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最新ファームでiPhoneからもアクセス可能に QNAP Turbo NAS「TS-459 Pro」


 高いパフォーマンスや拡張性の高さで定評があるQNAPのNAS向けに、最新のファームウェアv3.3が登場することとなった。さまざまな機能が追加されているが、注目はiPhoneからのアクセスも可能なメディア機能だ。その実力を検証してみた。

より楽しめるようになったQNAPのNAS

 QNAPのNASは、実用性の高さはもちろんだが、使っていてなかなか楽しめる製品だ。

 NASとして、普段、ファイル共有やバックアップに利用しながら、同時にメディアサーバーやWebサーバーとして利用することができる。さらに、「QPKG」と呼ばれるパッケージを追加することによって、機能を追加することができるようになっている。

 これにより、たとえばWord PressやJoomla!などのQPKGを活用すれば、単純なファイルの保管庫としてだけでなく、情報をさまざまな形で蓄積する万能サーバーとして利用することもできる。ユーザーの使い方次第で、いろいろと「いじる」ことができ、さながら万能サーバーとでもいった印象だ。

高いパフォーマンスと拡張性の高さで人気のQNAPのNAS

 そんなQNAPのNAS向けに、最新のファームウェア3.3が発表された。実際のリリースは7月予定だが、ユーザー向けのフォーラムではすでにベータ版が提供され利用可能となっている。

 今回の新ファームでは、従来の機能の強化に加え、以下のような新機能が追加されている。

【Multimedia Station v2】
  画像、音楽、映像ファイルへのWebベースUIでのアクセス機能

【QMobile for iPhone】
  NAS上のメディアファイルへのiPhone/iPadからのアクセス機能

【ISO Mount】
  ISOファイルのマウントと共有機能

【Networked UPS】
  1台のUPSをネットワーク上の複数台のQNAP NASで利用する機能

【Web Site Virtual Hosting】
  Webサーバーでの複数サイトのホスティング機能

【HFS+】
  MacOSでHFS+フォーマットされたUSB HDDを認識する機能

【Firmware Live Update】
  ファームウェア自動更新機能

【Seamless System Migration】
  利用中のHDDを他のQNAP NAS(旧製品含む)に装着して移行する機能

【SFTP Server】
  SSHを利用したセキュアなファイル転送機能

【IPv6】
  IPv6のサポート

 上に挙げたほかにも、MacOSのTime Machine対応が強化され、過去のバックアップのモニターや既存のバックアップの削除などの管理ができるようになっていたり、CPU負荷などのリソースモニター機能が強化されたり、Webベースのファイルマネージャ機能で検索が強化されるなどの改良が施されている。

 基本機能の強化に加え、iPhoneからのアクセスやMacとの親和性が高くなり、さらに、詳しくは後述するが追加のQPKGも増えたことで、より「楽しめる」NASになった印象だ。

 なお、今回の最新ファームウェアは、同社のNAS製品のうち、TS-x39/x59/509/809、SS-x39シリーズで利用可能となっている。今後発売される製品はもちろんのこと、すでにこれらの製品を利用しているユーザーもアップデート可能だ。

ATOM D510搭載4ベイ対応の「TS-459 Pro」を使用

 では、実際に機能を検証していこう。今回、使用した製品はATOM D510を搭載した4ベイ対応の「TS-459 Pro」というモデルだ。RAID0/1/5/6をサポートしており、今回は手持ちの1TBのHDD(Western Digital製)を4台搭載し、RAID6で構成した。

QNAPのTS-459 Proの正面。4ベイ対応のNASで各種情報を表示できるLEDも搭載する 側面。スペックはATOM D510(1.66GHz/Dual-Core)、メモリ1GBとなっている 背面。1000BASE-T対応のLANポートを2系統搭載。ファンも非常に静か

 サイズが180×177×235mm(幅×高×奥行)と比較的コンパクトながらHDDを4台搭載でき、LANポート(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T)を2つ装備するなど、ビジネス向けにも適したハードウェア構成となっている。本体前面には各種情報を表示可能なLEDも搭載するなど、個人から中小規模の環境にまで適した製品となっている。

 ATOM D510搭載で消費電力も低く、HDDを4台搭載した状態の稼働時の消費電力は実測36〜40W前後。動作音も極めて静かで、起動時こそファンが大きめの音を立てて稼働するが、起動が完了してしまえばほとんど動作音は聞こえてこない。

 パフォーマンスも良好で、CyrstalDiskMark3.0dを利用した計測では以下のように66MB/s前後の速度を実現している(RAID6構成時の値、クライアントにはCore i7 860/RAM4GB/HDD1TB/オンボードRealtek 1000BASE-TのPCを使用)。

 ちなみに、今回利用したファームウェアは、6月10日に公開されたベータ版のv3.3.0 Build 0607Tとなっている。公開予定の正式なファームウェアとは一部異なる場合もあることをあらかじめお断りしておく。

CrystalDiskMark3.3dの結果。左が100MB、右が1000MB

QMobileを試してみる

 今回の新ファームの機能の中で、まず注目したいのはQMobileだろう。iPad、iPhone 4の発売から間もないこともあり、これらの端末からNASにアクセスしたいと考えている人も少なくないだろう。

 QMobileは、App Storeから無償でダウンロードできるiPhone/iPod Touch/iPad向けのアプリケーションで、NASのメディア共有機能(Multimedia Station v2)と組み合わせることで、自宅のNAS上に保存されている音楽や画像、映像ファイルなどをiPhoneから再生することができる。

 使い方は簡単だ。まずはローカルで使えるかどうかをテストする。設定画面の「ネットワークサーチサービス」にある「Bonjour」の項目で「iPhone/iPod Touch向けQMobile」の項目にチェックを付けておく。これで、iPhoneを無線LAN経由で自宅のネットワークに接続した状態で、QMobileのアプリを起動すると、ネットワーク上のNASを検出し、接続することができる。

 NASに登録してあるアカウントでログオンすれば、NAS上の「Multimedia」フォルダに保存されている画像や音楽、映像ファイルにアクセスできる。

Bonjorで通知するサービスを設定。QMobileにチェックを付ける iPadの画面。App StoreからQMobileをダウンロード。LAN内ならサーバーを自動的に発見できる
Media CenterにタッチするとNAS上のファイルにアクセス可能。音楽の再生や写真のアップロードもできる 再生できるファイルはMP4などのiPhone/iPadが対応しているもののみ

 一方、外出先からアクセスする場合は、少々工夫が必要だ。QMobileでは、前述したように、NAS上のMultimedia Station v2の機能を利用するため、このサービスに外出先からアクセスできるようにルーターを構成する必要がある。と言っても、ポート80を利用するだけなので、ポートフォワードによる転送をNASのIPアドレス宛に設定しておけばいい。

 加えて、NASに搭載されているDynamic DNSの機能を利用し、DynDNS.comなどで取得したドメイン名を使えるように設定しておく。この状態で、iPhone上のQMobileアプリから、手動設定でDynamic DNSのドメイン名を指定してアクセスすれば、同様にNAS上のメディアファイルにアクセスできる。

 iPhoneやiPadを利用することで、写真やビデオなどを場所を選ばず、どこからでも再生できるのは確かに便利だ。

外出先からアクセスするときはDynamic DNSを利用すると便利 QMobileで手動でサーバーを登録すれば、外出先からもメディアにアクセスできる
動画(Flash)】 iPhoneを利用してFON経由で自宅のNASのMP4ファイルを再生。3G経由では厳しいが、公衆無線LANなどを使えばかなり快適に再生できる

 ただし、注意が必要なのはメディアファイルの形式だ。画像であればJPEGやPNG、音楽はM4A、映像はMP4と、基本的にiPhoneやiPad側が対応している形式のメディアファイルでないと再生することができない。

 PCからブラウザでMultimedia Station v2にアクセスした場合、映像をFLV形式にトランスコードする機能も利用できるのだが(MTS形式のAVCHDなど変換できないファイルもある)、FlashがサポートされないiPhone/iPadでは、この機能も利用できない。あらかじめ、iPhoneやiPadで再生可能な形式にして保存しておく必要がある点に注意しよう。

PCを利用してブラウザでアクセスすると、映像をFLVへとトランスコードすることもできる

 このほか、QMobileには写真のアップロード機能も搭載されている。この機能を利用すれば、iPhoneで撮影した写真を直接自宅のNASへと保存することが可能だ。

 個人的には、iPhone/iPadも良いが、Flashが動作するAndoroid向けにQMobileを提供してほしいところだ。

かゆいところに手が届く機能を追加

 このほか、新ファームで追加された機能の中では、ISOマウントが地味ながら便利だ。

 ISOマウントが可能になったおかげで、OSやアプリケーションなどのCDイメージをNAS上に保存し、共有フォルダーとしてマウントしておくだけで、いつでもネットワーク経由で内容を参照することが可能になった。アプリケーションをネットワーク上のクライアントにインストールするときなどに活用すると便利だろう。

 「Web File Manager」を利用して、マウントしたISOの共有フォルダーにブラウザ経由でアクセスすることもできるため、外出先からファイルを参照したり、iPadなどのような端末からもファイルの参照が可能だ。

ISOマウント機能を新たに搭載。ISOイメージファイルを指定すると、その内容を共有フォルダーとして参照できる Web File Managerを利用するとブラウザ経由でNASのファイルにアクセス可能。もちろん、マウントしたISOのファイルにもアクセスできる

 また、HFS+のサポートも人によってはありがたいだろう。これにより、Macに接続して使っていたUSB HDDをそのままNASに接続して利用することができるようになった。

 さらには、今回は実際に試すことができなかったのだが、シームレスシステムマイグレーション(Seamless system Migration)という機能にも注目だ。

 これは、ハードウェアの交換が必要になったときでも、現在利用しているHDDをそのまま別のQNAP NASシステムに装着することで、自動的に環境を移行することができる機能だ。この機能のポイントは、異なるモデル間の移行もサポートされる点だ。

 たとえば、現在、TS-459を利用している場合、同じTS-459にHDDを装着して移行することはもちろんのこと、旧モデルのTS-439、さらにはTS-509/TS-809/SS-x39などにHDDを装着することでも、データや設定を自動的に移行することができる。

 NASの障害対策というと、HDDの障害ばかりに目がいきがちだが、実際には電源やメモリなどに障害が発生するケースも少なくない。こういった場合でも、ハードウェアの交換が容易にできるのは、非常にありがたいところだ。

 ほかにも、SFTPを利用できるのも便利だ。あまり派手な機能ではないが、かゆいところに手が届く、ユーザーにとってはありがたい進化を遂げたと言って良いだろう。

SFTPもサポート。安全にファイルを転送することができる

注目のQPKGもラインナップ

 このように、QNAPのNASは、最新のファームウェア(v3.3)へと進化したことで、より使いやすいNASとなった印象だ。

 モバイル環境については、端末側の制限を考慮せざるを得ないが、NASをさまざまなプラットフォーム、さまざまな回線環境から利用するための取り組みが進んできたことは大いに歓迎したいところだ。

 また、NASに機能を追加するためのQPKGもいくつか追加されている。

 たとえば、PS3 Media Serverが追加された。QNAPのNASには、メディアサーバー機能としてTwonky Media Server(5.1.5)が標準で搭載されているが、利用するクライアントや配信したいメディアのファイル形式(特に映像)によっては、別のメディアサーバーを利用したいというケースも少なくない。

 PS3向けとなるPS3 Media Serverだが、対応するクライアントも多く、トランスコード機能なども搭載されているため、これが利用可能になったのは大きな魅力と言えるだろう。

QPKGで手軽に機能を追加できるのもQNAPのNASの魅力
iPhone/iPadからNASのステータスを確認できる「iStat」 ブラウザ内で起動するWebデスクトップの「eyeOS」。プロジェクト単位の共同作業などに使うのも便利

 変わったところでは、ブラウザーで動作するWebデスクトップ環境の「eyeOS」などもQPKGで提供される。簡単なオフィスアプリケーションなどを利用することもできるので、外出先からの利用やユーザー同士の共同作業などに利用する手もありそうだ。このほか、iPhoneやiPadからNASのステータスを確認できるiStatなども新たに追加される予定となっている。

 いずれも、まだ正式なQPKGとしては提供されていないが、v3.3の提供後、順次リリースされていくことだろう。

 今後のNASには、単に情報を保管するだけでなく、その情報をどのような形で活用していくかが求められるようになっていくはずだ。そういった意味で考えれば、QPKGによってさまざまな機能を拡張できるQNAPのNASを導入するメリットも見えてくるだろう。


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2010/6/29 06:00


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