福田法院は、訴訟を受け取ったが審理せず、現場と全く異なる議事録をとり、かつ汪龍氏を威嚇したという。

世界最大規模となる阿里巴巴の上場

 9月19日、ニューヨーク証券取引所に阿里巴巴(Alibaba)が上場。世界最大規模の上場となり、CEOの馬雲氏は中国本土一の富豪になったほか、筆頭株主のソフトバンクは8兆円弱の含み益を得た。

 阿里巴巴は、中国のオンラインショッピングを約10年牽引した企業。最初にブレイクした、Yahoo!オークションのような個人対個人(C2C)の「淘宝網(Taobao)」では、本業でも副業でもショップを運営できるため商売気質のある多くの中国人が動き、徹底的な商品の低価格化が起きた。利用者の中国人同士が安心して取引できるよう、チャット機能や専用の電子マネー「支付宝(Alipay)」を実装。支付宝は、銀行間の振り込みが不便だった時の橋渡し役としても使え、オンラインバンキングのツールとしても好評だ。また近年では、より安心して取引できる企業対個人(B2C)の「天猫(Tmall)」をプッシュしているほか、支付宝の余額で投資信託が購入できる「余額宝」では、多くの人がサービス開始直後から利用し、巨大な投資マネーが動いたことでも話題となった。

1990年代の新世代は、日本のアニメ好きでネット三昧

 今後の流行の中心となる、1990年代生まれ(14〜24歳)の「90后(ジョーリンホウ)」の傾向について、百度は同社の掲示板でアンケート調査を実施。また、サイト利用実態から1990年代生まれについて分析し、その調査結果を発表した。

 彼らの平均値は、ネット利用歴は7.53年、1日のネット利用時間は11.45時間、24の趣味の掲示板スレッドをチェック。1日11時間超ともなれば長いように思うが、アクセスはスマートフォン/タブレット対PCが6対4となっている。彼らに自身についてタグ付けしてもらったところ、多い意見から順に「引きこもり」「1990年代生まれ」「ゲーム好き」「成熟」「グルメ」「おとなしい」となった。

 「恋愛の理想は一生に一度でいい」(86.82%)という意見が多数派だったものの、実際の恋愛回数は「4回以上」(23.79%)、「2〜4回」(72.1%)、「0〜1回」(4.11%)で、恋愛についての考えは開放的。家庭を重視していた上の世代とは異なり、DINKSを望み、子供も2人以上欲しいという傾向が強い。将来の希望は「会社員」(52.67%)、「創業」(40.9%)、「公務員」(6.43%)で、業種ではITが最も人気。

 消費については、広告やブランド名にこだわらず、品質を最も重視し、次に価格や外観を重視。欲しいものが買えない場合は、86%が「あきらめず、お金を用意して買うようにする」と回答している。

 人気のアニメは、人気順に「NARUTO」「ONE PIECE」「進撃の巨人」「FAIRY TAIL」「BLEACH」。人気のゲームはオンラインゲームが占め、日本のコンテンツはなかった。

90年代生まれのネット利用実態
90年代生まれの検索傾向
90年代生まれはブランドよりもクオリティ

比較的豊かな層でIT教育が浸透。テストの点アップよりも個性を望む傾向

 中国の調査会社「iResearch」は、小中高生の勉強とインターネットの活用についての調査結果「中国中小教育学習現状調査報告」を発表した。調査対象は、主に「大学卒業の両親」「経済が比較的発展している地域」「月収が比較的高い(個人で月5000元=85000円以上)」の家庭の親ないし小中高生となっている。

 オンラインでの教育サービスの利用状況は「使ったことがある」(49%)が約半数を占め、「使ったことはないが、近いうちに試したい」(36%)も合わせれば、85%が関心を持っている。使う端末(複数回答可)は、「パソコン」(71%)、「タブレット」(38%)、「スマートフォン」(23%)となり、タブレットの利用率が中国全体に比べて高くなる結果に。

 小中高生がインターネットを利用する目的(複数回答可)は、「勉強の資料探し」(75.97%)、「授業動画の視聴」(71.43%)、「SNS」(52.6%)、「エンタメ」(48.05%)、「辞書ツールなどの利用」(44.81%)、「メール」(23.38%)。また、小中高生が利用するオンライン学習サービス(複数回答可)は、「辞書ツール」(71.89%)、「予備校サイトの授業動画」(54.6%)、「模擬テスト」(31.47%)となった。

 中国というと、受験大国というイメージがあるが、学生の学習の目標は「学習能力向上」(66.88%)、「いい大学に行きいい仕事に就く」(61.04%)、「自身の趣味趣向」(57.14%)、「親の期待に応えたい」(32.47%)、「他人に褒められ認められたい」(31.82%)となったのに対し、親が教育で望むのは「能力やモラルの上昇」(32%)を筆頭に、「趣味関心を伸ばす」(26%)、「性格改善」(24%)と続き、「テストの点数を上げる」(17%)というのは少数意見にとどまった。親は個性ある学習方針を掲げる教育サービスを好む傾向にあるという。

iPhoneユーザー、スマホユーザーの4分の1近くに

 网宿科技と北京大学信息化与信息管理研究中心が発表した調査報告「2014年第二季度《网宿・中国互聯網発展報告》」によれば、モバイルインターネットで利用しているスマートフォンのメーカーは上位より、「Samsung」(25.98%)、「Apple」(23.84%)、「小米(Xiaomi)」(8.9%)、「華為(Huawei)」(7.97%)、「聯想(Lenovo)」(6.52%)、「HTC」(3.72%)、「Nokia」(2.13%)、「ZTE」(1.84%)、「vivo」(1.62%)、「Coolpad」(1.82%)、「OPPO」(1.41%)、「SONY」(0.73%)、「魅族(Meizu)」(0.56%)となった。Appleや小米が伸び、SamsungやNokiaやHTCのシェアが落ちる結果に。

利用するスマートフォンメーカー
利用するスマートフォンメーカーの変化

 iPhone 6は、米国や日本、香港など、最初に発売された地域で中国人が購入して中国に転売し、さらに10月17日の正規発売を前に、予約開始から3日で早くも2000万台が予約されている。iPhoneのシェアがさらに上がる一方では、中国政府によるiOS向けの規制が懸念される。

中国ではiPhoneのJailBreak率は高く、AppStoreの利用率は低い

4Gユーザー数が3Gよりも速い普及で3000万を突破

 昨年12月に商用サービスがスタートしたTDD-LTE方式のユーザー数が、8月末で3000万を突破した。3Gは2008年の北京オリンピックの時のサービス開始から2年後の2010年夏に3000万を突破したペースだったため、それよりも速い速度で普及していることになる。

 3Gサービス開始のころは、「フィーチャーフォンが全盛でデータ通信のニーズが高くない」「中国メーカーのフィーチャーフォンだけで魅力ある端末がない」「2Gと比べて利用料金が高い」「当時本命のW-CDMA方式採用の中国聯通(ChinaUnicom)がマニアに人気」と大衆への普及に悪条件がそろっていた。しかし、4Gはすでに3Gと比べてもそれほど料金は高くなく、ユーザーを最も多く抱える中国移動(ChinaMobile)が積極的に動き、魅力ある対応端末もそれなりにそろっているため、乗り換えしやすい状況になっている。

 なお、8月末の段階で4G加入者数は3000万を超えたが、3G加入者数は4億8000万、2Gも含めれば12億7000万と、3G・4Gともに発展の余地がまだある。

モバイルインターネットは沿岸部や四川省で利用率が高い

上海人の64.3%が「普段の読書は電子ブック」

 解放日報社会調査中心が、在上海の中国人を対象にした、読書の習慣についての調査結果を発表した。それによると35.1%が紙媒体で、64.3%が電子ブックで読んでいるという。64.3%の電子ブック利用者を細分化すると、39.1%が携帯電話やスマートフォン、15.3%がパソコン、残りがタブレットや電子ブックリーダーなどその他のデバイスとなった。また、回答者の0.6%が音声付きの電子ブックコンテンツをよく利用しているという。若い世代は、電子ブック利用に積極的だが、中高年は紙から電子ブックへ習慣を替えるのは難しく、また変えたところで「電子ブックでは浅く読んでしまう」という声も。

 普段本を見ている人の読書量は「週5時間以下」(45.1%)、「週5〜10時間」(39.8%)、「週10〜20時間」(11.4%)、「週20時間以上」(3.7%)となった。電子ブックを含めコンテンツが増えている中、いい本を探し出すのが難しくなった結果、読書量が減っているという。人気のジャンルは上位より「文芸」「歴史文化」「伝記」「生活」「仕事関係」となった。

医療とIT企業の提携が目立つ

 9月には、中国の医療アプリ「春雨医生」と医薬会社が提携し、小米(Xiaomi)が電子血圧計メーカー「九安医療」に2500万ドルの投資を行い、3大ネット企業の1つ「騰訊(Tencent)」が医療ポータル「丁香園」に7000万ドルの投資を行うことを発表するなど、医療とIT企業の提携が目立った。

 これに先立つこと、騰訊は6月に同社のメッセンジャー「微信(WeChat)」でネット医療サービス「全流程就診平台」を、3大ネット企業の1つの阿里巴巴(Alibaba)は5月に支付宝(Alipay)を使った「未来医院計画」を、3大サイトの1つの百度は7月に北京市政府と提携した「北京健康雲」をリリースしている。

 現在、医療系アプリは2000以上を数え、iResearchによれば2017年末までに、中国モバイル医療サービス市場は125億2000万元(約2130億円)程度になるという。

春雨医生

山谷 剛史

海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」などがある。