意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識

新しいiPhoneを使い始めるときに確認したい、3つのセキュリティ設定項目

初歩のiPhoneセキュリティ<1>

 新モデルが発表されるたびに大きな話題となるiPhone。新たに手に入れたiPhoneを安全に使い続けるためには、最初のセキュリティ設定が肝心です。iPhoneを安全に利用するため、最初に確認したい3つの項目についてお伝えします。

1. Apple IDの設定

 iPhone初回起動時の初期設定では、Apple IDの登録を求められます。Apple IDは、Appleが提供する各種サービスを利用するために必要なIDとパスワードです。他のウェブサービスで使用していない、複雑なパスワードを設定してください。

 パスワードの使い回しはやめしましょう。ウェブサービスやECサイトからの情報漏えい事件はあとを絶ちません。他のウェブサービスと同じIDとパスワードを使い回していた場合、不正アクセスの被害に遭遇する可能性が高まります。

 万が一、Apple IDに不正アクセスをされた場合には、Apple IDに紐づく個人情報やデータを詐取されるだけでなく、iPhone自体が遠隔でロックされる可能性もあります。また、「お支払い方法」としてクレジットカード情報を登録している場合、不正利用され、金銭被害が発生する可能性もあります。

 すでにお持ちのApple IDを使用する場合も、この機会に、他のウェブサービスと同一のパスワードを使い回していないか、単純な文字列のパスワードを使用していないか、再確認しましょう。

 まとめると、「すでに利用中のサービスとは異なるパスワードを設定すること」「第三者に推測されにくい複雑なパスワードを使用すること」が重要です。複雑なパスワードを毎回設定するのが難しいという方には、複雑なパスワードを自動で生成できるパスワード管理ツールの利用もおすすめです。

iPhoneのアカウント情報設定画面(iOS13)

2. 端末のパスコード/認証設定

 常に持ち歩くiPhoneは、気を付けていたとしても盗難や紛失に遭いやすいものです。そのため、iPhoneには必ず画面ロックをかけておきましょう。画面ロックとは、画面を触れずに一定時間いると、自動で画面をロックしてくれるiPhoneの機能です。ロックを解除するためには、あらかじめ登録したパスコードや認証情報でロックを解除しなければならないため、第三者にスマホを不正操作されにくくなります。機種によって、パスコードの代わりに指紋認証や顔認証も利用できます。端末のパスコード設定でも、第三者に推測されにくいパスコ ードを必ず登録しましょう。

Face ID(顔認証)とパスコード設定画面(iOS13)

 また、「探す」機能を有効にしておきましょう。この機能を有効にすることで、iPhoneをなくしたり盗まれたりしても、その位置を探すことができます。詳しくは、Apple社の説明を参照してください。

3. インストールするアプリの権限設定

 iPhoneでは、インストール済みのアプリに許可する権限を個別に設定できます。「位置情報へのアクセス」や「連絡先の読み取り」など、アプリが求める権限にはさまざまな種類があり、各アプリは与えられた権限の範囲内で動作します。新しいiPhoneにインストールするアプリごとに適切な権限管理を行い、アプリを介して位置情報や連絡先情報を漏らしてしまうリスクを軽減しましょう。

 ここに挙げた対策は、新しいiPhoneを使い始める際、最初に確認すべきセキュリティ設定の一部です。これに限らず、自分に必要な機能を理解した上で、必要な設定を行っていくことが安全な利用につながります。

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岡本 勝之(トレンドマイクロ株式会社)

セキュリティエバンジェリスト。トレンドマイクロ株式会社ビジネスマーケティング本部コアテク・スレットマーケティング部所属。製品のテクニカルサポート業務を経て、1999年よりトレンドラボ・ジャパンウイルスチーム、2007年、日本国内専門の研究所として設立されたリージョナルトレンドラボへ移行。シニアアンチスレットアナリストとして、特に不正プログラムなどのネットワークの脅威全般の解析業務を担当。現在はセキュリティエバンジェリストとして、それまでの解析担当により培った脅威知識を基に、セキュリティ問題、セキュリティ技術の啓発に当たる。トレンドマイクロの情報セキュリティ啓発サイトはこちら「is702(アイエス・ナナマルニ)インターネット セキュリティ ナレッジ」